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妖精が創った人形  作者: 小伏史央
プロローグ
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プロローグ


 エロ本は萌えない。

 なぜならば、「エロ」と「萌え」は根本的には異なるものだからである。

 異なるものが折り重なるのは、世辞にも良い状態とは言えない。試験日と誕生日が重なったり、饅頭にゼリーが重なったり、幼女の上に中年男性が重なったりするのは、大衆一般的に悪い状態のはずである。

 ところで、ここでいう「エロ本」とは商業的に世に出回っているもののことである。金を出して手に入れる商品は、どれもある一定のラインを超えている。金を出してもいいというラインだ。エロ本はしかと「エロ」の最低ラインを超えている。ゆえに、「エロ」と「萌え」の差異ぐらいは、克明に分かるはずである。それが商業作品ならば。

 したがって、エロ本は萌えない。


 ……だとかいう卒論を貰ったことがある。あれはどこの馬鹿生徒だったか。今考えてみると、案外思い出せないものだから、私も歳を取ってしまった。

 つい最近私は、実験で失敗をしてしまった。何年もかけた実験だったゆえに、失敗したときの喪失感は凄まじいものがある。

 実験は最終段階にまで到達していた。というのに、研究対象の二人が、あろうことか実験領域を踏み越えてしまったのだ。なんてことだ。見えない壁に穴を開けるだなんて、どこの人間が思いつくのか。

 これも、生徒のシナリオをそのまま採用したせいだ。私が自分で作るべきだった。忙しさにかまけて、つい生徒の作品に手を出してしまった。いや、許可は貰っているのだからそういう問題ではない。生徒のシナリオが稚拙なせいなのだ。

 全く……。

 疲れた。一応、いくらかのデータはとれた。これを統計して、また頑張ろうじゃないか。のんきに化学反応で遊んでいるジジィどもと比べれば、私はまだまだ若いはずだ。また実験をするチャンスはきっとある。……資金が苦しいところだが。

 ひとまず今日はぐっすり寝よう。

 きっと、良い夢が見られるさ。


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