ぬいぐるみ
はじめまして。おーちゃんと言います。
初投稿なので、こんなんでいいのかな…って不安はありますが、よければ読んでやってください。
そして、心の広い方、是非感想をください。酷評でも全然構いませんので…。お待ちしています。
「ねぇ、なんか返事してよー」
夜寝る前、ベッドのまわりに飾ってあるぬいぐるみに話しかけるのが私の日課。痛い子って自分でもわかってるけど、これだけはやめられない。
いつもは、なんの返事もなく諦めてるんだけど今日は違った。
『いいよ!ボクでよければ話し相手になるよ!』
自分の耳を疑った。…というか、自分が今起きてるのか夢の中なのかわからなくなった。
「夢?」『夢じゃないよ!ボク、ずっとキミと話したくてウズウズしてたの!やっと神様が許可くれたんだ!』
そう言うのは紛れもなく1番気に入ってる犬のぬいぐるみ。ご丁寧に前足を一生懸命動かしながらしゃべってくれる。その様子が可愛くて可愛くて!
「ずっと私と話したかったの?」
『うん!今までボクのことを大切にしてくれてありがとうって伝えたかったんだ!もちろん、これからも大切にしてね!』この子、ちゃっかりしてるんだけど。でも、可愛いから許せちゃう。
「私も、おまえにお礼が言いたかったんだぁ。辛いときも、寂しい時も苦しい時も、もちろん嬉しい時も楽しい時も、いつも一緒にいたよね。おまえが私の1番の親友だよ!これからも出来の悪い持ち主かもしれないけどよろしくね」
『もちろんだよ!でも、そんなこと言われると、ボクテレちゃうよ…(////)』
テレて真っ赤になりながら、しゃべるなんて…可愛い!!!本当、この子がぬいぐるみだなんて思えない!でも、生きてる犬でもないよね。生きてる犬がこんな可愛いこと言ったりしたりするところ想像できないもん。
私たちは、2人で一晩中語り合った。出会ってから今まで長かったから、一晩では話しきれないくらい。こんなに楽しい夜は初めてなのに、今日に限って朝が来るのが早い気がする。太陽のバカ…。
『あっ朝だ…。ボク、そろそろ元のぬいぐるみに戻らなきゃ。』
「えっなんで?もっと話していようよ!」
太陽が顔をのぞかせた頃、急にこんなことを言い出した。
『ボクも本当はもっと話していたいけど、神様との約束なんだ。ごめんね!!!もう、お話することはできないかもしれないけど、ベッドの上からいつもキミを見守ってるよ!大好きだよ!キミに買ってもらえて本当に嬉しいんだ!ねぇ、最後に一つだけボクのお願い聞いてくれる?』
もうお別れだと思うと涙が出てきた。
「最後なんて言わないでよ。話せなくなるだけでずっと一緒にいれるじゃん。」
『そうだよね!ごめんね!ねぇ、笑ってよ!そして、話せるボクから最後のお願い。これならいいでしょ?』
「うん…本当にぬいぐるみに戻っちゃうんだね。寂しくなっちゃうな。」
『チューしていい?ボクね、作られてる時からずっと、買ってくれた人がボクを大事にしてくれたら、チューしたいなって思ってたんだ。人間って好きな人とチューするでしょ?うらやましくてさぁ。ぬいぐるみとチューなんて嫌かな?』
私はもう声も出ないくらいに泣いてたから、首を横に振りつつ、頑張って笑顔になった。涙は流れたままだけど。
『ありがとう。目瞑って!ボクからチューしたい!』
私が言われた通り目を瞑ると、毛のようなものが口に当たった。そっと目を開けると
『ボクの夢を叶えてくれてありがとう。またいつかお話したいな。これからも、毎晩ボクに話しかけてよ?そうじゃなきゃボク拗ねちゃうから!!!』
とだけ言ってまた動かなくなった。
「ちょっと!私の返事も聞いてよ!これからも、何があっても一緒にいてよ?本当におまえのこと大好きだから。チューしてくれて嬉しかった。一晩ありがとう。」