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旅

作者: VISIA
掲載日:2026/11/04

 効率化ばかり要求される世の中で、ムダな時間の使い方が許される"糞"と"旅"は、金を使う使わないに関わらず、いかに贅沢なのだろうか。


 便秘ガチな友人が言っていた。



「旅など、暇なヤツがするものさ。」


「旅など、糞に比べたら"屁"みたいなモノだ。」


と。


 旅に出ようと思う。


 前へ前へ前向きに、新たな人生を求めて前へ前へ。


 1日1歩、3日で玄関。


 3歩進んで、寝室へ下がり、


 イツモノ薬ヲ服用シテ眠リニツク。


────おやすみなさい。



『旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る』




遠い遠い昔の名もなき旅人は、


"天の国"を目指して、


上へ上へと、高い所を目指して地道に歩き続けたが、


全く辿り着けなった。


それでも諦めずに、前へ前へ進み続け、



東尋坊


三段壁


日光華厳滝


青木ヶ原樹海


犬鳴村


杉沢村


八つ墓村


きさらぎ駅


を経由して、


海岸線を一周し、


やがて旅人は、国で一番高い所まで到達したが、それから直ぐに道に迷い、


憑かれと疲労で動けなくなり、日の入りを待たずに横になって、そのまま朝を待った。


真夜中に目を開けて、空を見る。


夜空の"ド真ん中"に、大きな大きな丸い"お月様"が昇って来て、


まるで、旅人を脅迫するように"ガン見"してくる大きな大きな大きな"お月様"に、


旅人は威圧され、恐怖を抱く。



そこへ突如、見知らぬオヤジが現れ、旅人の側に来てシャガム。


そのオヤジは、クパァと唾液の縦糸を引き伸ばしながら口を開き、


「月がキレイですね……」


と、興奮して話しながら、優シク旅人ノ肩ニ手ヲノセル。



旅人は身体的危険を感じて、命カラガラ逃げ出した。


すると後から、オヤジがツイテ来ル。


白い貝殻の、小さな紐ビキニを振り回しながら、


何処までも追いかけて来る。



オヤジの後から、


大きな大きな大きな"お月様"も、何処までも追いかけてきて、


旅人は、何処までも何処までも逃げ続けて、



追い詰められた東尋坊の崖の上から、海に落ちてしまった。



そこで、現実の朝が来て、


そこで漸く、旅人の長い夢の旅が終わったのだが、



旅人は、目覚めなかった。


そこで、旅人の"人生の旅"が終わった。


旅人は、誰にも発見されないまま、


やがて、人の形を失い、


他の生物の"生命活動"という旅の糧(かて)にされた。


 生命進化の"旅"は今も続き、条件さえ整えば、空気中にも生命は誕生すると言う。


 海のように、情報を統合させるプログラムのように、"空気中の物質"どうしを関連づける"何か"さえ有れば、確率は0ではないらしい。


 例えば、長く振り続く雨に、海水の濃度ほどに塩分が含まれていたとしたら?


────AIは否定しなかったよ。


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