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さんじゅうろく

「良い名前だと思うけど‥。じゃあカガチはどんな名前がいい?」


「酒造じゃ」


「いやいやいやその名前だと、カガチの酒製造機になりそうだから、却下で!」


スライムくんも私の意見に同意なようで、プルプル震えた。


「少しふざけただけじゃ!スライムじゃから、イムちゅう名前はどうじゃ?」


イム?えーと、これはもう、ルをプラスするしかない。そうすれば、スライムの代表的アニメの中の、大手企業のゼネコンに勤めていた、37歳の男性サラリーマンが、通り魔に刺されて死亡しスライムとして異世界に転生した主人公と一文字違いの名前になる!


「イムだと、漢字にすれば忌むになって縁起が悪いから、ルをプラスしてイムルで決まりだよ」


「なんぞ、ヲタク臭がするんじゃが…。まぁイムルで良いんじゃないか」


ヲタク臭とか…、鋭いカガチ。でも了承してくれたし、スライムくんはフルフル震えながら私の肩に飛び移ってきた。これはたぶん喜んでる証拠だ。


よし、『分析・解析』でイムルの名前を確認してみよう。


「ちょいイムルの情報見せてね」


親しき中にも礼儀ありって言うし、礼儀知らずにならないように私の肩でフルフル震えるイムルに了承を得て?、早速『分析・解析』で情報と言う名のステータスを確認する。


[種族、スライム。個体名、イムル。主人、小太刀 橙子。スキル、『増幅』。現在の粘液は蜂蜜である]


やっぱりHPやMPは不明だったが、スキル『増幅』があるのに驚いた。


もしかして、私、優良物件手に入れたかも。


『増幅』があれば、ポーションを増やすことができそうだし、そうなれば簡単に稼げる。あぁ、目が金マークになる。


「イムルの粘液は何じゃ?酒か?」


「食い意地ならぬ、酒意地張ってるね。残念だけど蜂蜜だよ」


「つまらん」と舌打ちするカガチだけど、この国では甘味が少ないから蜂蜜は貴重だ。デュモンディー伯爵家でも甘味は果物が普通で、お菓子など見たことがない。


お菓子に必要な砂糖の原料となるサトウキビは、南の国にしかなく…、つまり、輸入しなければ手に入らないのだ。食べられるのは王族くらいかな?

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