表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/19

さん

気づけば姿絵に涙の染みが広がっていた。


異界の者の命はチリのように軽い地獄のような場所に、匠を置き去りにして死にたくなんてなかった。約束を守りたかった。


どうせ転生するなら、私が死んだ直後にして欲しい。ぶっちゃけて言うと、1000年も経ってからじゃ遅いから!


「くたばれテティス神!」


沸々とした腹の底から湧き上がる怒りの声。それに応える声は無いはずなのに…。


「そう言うん時は、『ふぁっく』つって叫びながら、このポーズをするんじゃ」


「!?」


心臓が跳ねた。


物置部屋に入った時私は1人だったし、室内には誰もいなかった。それに誰が物置部屋に入った足音もしなかった。


まさかオバケ?


いやいや、オバケなんてないないない。だいたいオバケは「ふぁっく」なんて言わない。この屋敷では私に嫌がらせするヤツばかりだし、きっと使用人の誰かだ!


それでも心臓はドクドクとうるさく脈打つ。恐る恐る声が聞こえた方に視線を向けると。


そこに居たのは、背が私より頭ひとつ分低い子供だ。日本の夏でお馴染みの甚平を着ていて、黒目黒髪の。男の子にしては長めのショートヘアーで、前髪を伸ばし真ん中で左右に分けている。そして、人族でないと主張する額から突き出た一本の角。その子が右手の中指を天井に向けて突き立てていた。


「何で、魔族が?」


「あほんだら!ワシは魔族なんぞじゃないぞ!ワシは獄卒じゃ!!」


「獄卒って、あの地獄の鬼の!?」


「そうじゃ。名はカガチじゃ。日本出身のくせに魔族と間違うなど、言語道断じゃ!」


御伽話で地獄に住む鬼で有名な、あの獄卒か!確かに、吊り上がった黒い瞳には、子供らしい純粋な輝きがなく、イっちまった目をしてる。例えるのなら、モンスターを狩るゲームに三徹でのめり込むヲタクの瞳とか、スプラッター映画で人間達を追い回す怪物の目だ。


つまりは、イカれた目をしてるってことだ。


「なんぞ、失礼な事考えちょる顔じゃなぁ」


「ソンナコトナイデス」


「片言になっちょる時点で図星か!」


「すみませんです」


「まぁ、良い。それよかお前さん、小太刀 橙子で間違いないんか?」


スッと獄卒カガチが目を細めると、空気がピンッと張り詰める。流石は獄卒。地獄に落ちた亡者を責め苛む鬼だ。


真実を語れと重圧感が凄い!


「はい。間違いなく私の前世は、小太刀 橙子でしたが、転生して今はリデア・デュモンティーです」


隠す必要がないから素直に答えると、カガチは目を見開いた。


「なんじゃと!?お前さん、亡者じゃないんか!!ワシらの縄張りで九回の裁判をせんと、生まれ変わったちゅうことか!?」


「ひぇ!?はいぃ!!」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ