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さんじゅうご

「ねえ、カガチ。このビーカーに入ってるの、なぁんだ?」と、林檎酒を見せつけた3分後。


「お前、案外と可愛いフォルムしちょるな」


チョンチョンとスライムの核を撫でるカガチ。林檎酒の威力で私は勝利した。


「知らなかったわ。スライムの粘液がお酒だったなんて」


「いやいやいやユナさん、スライムの粘液は食べ物で変化するから、今回はたまたま林檎酒だっただけだよ」


「それじゃあ、食堂のメニューに加えるのは、むりね」


残念とか言いそうなユナさんだが、カガチからしっかりペットの追加料金を請求して、「トーコちゃん、ありがとうね」と、ウキウキとした足取りで部屋から出て行った。


「なあ、トーコ。ガラパ領に行くぞ」


「?」


「ガラパ領には、米があるんじゃ」


「察したよ。スライムくんに米を食べさせて、日本酒ができるか確かめるんしょ。いやいやいや、デュモンディー伯爵の件のが先だよ」


「…」


納得してないって顔をするカガチ。スライムくんの検証は後日で!




「林檎酒は久しぶりじゃったなぁ。お!?スライム!草っ花なんぞ食うんじゃない!!」


冒険者ギルドに行く途中の道で、好奇心旺盛にたんぽぽのような花を食べるスライムくんを無理矢理引き剥がすカガチ。面倒見が良いなぁ。


このカガチとスライムの関係は、蟻と油虫の関係そっくりだ。アリはアブラムシが出す甘い蜜を餌としていて、その代わりアブラムシを天敵から守る。つまり、お互いに利益があるため相利共生なのだ。


なんだか、私のスライム研究の邪魔をカガチがしそうな予感が。


スライムくんの主人は私なのだから、しっかりしなきゃ!


でも、まぁ、カガチはスライムくんを頭に乗せて可愛がっているから、しばらくはこのままにしておきますか。


「なあ、橙子。スライムに名前をつけんのか?」


そういえばスライムくんの名前、まだ決めてなかったな。


「えーと、天才になってほしいスライムってことで、天スラなんてどうかな?」


あの人気アニメを略した題名と一字違いだし、良い名前だ。


「却下じゃ。天スラなど呼びずらいし、聞いたことがあるしな」


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