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さんじゅうに

「‥」


知らなかったようで、見た者を瞬時に石に変える力を持っているメデューサに睨まれたように、固まるカガチ。


何となく分かった。カガチが1000年経っても、私と匠の情報を得られなかった理由を。


「情報収集能力に難ありだね」


そっとカガチの右肩をポンと叩く。乙ですと。


「喧しいんじゃ!お貴族様を相手にするんは、貴族が1番いいんじゃ!」


お!固まりが解除された。が、言っている意味が分からない。


「つまり?」


「デュモンディー伯爵の許可を得るんに、キャッシー・リルバーのお嬢に口添えしてもらうんじゃ。じゃから、橙子、お前さんの錬金術を使ってお嬢に恩を売るんじゃ!」


「えーと、具体的に何するのかな?」


「お嬢はな、今、火属性スキルが使えんらしいからな、橙子ならチョチョイのチョイと錬金術で治せるじゃろう」


「いやいやいや、錬金術頼みよくないよ!万能じゃないからさ!」


「何じゃ、治せんのか。ガッカリじゃな」


その言い方ムカつく!私の錬金術を馬鹿にして!!


「たぶん治せるから!ただ診察とか面倒だと思っただけだから!」


「そいなら明日、お嬢に会って診察じゃな」


明日の予定は決まりだとエールを飲み干すカガチ。


なんか乗せられた気がする。



静かな宿屋の一室。カガチが食堂でエールを飲んでいるのをいいことに、カガチが使っているベットの上で、パラパラと1000年前の植物のデータを広げる。


獄卒と言う鬼は酒豪で当分は戻ってこないから、勝手に使わせてもらう。


因みに私のベットの上には、錬金術の資料が山になっている。そして、薬草を選別するスペースが…、床。


錬金術の工房が欲しいところだが、まぁ、汚れないように紙を敷けば良いか。


細かいことは気にしちゃいけない。


私が錬金術で1番最初にマスターしたのは、薬草学と書いてポーション作りだ。つまりどんな場所でもポーションが作れると言うこと。


ポーションと言ってもいろいろな種類があり、今回作るのは、キャッシー・リルバーの専用のポーションになる。キャッシーさんは喉の火傷で、声帯を潰しているため治癒ポーションと特化型ポーションを掛け合わせた物だ。


治癒ポーションは怪我や骨折を治癒し、特化型ポーションは欠損分を再生させる。


「さて、始めますか!」


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