さんじゅういち
「じゃあ、匠探しに!」
期待で私の瞳が輝くのを自分でもわかる。
「その前にじゃ、橙子は魔物ちゅうもんを、何処まで知っちょるんじゃ?」
「えーと、魔物は、シュトラーフェが吐いた瘴気から発生すんだよ。で、魔物を倒す方法は、光、火、水属性のスキルを使った攻撃。デュモンディー領から東の森林は瘴気が集まりやすくて…」
嫌な予感がする。
カガチは、日下部 匠の居場所の手掛かりを掴んだと言った。その直後の魔物を知っているか?の質問。
匠と魔物が無関係じゃない事を示しているようで、背中に冷たい汗が流れる。
日本にいた頃の匠は、優しくて虫も殺せない人だった。キッチンでGが出ると私を盾にして…。ともかく、そんな匠がシュトラーフェや魔物と関係があるとは思えない。
「どうして魔物のことなんて聞くの?」
「今朝の依頼でな、魔物の残骸を始末したんじゃが、その魔物の残骸から日下部 匠の気配がしちょったんじゃ」
「匠の気配って。カガチは匠と会ったことないでじょ。なのに分かるはずないよ」
「探知機がなぁ反応しよって、日下部 匠の残留思念が魔物の残骸から見つかったんじゃ」
嫌な予感は当たると言う。
「日下部 匠の魂は魔物に取り込まれたのかもしれんのじゃ」
嘘だと思いたいが、確認しなければいけないと私の感が訴えている。
「そいで、デュモンディー領から東の森林で魔物を引っ捕まえちゃろうと思うんじゃが、橙子はデュモンディー領に行くんは平気か?」
デュモンディー家でリデアであった私は酷い目に遭っていた。
東の森林に入るには、光、火、水属性を持つ者か、デュモンディー伯爵の許可が必要だが…。きっとカガチは私が父親に会うのは嫌だろうと、気を遣っているのだ。
イカの姿焼を咥えてカガチがチラリと私を見た。
「私のことは大丈夫だよ、匠に会うためだからさ」
「橙子は日下部 匠を本当に好いとるんじゃな」
なんか改めて言われると、なんか恥ずかしい。
「まあね。で?デュモンディー伯爵に許可を貰うに、何か良い案あるの?」
「?」
「いやいやいや、カガチさん。デュモンディー伯爵は仕事に厳しい人だよ。安全を考慮して魔物を倒すスキルがない者を、東の森林の立ち入りを簡単に許可するはずないよ」




