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にじゅうはち

犬や狼系の魔獣は回避できても、これではその他の魔獣に居場所を知らせているようなもので。地面に撒くなら良いが、全身に振りかけるのはダメだよ、ダメ。


でも、これで遠吠えしていた魔獣と遭遇する危機もないだろし、くしゃみを堪えて薬草採取の続きをしますか。


あ!異世界固有の薬草、リプル草発見!!



カガチside


地獄の鬼である獄卒と縁を結ぼうなど普通の人間は思わんが、小太刀 橙子は獄卒と居る事を望んだ。


今まで冷遇されていたにしては、陽気で面白い人間だ。


恋だの愛は、良くも悪くも人の人生を変えると言うが、小太刀 橙子の愛はどちらに転ぶか楽しみで、観察しちゃろうかと思わせる。


と、軽い感覚で連れ出したが、まさかギルドの受付嬢から喧嘩を買うとは思わなんだが。


「あんな貧相な娘、カガチさんの弟子になんて駄目よ。もっと相応しい人がいるわ」


カウンターで頬杖をつくキャッシー・リルバーっちゅう受付をしとるお嬢は、何かを勘違いしちょる。


「ワシは弟子などとらんぞ」


「そんな事言って。魔獣や魔物の討伐は危険なのだから、今のうちから後継者を育てるのは、実力者なら義務みたいなものよ?」


何を言っちょるんじゃ。ワシはこの世界の者じゃなく、獄卒で閻魔様の命でおるだけじゃ。それが終われば地獄に帰るだけで、この世界のことはワシには関係のないのじゃが。


「後継者じゃなんぞと五月蝿いお嬢じゃ。そんな事よりも、ワシに依頼がきちょるんじゃないんか!さっさと見せるんじゃ!!」


「今回の依頼はリルバー男爵からなの。特別に読み上げてあげるわ」


「上から目線で、何を言うてんのじゃ。ワシは読み書きぐらいできるぞ」


可笑しなことを吐かすお嬢から、依頼書を引ったくり目を通すと指定者の欄にキャッシー・リルバー。港町ヴォワル北西の浜辺に魔物の残骸が流れ着いた。残骸から魔物が再生する可能性があるため、火属性スキルでの焼却処分を依頼する。と書かれている。


つまりじゃ。この指定依頼書はお嬢、キャッシー・リルバー宛の物じゃ。


ジロリとお嬢を睨む。


「ワシにお嬢宛の依頼をやらせようなんて、いい根性しちょるなぁ」


「え、え〜と…」


言い訳を考えてるのか、うにょうにょとお嬢の視線が宙を彷徨う。


「早う理由を説明せい!!!」


お嬢のウザったい態度にイラッときて、つい声が大きくなる。周りから視線が集まったが、気にせんのが獄卒って者じゃ!


「…ごめんなさい。依頼書に火属性スキルでの焼却処分と書いてあるのに…、私、喉を痛めてから、スキルが使えないのよ」


困ったお嬢じゃ。



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