にじゅう
「いらっしゃい、安くしとくよ!」
「今日、取れたばかり、新鮮だ!」
「アジがおすすめだよ!」
威勢の良い呼び込みがお客さんを引き寄せる。
その中で私が気になったのは、グレーの帆布を屋根にした露店だ。タライにはられた水面のなかには、巨大なヒトデが。このサイズのヒトデは水族館でも見たことないよ。
漢方薬のように、ヒトデを煎じて?飲むのだろうか?
「お嬢ちゃん、ヒトデが珍しいのかい?」
ジッとタライの大きなヒトデを見ていたせいか、売り子のおばあちゃんに声をかけられた。
「このヒトデどうするんですか?」
「おや、知らないのかい?ヒトデは乾燥させてから粉々にしてばら撒くと、有害な魔獣、魔鳥や害虫を寄せ付けないのさ」
なるほど、忌避剤になるのか。故郷でも聞いたことあるし、面白そう。
「買ってくかい?5個で銅貨3枚だよ」
「じゃあ、ヒトデ5個ください」
「まいどあり」の決まり文句と共にヒトデを受け取り、『アイテムボックス』へ。
良い買い物をした。早くヒトデの威力を検証したい!
…『転移』があると言えども、匠探しの旅でもしかしたら野宿するかもしれない。きっと、たぶん、その時に役立つだろう。だから決して無駄遣いではないのだ!
誰に言い訳してるんだ私。
それにしても、まだ生きている魚もいると言うのに、この港町では刺身の文化がないらしいく、マグロの解体ショーもない。残念だ。
目がキラキラとしたマグロを見つめて溜め息を吐くと、海鮮を焼く香ばしい匂いがして。匂いに釣られて移動すると、女将さんオススメの草色をした屋根の露店に行き着いた。
串に刺した魚や貝を炭火で焼いて提供していてる。もちろん、海鮮の持ち込みもokだ。
タライには、大人の拳大ほどの大きなアサリが山のように入っていて、今日のオススメだと店主のおじさんに教えてもらった。
オススメ、期間限定、なんとか賞受賞した商品、名物は、即買いするのが人と言うもので!
「おじさん、アサリ1つ焼いてちょうだい!」
「銅貨2枚だ。まいどあり!」
網の上で、パチパチブクブク音を立ててながら、ゆっくりと口を開けてるあさりに目が釘付けになる。塩を少し振ってもらい。
「お待たせ、お嬢ちゃん。熱いから気をつけるんだぞ」
焼きたてのあさりを受け取り、冷ましながら一口。肉厚な食感と、潮の香りと貝特有の豊かな旨味を塩が引き立てる。
美味しい!
「イカ焼きもオススメだぞ!1串、銅貨4枚。安いよ」と串に刺さったイカを焼き始めたおじさん。
あっ。カガチに頼まれたイカ焼きかぁ。でも、なんか、違和感が?
まぁ、いっか。
「おじさん、イカ焼き5枚包んでちょうだい!」
注文したら、何故か生暖かい目で見られて、私は首を傾げた。
「お嬢ちゃん、串に刺さっている物は1串、2串って数えるもんだ」
「…。」
恥ずかしいと思いながら、塩味のイカ焼きを受け取った。




