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じゅうろく

感情のない冷たい声に、あぁ、本当に興味がないのだなと実感するが、前世を思い出した私は、そのことに心が痛まない。


「承知しました。…最後に1つだけ」


父…、いやデュモンディー伯爵の机の上に件の指輪を置いて一言。


「この指輪を身につけた遺体を裏庭で見つけました。弔いを宜しくお願いします」


父娘の最後の会話だと言うのにそっけなく終わり、了承の言葉は無かったが、私は退室した。


デュモンディー伯爵に「遺体があった」と言ったが、信じただろうか?指輪を確認するかだろうか?と不安になった瞬間、書斎の中で何かを倒した音が響く。


何?と私がクエスチョンマークを浮かべると同時に、デュモンディー伯爵が慌てた様子で書斎から出てきて、そのまま階段を降りて行った。


「あれで上手くいったんか?」


『隠密』を解き階段の先を見ているカガチは、私を信じていないようだ。


「勿論、言質も取れたし問題ないよ。それにデュモンディー伯爵のあの様子なら、母の件も大丈夫そうだし。もしかしたら、犯人探しもするかもね」


「言質、無効じゃと言わんといいがな」


「大丈夫だよ。貴族の言質は絶対だから」


これで、心置きなく匠探しの旅に出れる。気分は、空を漂う風船のように軽やかに浮き上がり、ドキドキもしている。


「荷造りするから少し待っててよ」


「早よせいよ」


荷造りは『アイテムボックス』で簡単に終わり、私はカガチとデュモンディー伯爵家を後にした。



デュモンディー伯爵邸の敷地から外に出ると、入試を終えた学生かのような解放感。隣にカガチがいるにもかかわらず、「自由だ!」と叫びたくなった。


どんだけデュモンディー伯爵家が、重荷だったんだよ。


見上げた空は、茜色に染まっていて、歩きで街まで行くとなると、着く頃には真っ暗になるだろう。良い宿は明るい時間から部屋がうまる。暗くなっても空いている宿は碌な所じゃないのが定説で。


まあ、いままで床に毛布を敷いて寝ていたのだから、碌でもない宿でも問題ない。


「ベッドで寝れるだけでも、ありがたいわ」


「何を言っちょる?これからワシの常宿に行くんじゃから、ベッドで寝るんは当たり前じゃ」


なるほど。常宿なら真っ暗になっても、融通してもらえのだろう。


「ほれ、掴まれ」と手を差し出してくるかガチ。


「どうして?」


「『転移』で移動するからに決まっちょるじゃろう」


「『転移』ですと!転生ヲタク達の憧れの3大スキル『転移』『アイテムボックス』『分析・解析』が揃うなど、私達の旅は、最強装備で始まりの森ダンジョンを散策す勇者のようなもの!ヲタクな私に死角なし!!」

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