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第5話

 夜でもヒルキャニオンは眠らない。夜行性のアニマロイド達はこれから活動を始める時間だし、昼に働くアニマロイドも夜になると繁華街へ遊びに出かけるからだ。


 そんな賑やかな街の中でも、特にネオンがまるで昼間のように輝いている場所があった。それは街の中心部に位置するカジノエリアだ。

 数年前までは、ここはただの自然公園だったのだが、ジージャスという資産家が外からやってきてあっという間に巨大なカジノを作り上げてしまったのだ。


 カジノは三つのエリアに別れている。プレイエリア、ホテルエリア、そしてVIPエリアだ。

 そしてサルのような庶民の入れるのはプレイエリアまでとなっている。


 プレイエリアの内装は赤と金を基調にした豪華な作りとなっていた。


「いけぇ!いけぇーー!!!」


 黒か赤か、赤か黒か。白い玉がルーレットの外周をぐるぐる回る。賭けた方の色に入ればその分コインが手に入る。一般にアウトサイドベットと呼ばれる方法だ。


「当たれーー! ウキィ!」


「お客様、他のお客様のご迷惑になりますのでもう少しお静かにお願いします」


「うるさーい! 今、この瞬間に、オレの人生がかかっとるんじゃーい」


 コロコロ……コツン


 玉が止まった場所は21番の赤。そしてサルが賭けたのは黒だった。


「ウキィ~ウキィ~」


「お客様!お客様~!」


 ショックのあまりサルは言葉を失う。その時となりでスロットを回していたアマガエルがやって来た。


「どうしたんです」


「あ、お客様のお連れ様ですか?急にお連れの方の様子がおかしくなって……」


「大丈夫。後はオイラにまかせるのです。迷惑をかけたのです」


 そしてアマガエルはサルを店の隅に連れて行った。


「ウキィウキィ」


「クソザル。これを見るのです」


 そう言うと、アマガエルはサルの目の前に一万c紙幣を差し出した。


「ウキィウキィ…………はっ 金! ん、オレは一体何を……ここはどこ。わたしは誰?イケメン?それとも天才?」


 アマガエルは差し出した一万c紙幣をサルに取られる前にさっと懐にしまう。


「お前はクソザルです。そしてここはジージャスカジノ。ここに来た目的を忘れてはいないです?」


「ああ、もちろん! 一発稼ぎに!」


「違うです! ゴッドブレスを手に入れに来たのです!」


 ―そうだった。危うくカジノの雰囲気に飲み込まれるところだったぜ―


 このジージャスカジノでは一晩で何億、何十億もの金が動く。その中には貴金属や宝飾品、宝石も含まれるのだ。ゴッドブレスが街の宝石店に無いのだとしたら、他にある場所はここしか考えられなかった。

 廃工場でブルーライトを当てた赤い宝石は消えて無くなった。つまりあれは偽物だ。なぜ消えたのかはまだ分かっていないが、本物の宝石がここにある可能性は高いと思う。


「わかってるぜ。それでどうする。ここには宝石なんて見あたらなかったぞ」


 プレイエリアは庶民も出入りする区画で掛け金も高くない。宝石などが賭けの対象になるのはもっと高額なエリアなのだろうか。


「そうですね。やはりVIPエリアを目指す必要があるかもです」


「なら潜入するか」


 サルは忍び込むのが得意だ。これまでたくさんのゴロツキのアジトを潰してきたのも、こっそり内部から侵入し裏工作をしたから二人だけでも成功したのだ。


「しかしここはあのジージャスカジノです。きっと警備も今まで以上に厳しいはずです」


「うーん、そうだな~  …ん、あれを見ろよ」


 その時サルは人ごみの中に他のアニマロイドとは明らかに違うシルエットを見つけた。身体は小さく体毛もない。絶対に依頼してきた少女―岡野赤美だ。


 赤美は事務所にきた時よりも少しきっちりしたワンピ―スを着用していた。そして少し歩く度にうろうろと見渡して周りの視線を気にしているようだった。


「怪しい奴を見つけたら、探偵は何をするべきかしってるか?」


 ―そう! もちろん尾行だ!―


 二人は赤美をこっそり追いかける事にした。

ご拝読いただきありがとうございます!


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この先もよろしくお願いいたします。

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