第3話
サルとアマガエルの二人は交番を出ると表通りにある喫茶店に入った。アマガエルはまだ勤務の最中だったが、いつも探偵事務所でサボっているのだから何も問題はない。ただ二人で話す場所が探偵事務所から喫茶店になって、会話の内容が少しだけ物騒になるだけなのだから。
サルは飛び切り辛い特製カレーライスを注文した。旗がご飯の上に刺さっている奴だ。アマガエルが頼んだのはフルーツパフェだ。よほど甘いものが食べたかったのだろうか。長い舌でパフェに乗っかっているアイスクリームをぺろぺろ舐めている。
「それで、どうする」
「まあ、宝石店を探したって見つからないのです。ゴッドブレスは違法薬物なんです」
「そうらしいな。じゃあ、薬局にでも聞き込みにいくか~」
そしてサルはカレーを一口頬張る。
「こりゃ辛い。水がいるな、取って来る」
「分かりました」
そう言ってサルが席を立ちドリンクバーに向かった瞬間、喫茶店の中にいきなり車が突っ込んできた。
窓ガラスが割れ店内のいくつかのイスや机などは衝撃で砕け散った。車の突っ込んできた場所にあったサルの居た所も跡形もなくなっている。
「きゃあ、きゃあ!」
店のウエイトレスがパニックになっていた。
「皆さん落ち着いて! オイラは警察官です。安全な所に避難して!」
「は、はい! ありがとうございます!」
アマガエルの指示で店の客たちは全員外に出た。
「一体なんだ?酔っぱらいか?」
「さあ、でもこの車はクソザルの居た所につっこんできたです」
「まさか、オレの命を狙ったとでも言うのか?冗談じゃないぜ」
車のボンネットは大きく凹んでいた。中にいた運転手は即死だろう。
それでも一応確認しようと、サルは車の扉を開けて運転手に声をかけた。
「おい、生きてるか~」
「気をつけるです。ガソリンに引火するかもです。早くオイラ達も離れるです」
「ちょっと待て……! こいつ、何かおかしいぞ」
車の運転手は山羊のアニマロイドだった。車からはアルコール臭もしない。しかし山羊男の瞳が異様なほどに真っ赤だったのだ。まるで宝石のように。
「この瞳……ゴッドブレスの中毒症状です」
「お、まじか」
するとサルは山羊男の手に何かが握られているのを見つけた。それは小さな青い光のでるペンライトのようだった。
「貰っとくか。よし、ずらかるぞ」
「あ、泥棒ですよ!」
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