雨の日の訪問者
久しぶりの投稿です。よろしくお願いいたします。
駅前から続く商店街は今日も多くの人で賑わっている。私は楽し気に歩く人たちの邪魔にならないように自転車から降りると、目的地まで押して歩いた。商店街のアーケードを抜けてほんの少し先、商業地と閑静な住宅街のちょうど境目に小さな画廊がある。いつもと変わらない落ち着いた佇まいに自分の頬がゆるんだのを感じながら脇の路地に入って自転車を置くと、鍵をかけるのも早々に画廊の扉を押した。
「おじさん、こんにちは!」
木製のドアベルが柔らかく鳴る音に気付いて奥から現れた人物に、私は元気よく挨拶した。
「さつきちゃん、久しぶりだね」
おじさんはいつもと変わらず嬉しそうに目を細めて迎えてくれた。
「おじさん」と呼んでいるが、正確には「叔祖父」にあたる。私にとっては父方の祖父の弟だ。でもおじさんの年齢は祖父よりも私の父に近い。これには深いわけが…というほど大げさなものではないが、要するに曾祖父のやらかしが原因だ。
曾祖父は仕事のできる人だったらしい。私が生まれる前に亡くなったのであくまで伝聞ではあるが。この地方都市を中心に手広く商売をし、金融恐慌などもうまく乗り越えてそれなりの財産を築いたと聞いている。家に残っている写真で見る曾祖父は、昔の人にしては背が高く意志の強そうな引きしまった顔つきでなるほどと思わせる男ぶりだ。
これはさぞかし女性にモテたでしょう。でも曾祖父は若い時から苦労をかけた奥さんを大事にしていたそうで、「おじさん」を産んだ女性とそういう仲になったのは奥さんが亡くなってしばらく経ってからだそうだ。実はその女性の写真も残っている。私が小学生だったころ納戸にあった古い写真の束の中から見つけた。和風美人の芸者さんだ。小さな白黒写真だったけれど、裏におそらく曾祖父の手で「かつきよ」とだけ書いてあったことを覚えている。曾祖父は生まれたおじさんをきちんと認知したけれど、かつきよさんと再婚はしなかった。残念ながら産後体調を崩したかつきよさんは数年後に亡くなった。失意の曾祖父に代わっておじさんを育てたのは、曾祖父の長男夫婦すなわち私の祖父母だった。
「そりゃあびっくりしたわよ。結婚してすぐに子供が生まれて大変なところへ、いきなり小学生の弟の面倒を見てやってくれってねえ。でもなっちゃんのことは聞いていたし、かつきよさんのお葬式にも行ったし、何よりあの豪傑だったお義父さんがすっかり気落ちしちゃって…」
祖母は根っからの楽天家で「なんとかなるわよ」が口癖の人だ(そして実際になんとかしてしまう。実にパワフル)。その後すぐに曾祖父も亡くなり経済的にも大変だったらしいが、おじさんや私の父を含めて4人の男の子たちをしっかり育て上げた肝っ玉おばあちゃんでもある。そんな祖母に頭のあがらない祖父としては、せっせと温泉や海外旅行に連れ出すことで奥さん孝行をしているつもりらしい。
「今さらお父さん(祖父のこと)と二人で出かけても話すこともないわよお。お友達とお茶でもしていたほうが楽しいんだけれどね」
唯一の女の孫である私にこっそりそんなことを言いながら、元気で動けるうちにと案外楽しそうに二人で出かけている。
いい歳をして未だに祖母から「なっちゃん」と呼ばれているおじさんの名前は「那智」という。以前私はおじさんに「那智って男の人には珍しいけれど素敵な名前だね」と思ったことをそのまま口にしたのだけれど、その時のおじさんが何とも言えず困ったような表情だったのでうやむやになった。
「急に留守番を頼んですまないね、さつきちゃん」
「午後の授業はない日だから大丈夫だよ。おじさんはいったん家に帰るの?」
「うん、喪服に着替えないとならないし、道子と一緒に行くから。斎場が遠いから帰りは遅くなると思うんだ。あ、これ合鍵。荷物が届いたら奥の部屋にしまっておいてね。鍵は都合のいい時に返してくれればいいからね」
画廊の留守番は何度か頼まれたことがあるので慣れている。今回呼ばれたのは急な葬儀と荷物の配達が重なってしまったからだった。
「お客様がいらしたらいつも通りの対応でいいよ。たぶん誰も来ないと思うけど…それから冷蔵庫にさつきちゃんの好きなアイス入っているから食べていいからね」
私は幼稚園児ではないぞ。
「わかったから大丈夫。ほら、早く帰らないとお通夜に間に合わないよ。特急に乗らないといけないんでしょ?」
「ああ、そうだった。道子に怒られる」
おじさんは慌てて奥からカバンを持ってくると、また戸締りのこととか繰り返しながらようやく出て行った。
手を振りながら見送って私はやれやれと苦笑い。おじさんは両親の良い所ばかり受け継いでるし、画廊を経営しているくらいだからセンスも良い。優しすぎて身内にはとことん甘いのが玉に瑕。おじさんと奥さんの道子さんは子供に恵まれなかったけれど、子供好きな二人はその分私たち兄弟や従兄弟たちを思いっきり可愛がってくれる。
「さて、と」
来週からの企画展に備えてか、今日の展示物は比較的少ない。お客さまもいないので、端からゆっくりと絵画を鑑賞していった。初めて見る新人さんのものらしい風景画のタイトルは「那智の滝」。思わずくすっと笑ってしまう。棚の隅にある小さな花活けも初めて見るものだった。手の中に納まるほどの大きさで、ぽってりとした曲線と柔らかな色合いは萩焼だろうか。新しいものではないようなので、売り物ではないかもしれない。
**********
レポートを打ち込んでいたノートPCから顔を上げると、いつの間にか雨が降っていた。傘立てを表に出したついでに周りを見回す。駅の方から来る人たちは突然の雨のために帰宅を急いでいるようだ。中に戻ろうとしたとき、一人の女性がこちらに歩いて来るのが目に入った。傘をすぼみ加減にして、胸元に何か大事そうに抱えている。そのためか足元の段差に気づかず転びそうになったので、思わず駆け寄って腕を支えた。
「大丈夫ですか?」
近づくとふわりと品のいい香りにつつまれた。
「まあ、ご親切にどうも。いやだわ、年はとりたくないわねえ」
そんな風に言うほどの年齢にも見えないが、ほんの少し眉をよせたのでどこか痛いのかもしれない。
「よろしければ中に入っておかけください。足を痛めていらしたら大変ですから」
女性は少しためらったようだが、すぐに頷いた。
「ありがとうございます。お言葉に甘えて少しだけお邪魔させてもらいますね」
入り口で傘をきっちりとたたんで傘立てにおさめた女性を、画廊の奥にある小さなソファに案内した。ここに座ると部屋全体が見渡せる。ご高齢の常連客などが好んで座っている場所だ。
「お急ぎでなければ、ゆっくりご覧くださいね」
そう言って私は奥の部屋へ行った。すぐにお茶を入れてもどってくると、彼女は先ほどとは体の向きを変えて一点を見つめているようだ。
「どうぞ」
そう声をかけながら傍らの小さなテーブルに茶器を置いた。
「まあまあ、ご丁寧にどうも」
彼女はゆっくりとお茶を口にする。その動作のひとつひとつがとてもきれいだ。
「雨で少し冷えたところへ温かいお茶はありがたいわねえ。お嬢さんはアルバイトさん?」
「オーナーの親戚です。今日は留守番を頼まれて」
「まあ、そうなの?こちらの画廊は初めてだけれど、落ち着いていい雰囲気ですねえ」
「ありがとうございます。お気に召したものはありますか?」
普段あまりお客さまの接待などしないが、なんだか彼女にはとても話しやすい。
「そうねえ、絵の良し悪しなんてわからないんですけれどね。あちらの風景画はいいと思いますよ」
そう言って彼女が指さしたのは、あの那智の滝の絵だった。私はなんだか嬉しくて
「私もあの絵は今日初めて見たのですけれど大好きになりました」
と答えた。
彼女はしばらく絵に見入っていたが、そのままの姿勢でゆっくり話始めた。
「あの絵が上手なのかどうかなんてわからないのは本当ですよ。でも、あの場所がねえ、私の一番大切な思い出の場所なんです」
お嬢さんさえ構わなければ、少し年寄りの思い出話につきあってくださいな。そんな言葉を枕に彼女は話し始めた。
「私の両親は熊野の出だったんですよ。当時は国全体が貧しかったから地元では食べていけなくて、若いうちに都会へ出て来てがむしゃらに働いてどうにか小さな食堂をやっていたんです。私は遅くにできた子だったから可愛がってもらいましたけれど、どういう訳か家の商売ではなく芸事に惹かれてしまってね。親は堅物でしたからそりゃあ叱られましたけど、一人娘の我儘をとおして三味線のお師匠さんのところに通って…そこで知り合ったのが芸妓の姐さんたちですよ。そりゃあもう、みんな腕は達者だし、何より綺麗でねえ。あっという間に夢中になってしまいましてね。学校を出たら芸妓になると親に宣言したんですよ。三味線だけなら嫁入り道具の一つにもなると我慢していた親もさすがに怒って『勘当だ!』『出て行くわよ!』って、売り言葉に買い言葉。ふふ…」
口元に手をあてて笑う姿は、同性でも見惚れてしまうくらい艶めいている。
「三味線のお師匠さんから紹介された置屋で修行して、半玉から芸妓になって…芸事が本当に好きだったから一生芸に生きようと思ってたんですけれどね。そこであの人に会ったんですよ」
「あの人」
「そう、私よりずっと年上だけれど、そりゃあ素敵な人でしたよ。仕事はできるし、遊び慣れてはいても品があるっていうんですかね。ふふ、私の一目惚れ。それからは押しの一手ですよ。あちらは亡くなった奥様を忘れていなかったし、私はまだ若いんだから無茶をするなと何度も言われましたけれど」
「それでもあきらめなかったんですか」
「…芸妓としての見栄も誇りも人一倍ありました。男に頼って生きるつもりはこれっぽちもありゃしませんでしたけれどね。一人の女として惚れぬいたのは、後にも先にもあの人だけでしたよ」
彼女はずっとあの絵を見つめていた。
「そうこうしているうちに、両親が事故で一度に亡くなってしまって…最後の頃にはなんとか私の芸も認めてくれていたのだけが救いではあったんですけどね。両親の墓を故郷にたててやりたくて、あの人に一緒に行ってくれって頼んだんです」
「一緒に行ってくれたんですか?」
「天涯孤独の境遇を哀れに思ったのかもしれませんけれどね。それでも二人して汽車に乗って、故郷の寺で供養を頼んで…あの人は那智の滝へ連れて行ってくれて…私が一度行ってみたいと口にしたことを覚えていてくれたんだと思ったら嬉しくて嬉しくて」
「優しい方だったんですね」
私の言葉は彼女の耳に届いていたのかどうか。彼女の視線の先には本物の那智の滝があるようだ。
「あの晩のことは忘れられませんよ。あれほど幸せな夜はなかった。あの人のものになって、あの人を独り占めして…」
それまで元芸妓らしく張りのある声で話していた彼女はその瞬間恥ずかしそうに、それでも嬉しくて仕方ないと言うように頬を染めていた。何も言えないでいる私に気づいたのか、彼女は急に現実に戻って来たかのように笑った。
「あらまあ、若いお嬢さんに聞かせる台詞ではなかったわねえ。年甲斐もなく恥ずかしいこと」
「いえいえ」
ネットでも紙媒体でもあらゆる扇情的な情報が溢れかえる現代だ。彼女の言葉は時代遅れとも言えるものだったが、だからこそ真情が溢れていた。
「すっかり長居させてもらって、おかげさまで足もなんともないようですし、そろそろお暇しますね。お茶をごちそうさまでした」
そう言いながら立ち上がる彼女はもうあの絵の方は見なかった。
「こちらこそ、素敵なお話を聞かせていただいてありがとうございます」
ドアを開けて押さえている私の前に立ち止まった彼女は、困ったように眉を下げ気味にする。その表情がとても見慣れたものに思えた。
「実はね、さっきの話を息子にもしてしまったんですよ。子供だからわからないだろうとは思ったけれど、あそこであの子を授かったことをどうしても伝えておきたくてね。その時はわからなくても思春期には気づいてモヤモヤした気分になったかもしれないですねえ」
彼女はいたずらがばれた子供のように、でも悪かったとはこれっぽっちも思っていないようにクスクスと笑った。彼女から受ける印象は短い間にもどんどん変わっていく。もう一度懐かしいものを思い出すような顔を私に向けてこう言った。
「お嬢さんはあの人に一番よく似ていますよ」
「えぇ~」
思わず微妙な反応を返してしまった私に、違う違うというように軽く手を振りながら
「見た目だけのことじゃなくってね。心根というんでしょうかね、ピンと一本筋が通っているところ」
「あ、ありがとうございます。あの…ひとつだけ伺ってもいいですか?」
「はい、どうぞ」
「あの、どうしてその方と結婚しなかったんですか?」
自分でもどうしてそんな質問をしたのか、後になって思い出そうとしてもわからなかった。
彼女は私に向けていた視線をふいっと表の通りに向けた。
「そのころにはわかってたんですけどね、心臓がちょいとポンコツで、どうやら長生きはできそうになかったし。それに…あの晩のことが全てだったんでしょうねえ。子供ができた責任をとるためにお嫁にしてもらうのもお断りと思い込んじまってね」
「そんなことはなかったと思います」
「ふふ、若気の至りで意地を張っていたんでしょうね。でもあたしは幸せ者でしたよ。お嬢さんも人生思いっきり楽しんでくださいね」
雨はいつの間にかやんでいた。最後にもう一度本当に楽しそうに微笑んで、通りに足を踏み出し、こちらに背を向けたその後ろ姿は…
**********
「ごめんください、こちら――画廊さんでしょうか?」
「あっ、はい、そうです」
どうやら私は通りを眺めたまま、ぼうっとしていたらしい。後ろから声をかけられて目が覚めたような心地で振り返ると、淡茶の着流しがしっくり似合う落ち着いた雰囲気の男性が立っていた。おじさんより少し年上、そんな年代だ。
「ご依頼のありました修理が終わりましたのでお持ちしたんですが…ご主人様はいらっしゃいますか」
「申し訳ありません。急用で帰宅いたしまして。承っておりますのでどうぞお入りください」
荷物が届くとだけ聞いていたので、勝手に宅配便かと思っていたのだが違ったらしい。男性は少し残念そうだったが、会釈して中に入って来た。
その人が大事そうに風呂敷から取り出した荷物は小さな箱だった。そっと机の上に置かれた箱のふたが丁寧にゆっくりと開けられる。
「少しばかり傷んでおりましたので修理にお時間をいただきました」
そう言ってこちらに向けられたものは芸妓が使う舞扇。その鮮やかな色彩に思わず息をのむ。
「これは私の父がつくったものです。おかげさまで久しぶりに父のものを手に取ることができました」
男性は名残惜しそうにふたを閉めると、こう続けた。
「あの頃私はまだほんの小僧でしたがね、これをお求めになったかつきよ姐さんのことは今でもよく覚えております。おきれいなだけでなく、気風の良さと情の深さを併せ持った江戸の芸妓を彷彿とさせる方でしたよ」
「そうですね」
私も当然のように同意する。
かつきよさんを直接知らないはずの私がそんな返事をしたのに、その人はほんの少し目を見開いただけだった。
「先日こちらのご主人様に久しぶりにお会いしまして。やはり姐さんによく似ておられますな」
よろしくお伝えくださいと丁寧に挨拶をして、男性は帰って行った。私は受け取った箱をしっかり棚にしまって鍵をかけると、店じまいにとりかかる。自分の荷物を片付けてもう一度見回した時、それに気づいた。
あの那智の滝の絵の近く、棚の上にあった小さな花活けが二つに増えている。もともとあったものと対になるように置かれたそれは、最初からそこにいたでしょうと言うような顔をしていた。
「ああ、そうか」
私は彼女が大事そうに何かを持っていたことを思い出した。そしてその花活けはそのままに、画廊の鍵をかけて帰宅した。
翌日の午前中におじさんから電話があったけれど、私は授業中だったので出られなかった。直接会って話した方がいいと思い、放課後友人の誘いを断ってまた画廊へ向かう。昨日と全く同じように入って来た私に気づいたおじさんは、慌てて駆け寄って来た。
「さつきちゃん!何がなんだかわからないんだけど。どうして失くしたはずの花活けがあるの?」
「やっぱりそうなの?じゃあ元々対になっていたのかな」
「うん、うん。親父と御袋が一つずつ持っていたはずだったんだけれど、僕の所には一つしか残ってなくて。偶然あの滝の絵を見つけて、御袋の命日も近いことを思い出して扇子を直してもらったの。花活けも片方だけでもと一緒に飾ったのよ。それが今朝来てみたら二つあるじゃない!」
おじさん、ずいぶん混乱しているみたい。あせった時の癖で、早口でおまけに道子さんと似たような口調になっている。まあ、無理もないか。私だって未だに半信半疑なんだから。
「あのね」
「うん」
子どものように返事をするおじさんに、一言ずつはっきり区切って伝える。
「私ね、きのう、かつきよさんに会った」
「え…」
力が抜けてしまったようなおじさんをソファに座らせて、お茶の用意をした。昨日と同じだなと思いながら。
それから私は昨日のことを最初から説明した。彼女の言葉もできるだけ正確に思い出して全部伝えた。
そう、あの人から受ける印象はどんどん変わっていった。画廊に入ってきた時は確かに初老の女性に見えた。深紫の江戸小紋を身につけていたはず。でも心底惚れた人のことを話す彼女は口調も雰囲気もずっと明るくなり、同時に芸事に生きる女性の誇りを見せてくれた。
「最後にね、通りに出たときの後ろ姿は、日本髪に黒紋付の正装で褄取りした、それはもう粋な芸妓さんだった」
私はこわいなんて一瞬たりとも思わなかったのだ。
おじさんはしばらく動かなかった。それからようやく深いため息をついて「そう…そうか…」とだけつぶやいた。ふらりと立ち上がったおじさんが棚から二つの花活けを持ってきてテーブルに置き、じっとそれを眺めている。私はまた昨日と同じようにおじさんをそのままにして帰ることにした。
あれから何かが変わったわけではない。私があの日会ったのは本当にかつきよさんだったのか。それももうどちらでもいいと思っている。おじさんともあの日の話はしていない。あの滝の絵はおじさんが手元に置いておくのかと思っていたけれど、いつの間にか売れてしまった。その代わりのように二つの花活けがいつも棚の上に置かれている。
ある日おじさんと話している時、私はひとつだけ納得のいかないことを思い出した。
「あのねえ、私が一番ひいおじいさんに似ているって言われたの。それってひどくない?」
おじさんはびっくりして、それから大笑いした。涙を流すほど笑うか、ふつう。
お読みいただきありがとうございました。
花活けがどこにあったのか、書き終えたときにこんな場面がふっと浮かびました。
実はおじさんの家の納戸の奥にずっとしまわれていたのに、おじさんがいつまで経っても見つけられなかった。かつきよさんが我慢しきれずに持ち出してしまった。
少しばかり要領の悪い息子にいらっとする母親って感じ。