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何度洛陽を迎えても  作者: 赤羽テイト
第1章 邂逅と契約
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第2話 ★

 町の様子がいつも通りである事を眺めつつ、三十分弱歩いて町の中心にあるギルドに到着する。


 町は大雑把に中心に公共設備や政に関する施設があり、その周りに商業施設などが連なり、そのさらに外側に一般住民の住宅街が円を描くように形成されている。


 ギルドは非常時に町の人達の避難先となっているため、鉄筋造りの三階建てとなっており非常に大きく頑丈な建物になっている。


 建物に入ると顔見知りの冒険者達が、俺に挨拶をしてきたので俺はそれに答えて言った。


 時刻は七時を少し回ったくらいで、ちょうど今日の分のクエストが掲示板、通称『クエストボード』に張られたくらいだ。


 おいしい仕事を求めて掲示板前には冒険者が群がっている。俺もクエストを受けないとなぁ……と若干げんなりしつつ人の壁に突っ込む。


 ちなみに冒険者設定されるランクは最高がS、以降A、B……と下がっていき初心者はGから始まる。


 俺はソロ・パーティーともにランクDで一般的な冒険者レベルであり、Cランク以上に昇格するには才能か特殊な能力が必要となってくる事が多い。


 そして受けることができるクエストは自分のランクより一つ上までだから、ランクCまでしか受けることが出来ないんだよな……。


 ただしランク一個変わるだけでもかなり危険度が変わってくるため、基本的には同ランクのクエストを受けるのが一般的だ。


 ちょうどいいクエストがないかと素早く確認しているととあるクエスト書が何故か目についた。


―――――――――――――――――――


必要ランク:D以上

クエスト種:討伐

討伐対象 :ウィンドウルフ 三匹の討伐

対象生息地:サネディ東にある森

討伐証明 :ウィンドウルフの両耳

達成報酬 :十万円


―――――――――――――――――――


 俺の住んでいる街の名前は「サネディ」という。


 この世界の通貨だが硬貨と紙幣と呼ばれるものが使われており、一、五、十、五十、百、五百円の硬貨と、千、五千、一万円の紙幣がある。


 これらを組み合わせて俺達は商品の売買などを行っている。


 それとクエストのランクは基本的にパーティーランクをもとに記載されている。


 そのため基本的には危険度の高い討伐クエストは受けず、採取系のクエストを受けつつ採取先で遭遇した二~三体の魔物と戦い、自分の技術を磨く事に重点を置いていた。


 見つけたクエストは割のいい仕事だが、正直今の俺の実力じゃ若干きついかもな……。


 だけどウィンドウルフ相手なら対策をしっかりと行い、油断しなければなんとかなるはず。


 そして何よりなぜかこのクエストを受注すれば、自分にとって重要な何かが起こるという予感がある。


 そう思って受けることにした俺は、さっそく掲示板からクエスト書をはがしてクエストカウンターへと向かう。


 カウンターの前にはクエスト書を携えた冒険者が何人も並んでおり、今日も受付嬢は大変そうだな……なんて考えていると俺の番が回ってきた。


 対応してくれたのはアンジェリカだ。


 アンジェリカは青い髪をしたショートカットの似合う女性で、冒険者からそのクールな容姿でありながら笑顔を振りまいてくれるギャップで人気がある。


「アンジェリカさんおはようございます」


「テイトさんおはようございます。クエストの受注ですか?」


「はい。こちらのクエストを受注したいのですが……」


「ウィンドウルフの討伐クエストですね。テイトさんなら冒険者歴も長いので大丈夫だと思いますが、ウルフ系統は群れで行動するのでソロで挑む際充分気をつけてくださいね」


「ありがとうございます。もちろんギルドに併設されている資料室で生態を調べて、作戦を立てて準備をしっかりしていくつもりですよ」


「推奨ランクと同じランクの討伐クエストをソロで挑むのですから、絶対無理だけはしないでくださいね」


 アンジェリカはソロで活動する俺をいつも心配してくれる。そのことに感謝をしながらギルドの二階へ向かった。






 ギルドの二階にある資料室には過去に冒険者から寄せられた、魔物を討伐・遭遇した際の情報を集めた記録をまとめた紙を見ることができる。


 そこで俺は討伐対象のことを調べ、強烈な光や大きい音に対して弱いということが分かった。


 その際同名魔物の上位個体である「魔獣」についても、遭遇することはないと思うが念のため簡単に資料へ目を通しておいた。


 そもそもこの世界に存在する動物や魔物は、知能がそこまで高くなく基本的には魔法を使うことができない。


 ただ突然変異によって稀に魔法を使える動物や魔物が発生することもある。


 魔法を使えるようになった動物と魔物はどちらも「魔獣」と呼ばれ、例外なく非常に強力になり魔物が元となった場合討伐推奨ランクが基本的に最低二段階上昇する。


 二段階上昇する理由は魔物から魔獣へと変化する事で、凡そ身体能力が一ランク上の魔物になる事が一つで、もう一つが先に述べた魔法を使用してくるからだ。


 その為魔獣や個体差によって二段階以上ランクが上昇する事もあるらしい。


 そして特定の種族から「魔獣」へと成った魔物は同地域内では基本的に同じ「魔獣」と成り、使用する魔法も同じことが多いといわれている。


 俺の様な一般的な実力しか持たない冒険者は、不意の遭遇となったら基本的に格上と相対することとなるため、よっぽどの準備が整っていた場合を除き接敵した際は逃走が推奨されている。


 まあ格上と当たった時点で逃げられるのか?という問題があるが、基本的にはパーティーで行動している冒険者が多いので一人を命がけで逃がし、その一人によってギルドへ報告され適正ランクの冒険者が派遣・討伐されるのが普通らしい。


 ひとまず討伐対象の弱点になりそうなことがわかったので、情報を元に対策を練るため雑貨屋で準備をするか。


 そういって二階の資料室を出て階段を降りる。ちなみに三階はギルド職員の仮眠室兼、非常時の宿泊施設となっている。


 ギルドから出る際にアンジェリカの様子を確認すると、別の冒険者への対応を行っていたがこちらに気づき軽く会釈をしてくれたので、俺も会釈を返しギルドを後にした。


 その後クエストの準備のためにギルドの近くにある雑貨屋「エレンのアトリエ」へと向かった。

挿絵(By みてみん)

※ノベルAIにて作成した挿絵です。

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