表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/30

太陽は西に沈む

 カヅキはメイドと客室への帰路を辿った。メイドはカヅキとはあまり話したがらないのか、斜陽の廊下には二人の足音だけが響いていた。


 ──異世界にいる以上、誰かから嫌われたりして反感でも買ったら面倒だ…… こいつとも仲良くしてかなきゃだな


 「なあ、アイリス……」

 「はい、ご用件は」

 「こんなの馬鹿な質問に聞こえるだろうけど、答えてくれ。あの星はなんていう星なんだ?」

 「はい?本当にお馬鹿なのですね。『太陽』ですよ──」


 カヅキは望んでいた回答と違って拍子抜けだった。


 「『太陽』って、あの東から登って西に沈むあれか……?」

 「太陽なら太陽なんです。8つの子でも理解していることですよ。あなた、本当に学が無いのですね──」


 太陽の存在は確認できた。ならば、問題はこの、今自分がいる場所だ。


 「じゃあ、今俺たちがいるこの星の名前は?」

 「……星?今、私たちは星の中にいるのですか?馬鹿な冗談はおやめください」


 ──この場所は星とか惑星とかいう概念の範疇にないってことか……?


 「ここの場所は?ここはどこなんだ?」

 「先ほどローズ様はケール王国の次期王継承者第1位だと言ったでしょう。ケール王国ですよ」

 「そんなことくらいは覚えてるさ。このケール王国は何に属しているんだ?」

 「──属しているも何も、私の知っている限りこの世にケール王国以外の場所はありません」


 ──マジか…… この世界ではまだ古代の『地球平面説』のままなのか?それとも本当になんかそういう概念なのか……?

 

 そんなことを考えているうちに目的の場所に到着した。


 「ありがとな、アイリス」

 「とんでもございません、後ほど夕飯をお持ちしますので、(しば)し部屋でじっとして、おとなしく、お過ごしくださいませ」

 「了解!いい子にしてますねー──」


 いい子にしてますね、なんていつぶりに口にしただろう……


 やがて外は藍色になっていき、『太陽』はきちんと『西』に沈んでいった──


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ