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順調!……ではない

 異世界に来たからには、お決まりの、自分がどんな能力を持っていて何属なのかなんてのを聞いてみたかったが、それはまだ先のことになりそうである。

 

 「──ごめんな、ロズ子。自分で言うのもなんだけど、今まで親しくしてた人に急に記憶がなくなったなんて言われたらショックだよな……」

 「まあ、厚顔無恥というのにも程がありますよ」

 「こら、アイリス、そんなことを言ってはいけません。でも……」

 

 ローズは物悲しげな顔をして続けた。


 「確かにショックね。本当に。でも、カヅキがそんなしょうもない嘘をついたり、演技をしたりする人じゃないってことがわかってるから、現実だってことで受け入れなければならないことが苦しくて……」


 ──おいおい、今までの異世界の俺ってそんなにいい奴だったのかよ……


 内心に僅かな喜びが伺えた。なぜなら、カヅキはどちらかというと先ほどローズが言ったことの真反対の生き方をしてきた自覚があったからである。友人を悪ふざけで騙したり、親に勉強するから浪人させれくれと言っておきながら自堕落な生活を送ったり…… そんなだったからだ。


 「これから、いっぱい思い出を繕っていくしかないよね──」


 ──こんなヒロインと思い出作りなんて最っ高じゃねぇか!


 そんな不純な思い満々のまま、カヅキは威勢よく自分の中での喜びと、ローズの元気を出す為に答えた。


 「よろしくな!」


 「カヅキ様、お時間です。お部屋に戻りましょう」

 「お時間ってなんだよ、なんで戻らなきゃ──」

 「ローズ様はこのケール王国の次期王継承者第1位なのです。貴方みたいに暇ではないのです」

 「ごめんね、カヅキ──」


 ローズに願われてはここにとどまるわけにはいかない。


 「じゃあ、まだまだ話さなきゃいけないことがたくさんあるから今度ゆっくりな!」


 アイリスにに連れられて部屋を出る。


 カヅキにはどうしてももう一つだけ直ぐに確認したいことがあった。


 「アイリス、俺とロズ子ってどういう関係だったか分かるか?」

 「ですから、存じ上げないと申しているでしょう」


 ──忘れていた。このメイドが俺の3日前以前のことを知らないということを。


 気づけばもう太陽はもう天頂高度よりもやや傾いている。この世界ではあの恒星が『太陽』という名なのかは知らないが──

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