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ニートと眠りと異世界と

如何(どう)やら現実と異世界を『眠り』によって行き来できるらしい──」


 こんな厨二チックな発言をしたのはいつぶりやら。尚且(なおか)つ、元・浪人引きこもりがへやの窓際でぶつぶつとそれ呟いているのは、自分を客観的に評価したとしても非常に滑稽であるのは全人類共通の認識として良いだろう。

 しかし、それが突発性厨二病ではないというのが今現在においての事実である。例の異世界が我が事として放っておけないのと同程度の理由で、特にすることもなかったので、昼寝、いや、異世界転移をすることにした。


 「さあ、このカヅキを導きたまえ!」


 好奇心と怠惰が入り混じった小5のような感情で、本能に任せてベッドに飛び込んだ。


 「──ゲェーッ……」

 

 まただ。またあの気持ち悪さだ。2つの世界を行き来すると起こるらしい、この『転移酔い』とも名付けられるこの症状が、またしても現れた。


 「──いい加減にしてくださいませ」


 聞き覚えのある、鼻から抜けるような、癖になる声だ。


 「アイリス……なのか……?」


 「なんなのですか。私が話している最中に急に寝落ちして、やっと起きたと思ったらいきなりゲェとは。軽蔑してもしきれません。この際、重蔑(じゅうべつ)という造語をお作りした方がよろしいでしょうか」

 「んな言葉お前以外だれも使わねぇよ」


 どうやら俺が現実世界に戻っている間もこの世界は続いているらしい。


 「──ってことは……」

 ──今にも大便漏れそうなときとかに意識飛んだりとかしたらかなりマズくね?


 そんな悠長なことを考えられるくらい、この世界には適応してきたようだ。


 「貴方のお顔は私が、屈辱ながらも洗っておきました」

 「お、おう、迷惑かけた」


 この世界では、俺が現実世界で『シャワーを浴びた』という行動が、『俺が寝てる間にアイリスが洗ってくれた』という出来事に変換されているらしい。

 

 「じゃ、せっかくアイリスが洗ってくれてきれいさっぱりしたとこだし、亭主(ローズ)様っちゅう御方に挨拶にでも行くか」

 「では、ご案内して差し上げます。せいぜい私の後ろ姿でも拝みながらついてきてくださいませ。」

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