目覚めのメイド
──はっ!
カヅキはかろうじて起きると同時に激しく嘔吐した。
「あら、お目覚めのようですね。はい、ではその汚れたお体をさっさと清めてローズ様のお元に、失礼、いや、最上級に無礼なその身を持って申し訳ない顔をしてご挨拶に行ってくださいませ」
「フッ、ゲェ゛ェ……」
──ここは……
初めての光景を目にした。石造りの、いかにも2、3世紀前のヨーロッパといった感じの、よく異世界もののアニメで見る感じの……
まさか……
超豪邸の一角に俺、そして……、、何を言っているかは分からないが、俺に対して蔑む態度で接そうとしていることはよくわかるメイド服の女子高生くらいの年の女性の二人。
「ここは、どこでしょうか……」
恐る恐るメイドに問うた。
「亭主様から貴方のことをお客さまとして扱いなさいと命じられておりますので、敬語はやめてください。屈辱ですが。そんなしょうもない質問をしていないで、さっさとしてくださいませ」
内容に対する敬語の使い方がなっていないような。
「じゃあ、せめて、君の名を教えてくれ。名前も分からないと話しにくいだろ。挨拶はその後だ」
「正直貴方に私の名を教えるのは惜しいですが、アイリスと申します。で、さっさとしてくださいませ。亭主様がお部屋でおまch……」
急に視界が遮られ、五感が奪われた。
──ピピッ ピピッ ピピッ ピピ……
──この世界に来た時と同じ感覚だ……