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お客様は神様です!  作者: hiro.biz
脳漿を絞るまでもない特徴の塊の様な相手【のうしょうをしぼるまでもないとくちょうのかたまりのようなあいて】
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現世(うつしよ)(もど)った甲示(しんじ)手元(てもと)確認(かくにん)します。

本当(ほんとう)()くなってる……」

先程(さきほど)まで確実(かくじつ)(にぎ)っていたはずのなーくんを(つな)いでいた(ひも)跡形(あとかた)もなく()()っていました。

(おな)じく、現世(うつしよ)(もど)ったなーくんは全身(ぜんしん)隈無(くま)確認(かくにん)し、解放(かいほう)された(よろこ)びなのか一目散(いちもくさん)甲示(しんじ)(まえ)から(はし)()り、自由(じゆう)謳歌(おうか)するのでした。

「なーくん、(おそ)くなる(まえ)(かえ)ってこないとダメだよー!!」

甲示(しんじ)はなーくんの(うし)姿(すがた)()かい(こえ)()けます。

そんな甲示(しんじ)(こえ)無視(むし)し、なーくんは山道(さんどう)()()け、姿(すがた)()します。

「ヘルメス(さま)()われるがまま(もど)ってきちゃったけど、どうすれば()いのかな?調(しら)べれば()かるって()ってたけど、(なに)をどう調(しら)べれば()いんだろう……?」

現世(うつしよ)(もど)ってきたが、今後(こんご)行動(こうどう)については一切(いっさい)(かんが)えていなかった甲示(しんじ)

なーくんの(うしろ)姿(すがた)見送(みおく)った(あと)(しばら)(ほこら)(まえ)今後(こんご)について思案(しあん)します。

「やっぱり図書室(としょしつ)図書館(としょかん)調(しら)べるのが無難(ぶなん)なのかな?うーん……。土曜日(どようび)って学校(がっこう)(はい)れるのかな?」

ブツブツと(つぶや)きながら(かんが)えをまとめようとする甲示(しんじ)

時間(じかん)との()()いで()れる行動(こうどう)制限(せいげん)される可能性(かのうせい)があると(おも)い、(そら)見上(みあ)げます。

「そう()えば、有珠様(ゆずさま)()()れてたけど、やっぱり隠世(かくりよ)にいる(あいだ)って時間(じかん)(すす)まないのかな?」

現在(げんざい)太陽(たいよう)位置(いち)正中(せいちゅう)からは(とお)位置(いち)にあります。

太陽(たいよう)位置(いち)から推測(すいそく)すると、まだ正午(しょうご)にもなっていないようです。

日付(ひづけ)()わっていないと仮定(かてい)すると、隠世(かくりよ)現世(うつしよ)では時間(じかん)(なが)れに(ちが)いがあるようです。


(ほこら)(まえ)思案(しあん)した結果(けっか)甲示(しんじ)自宅(じたく)一度(いちど)帰宅(きたく)をし、準備(じゅんび)(ととの)えてから学校(がっこう)へと()かう(こと)にしたようです。

(つぎ)()るべき行動(こうどう)決定(けってい)した甲示(しんじ)準備(じゅんび)をするため、帰路(きろ)()きます。

自室(じしつ)からカバンと自転車(じてんしゃ)(かぎ)()()します。

今日(きょう)通学(つうがく)使用(しよう)している自転車(じてんしゃ)選択(せんたく)しました。

(まえ)カゴにカバンを()()み、学校(がっこう)()自転車(じてんしゃ)(はし)らせます。


学校(がっこう)

学校(がっこう)到着(とうちゃく)した甲示(しんじ)

校門(こうもん)(くぐ)り、構内(こうない)()()ります。

グランウドからは体育会系(たいいくかいけい)部活(ぶかつ)練習(れんしゅう)をしている生徒(せいと)たちの元気(げんき)(こえ)()こえてきます。

駐輪場(ちゅうりんじょう)自転車(じてんしゃ)()めた甲示(しんじ)は、グラウンドから()こえる(こえ)には脇目(わきめ)()らず校舎(こうしゃ)へと()(すす)めます。

校舎内(こうしゃない)(はい)った甲示(しんじ)図書室(としょしつ)()かいます。

図書室(としょしつ)(まえ)到着(とうちゃく)した甲示(しんじ)図書室(としょしつ)のドアに()()けます。

……しかし、

「あれ?()かない……」

部活(ぶかつ)登校(とうこう)している学生(がくせい)()るものの学校自体(がっこうじた)(やす)み。

図書室(としょしつ)(かぎ)当然(とうぜん)()められています。

休日(きゅうじつ)学校(がっこう)()ない甲示(しんじ)はこの(こと)()らなかったのでしょう……。


職員室(しょくいんしつ)図書室(としょしつ)(かぎ)があると(かんが)えた甲示(しんじ)職員室(しょくいんしつ)()かいます。


職員室前(しょくいんしつまえ)到着(とうちゃく)した甲示(しんじ)廊下(ろうか)から室内(しつない)様子(ようす)(うかが)います。

(はな)した(こと)()先生(せんせい)ばっかりだな……」

休日(きゅうじつ)教師(きょうし)(かず)元々(もともと)(すく)なかった(こと)(くわ)え、部活(ぶかつ)指導(しどう)(せき)(はず)している教師(きょうし)(おお)いのでしょう。

甲示(しんじ)(はなし)(やす)いと(かん)じている教師(きょうし)不在(ふざい)のようです。

仕方(しかた)ない……」

甲示(しんじ)()(けっ)し、職員室(しょくいんしつ)(はい)ります。

職員室(しょくいんしつ)(なか)一番(いちばん)温和(おんわ)そうな白髪(しらが)()じった40(だい)後半(こうはん)~50(だい)前半(ぜんはん)()()男性教師(だんせいきょうし)(はな)しかけます。

「あのー……すみません」

「はい。どうかされましたか?」

男性教師(だんせいきょうし)()()(どお)りの物腰(ものごし)(やわ)らかさで対応(たいおう)します。

甲示(しんじ)自分(じぶん)見立(みた)てが間違(まちが)えていなかった(こと)安堵(あんど)し、ホッと(むね)()()ろします。

(すこ)調(しら)(もの)がしたいので図書室(としょしつ)使用(しよう)したいのですが、(かぎ)がかかっていて(はい)れなかったので(かぎ)()けていただきたいのですが、お(ねが)いできますか?」

男性教師(だんせいきょうし)(すこ)(かんが)え、鍵置(かぎお)()移動(いどう)をし、()()けられている(かぎ)(なか)から図書室(としょしつ)(かぎ)(はず)甲示(しんじ)手渡(てわた)します。

本当(ほんとう)生徒(せいと)(かぎ)(わた)すのは(この)ましくないのですが、(やす)みの()にまで学校(がっこう)()調(しら)(もの)をするような生徒(せいと)なので大丈夫(だいじょうぶ)でしょう。()わなくても理解(りかい)しているとは(おも)いますが、室内(しつない)()らしたりするような行為(こうい)(ひか)えてください。……それと、図書室(としょしつ)使(つか)()わった(あと)戸締(とじま)りはしっかりとしてから(かぎ)返却(へんきゃく)をしてください」

「はい。わかりました。ありがとうございます」

(かぎ)(うけ)()った甲示(しんじ)男性教師(だんせいきょうし)にお(れい)()い、職員室(しょくいんしつ)(あと)にします。

職員室(しょくいんしつ)()たその(あし)早速(さっそく)図書室(としょしつ)(むか)かい(かぎ)()入室(にゅうしつ)

「まずは(ほん)(さが)さないとな……。(なん)(ほん)(さが)せば()いんだろう?」

初手(しょて)から(つまず)甲示(しんじ)……。(さき)(おも)いやられます。

あまり(おお)きくはない図書室(としょかん)とはいえ、通常(つうじょう)教室(きょうしつ)(やく)3つ(ぶん)(ひろ)さはあります。

(はし)から1冊(いっさつ)ずつ(すべ)ての(ほん)()(まわ)るのは(ほね)()れる作業(さぎょう)になるのは間違(まちが)いありません。

図書室(としょしつ)(かぎ)返却(へんきゃく)する(こと)考慮(こうりょ)すると時間(じかん)(かぎ)られているのも事実(じじつ)虱潰(しらみつぶ)しに(さが)すのはあまり得策(とくさく)ではないでしょう。

「あっ!そうだ!!」

甲示(しんじ)(なに)かを(ひらめ)き、カウンターに(ちか)づきます。

カウンターに()かれていた日本(にほん)十進分類法(じっしんぶんるいほう)()かれた(かみ)()()ります。

(なに)調(しら)べれば()いんだろう……?神様(かみさま)(こと)だから~……神話(しんわ)かな?」

疑問(ぎもん)(くち)にしながら手元(てもと)(かみ)(なが)める甲示(しんじ)

しかし、簡易的(かんいてき)()かれた(かみ)に『神話(しんわ)』の文字(もじ)はありません。

「んー……。一番(いちばん)(ちか)そうなのは1(るい)哲学(てつがく)宗教(しゅうきょう)なのかな?歴史(れきし)多分(たぶん)日本史(にほんし)世界史(せかいし)(こと)だから(ちが)うと(おも)うんだよなー……」

甲示(しんじ)はカウンターに(かみ)(もど)し、100番台(ばんだい)のシールが()られている(ほん)(さが)します。


目的(もくてき)の100番台(ばんだい)(ほん)場所(ばしょ)()つけたものの、そこにあるのは哲学書(てつがくしょ)ばかり……。

「アリストテレス……?カント……?ソクラテス……?プラトン……?」

見覚(みおぼ)えのない文字列(もじれつ)困惑(こんわく)しつつ、適当(てきとう)1冊(いっさつ)(ほん)()()(かる)内容(ないよう)確認(かくにん)します。

全員(ぜんいん)哲学者(てつがくしゃ)名前(なまえ)なのかな……。ここじゃないな」

甲示(しんじ)(ほか)(ほん)表紙(ひょうし)内容(ないよう)を2~3ページずつ確認(かくにん)し、自身(じしん)(もと)めている情報(じょうほう)ではないと見切(みき)りをつけ、(ほん)()じると本棚(ほんだな)(ほん)(もど)(べつ)(ほん)(さが)します。

「キリスト(きょう)にイスラム(きょう)仏教(ぶっきょう)……。宗教関連(しゅうきょうかんれん)か……。キリスト(さま)って(たし)人間(にんげん)だよね?仏教(ぶっきょう)仏様(ほとけさま)神様(かみさま)なのかな……?でも、宗教(しゅうきょう)って(たか)(つぼ)とか高価(こうか)()とか()りつける(あや)しい集団(しゅうだん)ってイメージで(すこ)(ちが)()がするな……」

甲示(しんじ)表紙(ひょうし)()かれている題名(だいめい)だけを()判断(はんだん)します。

甲示(しんじ)宗教(しゅうきょう)(たい)する偏見(へんけん)

甲示(しんじ)神話(しんわ)宗教(しゅうきょう)関連性(かんれんせい)理解(りかい)していませんでした。

そして、『仏教(ぶっきょう)歴史(れきし)』と()かれた(ほん)(よこ)にガーくんの手掛(てが)かりになり()可能性(かのうせい)のある『ヒンドゥー(きょう)関連(かんれん)(ほん)があったことを()(よし)もなく、甲示(しんじ)(つぎ)本棚(ほんだな)()かってしまうのでした……。


図書室(としょしつ)(ほん)一通(ひととお)確認(かくにん)()えた甲示(しんじ)退室(たいしつ)します。

ドアの(かぎ)()め、(かる)くドアを()らし、しっかりと(かぎ)がかかっていることを確認(かくにん)し、職員室(しょくいんしつ)(もど)ります。

「やっぱり図書館(としょかん)みたいな(おお)きな場所(ばしょ)じゃないと()いのかな?」

図書室(としょしつ)から職員室(しょくいんしつ)までの道程(みちのり)甲示(しんじ)(ひと)(ごと)をブツブツと(つぶ)きながら移動(いどう)します。

「あれ?甲示君(しんじくん)今日(きょう)学校(がっこう)(やす)みなのに(めずら)しいね」

(かんが)(ごと)をしながらブツブツと(ひと)()ちている甲示(しんじ)(こえ)をかける()(おぼ)えのある少女(しょうじょ)(こえ)

甲示(しんじ)自身(しじん)名前(なまえ)()ばれた(こと)反応(はんのう)をし、(すこ)(かお)()(こえ)(ぬし)確認(かくにん)します。

「あっ、杠葉(ゆずりは)さん。杠葉(ゆずりは)さんは部活(ぶかつ)(なに)か?」

甲示(しんじ)(こえ)()けた少女(しょうじょ)甲示(しんじ)同級生(どうきゅうせい)杠葉(ゆずりは) 凪沙(なぎさ)

彼女(かのじょ)図書委員(としょいいん)所属(しょぞく)しており、以前(いぜん)調(しら)(もの)をした(とき)甲示(しんじ)(すこ)しお世話(せわ)になった人物(じんぶつ)です。

甲示(しんじ)との関係(かんけい)顔見知(かおみし)程度(ていど)でしたが、なーくんをきっかけに(かお)()わせる機会(きかい)(おお)くなり、最近(さいきん)では出会(であ)った(とき)(こえ)()()程度(ていど)(なか)になっています。

最近(さいきん)ではなーくんと一緒(いっしょ)()るのを目撃(もくげき)される(こと)(おお)く、なーくんが警戒(けいかい)せずに()(ゆる)している稀有(けう)人物(じんぶつ)でもあります。

「うん。まあ、そんなところかな。甲示君(しんじくん)部活(ぶかつ)って(はい)ってないよね?(なに)かあったの?」

(すこ)調(しら)(もの)があって図書室(としょしつ)用事(ようじ)があったんだけど、目当(めあ)ての(ほん)()つからなくてね。(いま)から図書館(としょかん)()こうか(なや)んでたところ」

「ちなみに、(なに)調(しら)べようと(おも)ってたの?」

図書委員(としょいいん)をしているだけあり、図書室内(としょしつない)(ほん)(かん)しては知見(ちけん)のある杠葉(ゆずりは)

一般(いっぱん)生徒(せいと)よりは(くわ)しいはずです。

(おそ)らく本人(ほんにん)(なに)(かんが)えず、単純(たんじゅん)親切心(しんせつしん)甲示(しんじ)必要(ひつよう)としている(ほん)見落(みお)としていないかを確認(かくにん)したかったのでしょう。

「ちょっと神様(かみさま)(こと)をね。でも、神話(しんわ)(ほん)ってないみたいで、哲学(てつがく)とか宗教(しゅうきょう)(ほん)しかなかったんだよ」

神様(かみさま)!?神話(しんわ)!?」

杠葉(ゆずりは)興奮(こうふん)した様子(ようす)()見開(みひら)甲示(しんじ)(かお)(ちか)づけ()いかけます。

杠葉(ゆずりは)さん、(ちか)い、(ちか)い」

杠葉(ゆずりは)変貌(へんぼう)ぶりに(おど)きながら(しず)かに距離感(きょりかん)指摘(してき)します。

甲示(しんじ)冷静(れいせい)(よそお)っていますが普通(ふつう)中学生男子(ちゅうがくせいだんし)(かお)()()(ところ)をみるに内心(ないしん)では相当(そうとう)動揺(どうよう)していると(おも)います。

杠葉(ゆずりは)咄嗟(とっさ)行動(こうどう)(おどろ)(おお)きな(こえ)指摘(してき)しなかったのは、杠葉(ゆずりは)(かお)(ちか)くにあったが(ため)甲示(しんじ)なりの配慮(はいりょ)だったのでしょう。

……もしかしたら、あまりの(ちか)さに緊張(きんちょう)(はず)ずかしさで(ども)っただけかもしれません。

「あっ……。ごめんね。ワタシ、オカルト(ばなし)とかが()きでつい……。UFOとかUMA、オーパーツとか心霊体験(しんれいたいけん)超能力(ちょうのうりょく)とか素敵(すてき)よね。……もちろん、神話(しんわ)興味(きょうみ)があるから(すこ)しは(くわ)しいわよ」

甲示(しんじ)指摘(してき)され、甲示(しんじ)との距離(きょり)()謝罪(しゃざい)をする杠葉(ゆずりは)

(ほお)()()恍惚(こうこつ)表情(ひょうじょう)()かべながら(はな)すその姿(すがた)遠目(とおめ)からは(こい)バナをしている雰囲気(ふんいき)すら(かん)じさせます。

まあ、(はなし)内容(ないよう)はオカルト(ばなし)ですが……。

「へ、へぇ。そうなんだ。じゃあ、神様(かみさま)についても(くわ)しいの?」

いつもとは様子(ようす)(ちが)杠葉(ゆずりは)(すこ)困惑(こんわく)しつつ甲示(しんじ)質問(しつもん)をします。

「んー……。神話系(しんわけい)はワタシより所長(しょちょう)(ほう)専門(せんもん)だから(くわ)しんだけど、(なん)神様(かみさま)について調(しら)べようとしてたの?」

(なん)の……?(なん)神様(かみさま)なんだろう?ノーヒントって()われたからなー……」

甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)質問(しつもん)をされた(こと)により重要(じゅうよう)(こと)()()きます。

それは、ガーくんが(なん)宗教(しゅうきょう)神様(かみさま)なのか?(なに)(つかさど)神様(かみさま)なのか?などなど……。情報(じょうほう)(すく)なすぎてガーくんの正体(しょうたい)辿(たど)()けない現実(げんじつ)でした。

甲示君(しんじくん)、ちょっと()て」

(かんが)()甲示(しんじ)()()り、杠葉(ゆずりは)速足(はやあし)何処(どこ)かへ()かいます。

「ちょっ!杠葉(ゆずりは)さん!何処(どこ)()くの!?(ぼく)図書室(としょしつ)(かぎ)(かえ)さないと……」

「いいから、いいから~」

()(さき)()げぬまま、(なか)強引(ごういん)甲示(しんじ)(うで)()()移動(いどう)する杠葉(ゆずりは)

甲示(しんじ)相手(あいて)女子(じょし)だけに強引(ごういん)()(ほど)(こと)出来(でき)ず、(うで)()かれた状態(じょうたい)のまま杠葉(ゆずりは)(あと)をついていきます。


「ここよ」

杠葉(ゆずりは)はとある教室(きょうしつ)(まえ)()()まります。

理科準備室(りかじゅんびしつ)?」

(ちが)(ちが)う。よーーく()て」

杠葉(ゆずりは)甲示(しんじ)意見(いけん)否定(ひてい)し、ドアの(はし)()さします。

甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)指差(ゆびさ)(さき)()をやります。

そこには(ちい)さなプレートが()()けてあり、手書(てが)きで『オカ(けん)』の文字(もじ)()かれています。

「オカ……(けん)……?」

「そう()(こと)

「どう()(こと)?」

杠葉(ゆずりは)甲示(しんじ)(つぶや)きに(かる)返事(へんじ)をし、ドアを()(はな)ちます。

甲示(しんじ)(くち)にした疑問(ぎもん)()こえていなかったのか(こた)える様子(ようす)はありません。

所長(しょちょう)ー!新人勧誘(しんじんかんゆう)してきましたよー!」

本当(ほんとう)か!?杠葉君(ゆずりはくん)!!この時期(じき)新人(しんじん)とは(めずら)しいな。これで部活(ぶかつ)申請(しんせい)まであと1人(ひとり)になったな!!」

杠葉(ゆずりは)言葉(ことば)反応(はんのう)し、興奮気味(こうふんぎみ)()()ってくる1人(ひとり)少年(しょうねん)

杠葉(ゆずりは)所長(しょちょう)()んでいた(こと)から推察(すいさつ)するに『オカ(けん)』で一番(いちばん)(えら)い(?)人物(じんぶつ)なのでしょう。

「あのー……」

「おぉ!すまない。自己紹介(じこしょうかい)がまだだったな。このオカルト研究会(けんきゅうかい)責任者(せきにんしゃ)にして所長(しょちょう)(おき) (ただし)だ。よろしく」

「ご丁寧(ていねい)にどうも……。って(ちが)います!(はなし)()えてないので説明(せつめい)していただきたいのですが、どう()(こと)なのでしょうか?(ぼく)神様(かみさま)(こと)……神話(しんわ)調(しら)べていただけなのですが……」

そう、甲示(しんじ)はガーくんの(こと)調(しら)べていただけなのです。

そこに偶々(たまたま)ばったりと杠葉(ゆずりは)遭遇(そうぐう)し『オカ(けん)』に()れてこられただけ……。

新人勧誘(しんじんかんゆう)(はなし)など寝耳(ねみみ)(みず)

(こま)るな~杠葉君(ゆずりはくん)無理矢理(むりやり)勧誘(かんゆう)などは御法度(ごはっと)だと()っているだろう。(いま)地道(じみち)図書室(としょしつ)のオカルト(ぼん)(りつ)()げ、オカルトの素晴(すば)らしさを流布(るふ)する活動(かつどう)(いそ)しむべきだ。そこで興味(きょうみ)がありそうな人物(じんぶつ)をリサーチする(ため)図書委員(としょいいん)潜入(せんにゅう)している最中(さいちゅう)だと()うのに……」

(おき)(あき)気味(ぎみ)杠葉(ゆずりは)注意(ちゅうい)します。

……注意(ちゅうい)はしているのですが、(おき)発言(はつげん)には(べつ)問題(もんだい)があるような()がします。

「だから()れてきたんですよ。オカルトに興味(きょうみ)がありそうな人物(じんぶつ)()つけるのが図書委員(としょいいん)潜入(せんにゅう)目的(もくてき)。ここに()宮司甲示君(みやつかさしんじくん)神様(かみさま)(こと)調(しらべ)べているんですよ。勧誘(かんゆう)しない()はないですよ」

「まあ、そうだな。()いたい(こと)理解(りかい)出来(でき)るがあまりにも早計(そうけい)()ぎる。興味(きょうみ)()って(のぞ)いている段階(だんかい)無理矢理(むりやり)()()()むような行為(こうい)(ぎゃく)()げられてしまう可能性(かのうせい)もある。十分(じゅうぶん)にこちらのテリトリーに(あし)()()れてからの勧誘(かんゆう)妥当(だとう)だ」

杠葉(ゆずりは)意見(いけん)一定(いってい)理解(りかい)(しめ)しつつ、杠葉(ゆずりは)行動(こうどう)否定(ひてい)します。

しかし、(おき)発想(はつげん)結構(けっこう)ヤバい()が……。

それに、勧誘(かんゆう)する可能性(かのうせい)のある相手(あいて)(まえ)にする会話(かいわ)としても不適切(ふてきせつ)でしょう。

「すみませんでした。オカルト(ばなし)をする機会(きかい)最近(さいきん)なかったのでつい……」

「そこまで()()てるつもりはないよ。……で、宮司君(みやつかさくん)()ったかな?(なん)(かみ)について調(しら)べているのかな?」

気落(きお)ちする杠葉(ゆずりは)(かる)(なぐさ)め、甲示(しんじ)へと(はなし)()ります。

「あの、その(まえ)質問(しつもん)しても()いですか?」

(なん)だね?」

「オカルト研究会(けんきゅうかい)って(なん)ですか?」

部活(ぶかつ)になる条件(じょうけん)()たせていないがオカルトに興味(きょうみ)のある仲間(なかま)構成(こうせい)された────」

「つまりサークル活動(かつどう)ね」

(おき)(まわ)りくどく長々(ながなが)説明(せつめい)しているのを(さえぎ)り、杠葉(ゆずりは)端的(たんてき)説明(せつめい)してしまいました。

「なるほど。オカルト趣味(しゅみ)(ひと)たちの(あつ)まりが『オカ(けん)』って(こと)か。もう1つ()いても()いですか?」

「なんだね?」

(なん)研究会(けんきゅうかい)なのに所長(しょちょう)なんですか?」

(まえ)までは会長(かいちょう)って()んでたんだけど、生徒会長(せいとかいちょう)間違(まちが)えられたからよ」

「……まあ、そう()(こと)だ。……では、本題(ほんだい)(もど)り、(なん)(かみ)について調(しら)べているのかを(おし)えてもらえるかな?」

哀愁(あいしゅう)(ただよ)わせながら杠葉(ゆずりは)意見(いけん)肯定(こうてい)する(おき)

過去(かこ)生徒会長(せいとかいちょう)間違(まちが)えられて(いや)(おも)いをしたのでしょう。

これ以上(いじょう)(はなし)深堀(ふかぼ)させまいと(はなし)本題(ほんだい)(うつ)します。

「はい。……すみせん。(じつ)調(しら)べようとしていた神様(かみさま)情報(じょうほう)がなくて、杠葉(ゆずりは)さんに指摘(してき)されるまで検索方法(けんさくほうほう)疑問(ぎもん)すら()っていなかったので……」

甲示(しんじ)(おき)現状(げんじょう)正直(しょうじき)(はな)します。

しかし、自分(じぶん)調(しら)べる神様(かみさま)についての情報(じょうほう)皆無(かいむ)だった(ため)(うし)ろめたさからか(こえ)尻窄(しりつぼ)みになります。

(なに)手掛(てが)かりは()いのかい?何教(なにきょう)(かみ)なのか、功績(こうせき)由来(ゆらい)手持(ても)武器(ぶき)()()特徴(とくちょう)など、どんな些細(ささい)手掛(てが)かりでも()いぞ」

(おき)甲示(しんじ)調(しら)べようとしていた神様(かみさま)(つな)がる情報(じょうほう)がないかを()()そうとします。

「んー……。()()(ぞう)(あたま)で……」

「ガネーシャ(さま)ね!!」

「ガネーシャ(さま)?」

甲示(しんじ)がガーくんに(つな)がりそうな情報(じょうほう)(しぼ)()した瞬間(しゅんかん)杠葉(ゆずりは)(こた)えを(みちび)()します。

杠葉君(ゆずりはくん)(ぞう)()瞬間(しゅんかん)にガネーシャと(むす)びつけるのは早計(そうけい)()ぎる。歓喜天(かんぎてん)などの可能性(かのうせい)考慮(こうりょ)すべきだ」

歓喜天(かんぎてん)……さま……?」

早々(そうそう)(こた)えを(みちび)()そうとする杠葉(ゆずは)制止(せいし)し、()回答(かいとう)考慮(こうりょ)模索(もさく)しようとする(おき)

ガネーシャにせよ歓喜天(かんぎてん)にせよ、甲示(しんじ)には()馴染(なじ)みのない名前(なまえ)でした。

(あたま)疑問符(ぎもんふ)()かべながらオウム(がえ)しをするしかない甲示(しんじ)余所(よそ)2人(ふたり)(はなし)()()がります。

杠葉(ゆずりは)(おき)甲示(しんじ)そっちのけで()()がっているのはさておき、(おき)(ほう)神話(しんわ)について専門(せんもん)だと杠葉(ゆずりは)太鼓判(たいこばん)()すだけの(こと)はあり、(おき)知識(ちしき)豊富(ほうふ)です。


ガネーシャと歓喜天(かんぎてん)(ちが)いを理解(りかい)していなかった杠葉(ゆずりは)への説明(せつめい)から(はじ)まった議論(ぎろん)

しかし、完全(かんぜん)2人(ふたり)世界(せかい)(はい)()んでしまっている(おき)杠葉(ゆずりは)(なが)めるだけの状態(じょうたい)になった甲示(しんじ)

「あのー……。そろそろ(かえ)っても()いですか?」

(しばらく)くの(あいだ)(だま)って2人(ふたり)会話(かいわ)()いていたのですが、議論(ぎろん)白熱(はくねつ)(しま)いには(まった)関係(かんけい)のない(はなし)にまで()()して収束(しゅうそく)する気配(けはい)()せません。

流石(さすが)嫌気(いやけ)()した甲示(しんじ)2人(ふたり)一応(いちおう)声掛(こえかけ)けをして退室(たいしつ)しようと(こころ)みます。

「わー!!ちょっと()ったー!!」

甲示(しんじ)がドアに()()けるまで()()かなかった(おき)ですが、ギリギリの(ところ)()()きました。

議論(ぎろん)集中(しゅうちゅう)()ぎていたようだ。(もう)(わけ)ない。……で、あまりにも情報(じょうほう)(すく)なすぎて断定(だんてい)する(こと)出来(でき)ないのだが、(ほか)手掛(てが)かりになるような情報(じょほう)()いのかい?」

「そうですねー……」

ガーくん特定(とくてい)(はなし)(もど)った(こと)もあり、退室(たいしつ)する(こと)(かんが)えなおしました。

甲示(しんじ)はガーくんの姿形(すがたかたち)(おも)(うか)かべながら特徴(とくちょう)となりそうな部分(ぶぶん)(くち)にします。

(うで)4本(よんほん)あって……。あとはネズミが一緒(いっしょ)()て……。えーっと、(ほか)には……」

「ネズミ……?ガネーシャのヴァーハナ。ムーサカの(こと)かな?」

「ヴァーハナ……?ムーサカ……?」

()馴染(なじ)みの()言葉(ことば)をオウム(がえ)しする(こと)理解(りかい)していない(こと)(にお)わせる甲示(しんじ)

(さら)(おき)言葉(ことば)からガーくんの手掛(てが)かりも(つか)めそうだと(かん)じ、もう(しばら)滞在(たいざい)するようです。

「ヴァーハナはインド神話(しんわ)登場(とうじょう)する神々(かみがみ)象徴(しょうちょう)する()(もの)(こと)だよ。(かみ)()動物(どうぶつ)として(えが)かれている(こと)(おお)いかな。……まあ、(なか)にはガルダの(よう)空想上(くうそうじょう)()(もの)存在(そんざい)するけど、ネズミやライオン、孔雀(くじゃく)なんかも()てくるよ。それで、ガネーシャのヴァーハナがネズミでネズミの名前(なまえ)がムーサカって()うんだよ」

「ムーサカ……?ムシカって()ばれてたような()が……」

(おき)のヴァーハナの説明(せつめい)()き、ヘルメスがネズミの(こと)をムシカと()んでいた(こと)(おも)()甲示(しんじ)

自分(じぶん)記憶(きおく)(たよ)りに(おも)()した()(おき)(はなし)しているヴァーハナの名前(なまえ)(ちが)い。

甲示(しんじ)疑問(ぎもん)をポツリと(くち)にします。

「そうそう。ムシカで()ってるよ。発音(はつおん)(ちが)いって説明(せつめい)すれば()いのかな?トマトをトメィトゥって発音(はつおん)する(かん)じって()えば理解(りかい)出来(でき)るかな?」

「なるほど。なんとなくですが理解(りかい)出来(でき)ました」

「ムーs……ムシカが()るって(こと)はガネーシャで間違(まちが)いなさそうだな」

「ほら、だからワタシが(はじ)めからガネーシャ(さま)だって()ってたじゃないですか」

(おき)最終的(さいしゅうてき)(みちび)()した結論(ぎろん)()き、杠葉(ゆずりは)(ほお)(かる)(ふく)らませプリプリした様子(ようす)抗議(こうぎ)します。

(ただ)し、(はな)(かた)(こえ)のトーンなどから(さっ)するに、本気(ほんき)(おこ)っていない(こと)(あき)らかです。

今回(こんかい)はそうだったが、杠葉君(ゆずりはくん)場合(ばあい)、ガネーシャしか心当(こころあ)たりがなかっただけだろう」

「それはそうだけど……。……で、甲示君(しんじくん)(なん)でガネーシャ(さま)(こと)調(しら)べてたの?」

図星(ずぼし)()かれ()(わる)いと判断(はんだん)した杠葉(ゆずりは)話題(わだい)変更(へんこう)しようと甲示(しんじ)(はなし)()ります。

「えーっと……ほら、あの……。そう!おじさん!!」

「おじさんって(まえ)(はな)してた(ねこ)ちゃんの元飼(もとか)()のおじさん(こと)?」

「そうそう!そのおじさんにお(れい)がしたいって()ったら、ガネーシャ(さま)()()せてくれて、この神様(かみさま)()きな()(もの)()ってきてくれると(うれ)しいって!」

杠葉(ゆずりは)(きゅう)(はなし)()ってきた(こと)動揺(どうよう)し、咄嗟(とっさ)(うそ)()いてしまった甲示(しんじ)

多少(たしょう)(うし)ろめたさを(のこ)しつつ(うそ)(つらぬ)(とお)します。

()きな()(もの)か……。(なに)かあったような()がしたが、(なん)だったかな……?」

そんな甲示(しんじ)発言(はつげん)()()け、真面目(まじめ)回答(かいとう)をしようとする(おき)

(あたま)()()て「うーん……」と(うな)りながら記憶(きおく)()()こそうと必死(ひっし)です。

所長(しょちょう)頑張(がんば)って(おも)()してください。オカ(けん)()(どころ)ですよ!」

「いや、(もの)(おも)()かんでいるのだが、名前(なまえ)が……。(たし)か『最中(もなか)』みたいな名前(なまえ)だったような……。(なん)だったかな……。モーナカじゃなくて……。(なん)かそんな(かん)じの名前(なまえ)なんだよな……。(ほか)にもインドの(まる)いお菓子(かし)もあったような()が……。んー……両方(りょうほう)とも名前(なまえ)()てこないなー。まあ、(なん)にせよ完成品(かんせいひん)()られているのは()(こと)がないから自作(じさく)するしかなさそうだな。……あとは果物(くだもの)とか(こめ)(みず)牛乳(ぎゅうにゅう)とかをお(そな)(もの)としていたような記憶(きおく)があるな……。全体的(ぜんたいてき)(あま)(もの)()きな(かん)じだな……」

(あま)(もの)ですか……。なるほど。ありがとうございます。……で、(すこ)(はなし)()わるんですが、ガネーシャ(さま)ってどんな神様(かみさま)なんですか?」

ある程度(ていど)情報(じょうほう)入手(にゅうしゅ)することに成功(せいこう)した甲示(しんじ)

せっかくの機会(きかい)なのでガネーシャに(かん)する(ほか)知識(ちしき)()ようと(おき)(はなし)()ります。

「ガネーシャはインド神話(しんわ)……。ヒンドゥー(きょう)の1(はしら)で、商業(しょうぎょう)学問(がくもん)(かみ)として()られているな。さっき(はなし)()たカシムに()姿(すがた)から、(ぞう)がネズミに()るのは不可能(ふかのう)(てん)じて不可能(ふかのう)可能(かのう)にする象徴(しょうちょう)としても()られている────」

自分(じぶん)得意分野(とくいぶんや)(こと)(たず)ねられ、(みず)()(うお)のような状態(じょうたい)(おき)

オタク特有(とくゆう)のソレと同様(どうよう)早口(はやくち)でペラペラと饒舌(じょうぜつ)知識(ちしき)をひけらかs……披露(ひろう)します。

()まらない(おき)のガネーシャ(ばなし)

それを呆気(あっけ)にとられた表情(ひょうじょう)(なが)めながら()甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)2人(ふたり)

所長(しょちょう)博識(はくしき)なのは()ってたけど、得意分野(とくいぶんや)になるとこれ(ほど)のものだったとは……。ちょっと地雷臭(じらいしゅう)(ただよ)ってくるわね。神話(しんわ)(はなし)()(とき)慎重(きちょう)になった(ほう)無難(ぶなん)そうね」

杠葉(ゆずりは)甲示(しんじ)(はなし)しかける(よう)な、(ひと)(ごと)(よう)感想(かんそう)をポツリと()べます。

しかし、(とう)本人(ほんにん)はそんな杠葉(ゆずりは)発言(はつげん)には(みみ)(かたむ)けず、素知(そし)らぬ(かお)(はな)(つづ)けます。

挙句(あげく)()てに、甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)()()け、大衆(たいしゅう)(まえ)演説(えんぜつ)しているかの(ごと)く、(おお)きく身振(みぶ)手振(てぶ)りを(くわ)(さら)なる知識(ちしき)披露(ひろう)します。

(おき)にとっては2人(ふたり)()いてるかは重要(じゅうよう)ではないのでしょう。

(おそ)らく、(はなし)をする機会(きかい)がある(こと)重要(じゅうよう)だと(かんが)えているのだと(おも)います。

「ワタシは分野違(ぶんやちが)いだからあまり(くわ)しくないけど、所長(しょちょう)()っていたように商業(しょうぎょう)神様(かみさま)有名(ゆうめい)ね。インド料理屋(りょうりや)さんとかで(たま)(ぞう)置物(おきもの)()いてあるでしょ?あれってガネーシャ(さま)(ぞう)()わりなのよ」

(まわ)りの(こと)()()めず、()まる(こと)なく(はなし)(つづ)ける(おき)()わり(かる)知識(ちしき)披露(ひろう)する杠葉(ゆずりは)

甲示(しんじ)としてもこの程度(ていど)情報(じょほう)()かったのだと(おも)います。

「へぇ~。あれってそんな意味(いみ)があったんだ。てっきりインドだからインド(ぞう)とかが有名(ゆうめい)だから()いてるだけなのかと(おも)ってたよ」

甲示(しんじ)近所(きんじょ)のカレー()()(ぐち)()いてある木彫(きぼ)(ぞう)(おも)()しながら感想(かんそう)()べます。

「ワタシも(くわ)しくはないから、そういう(はなし)()いた(こと)があるって程度(ていど)ね。(ほか)質問(しつもん)ある?」

「ガネーシャ(さま)については大丈夫(だいじょうぶ)色々(いろいろ)(おし)えてくれてありがとう。……で、沖所長(おきしょちょう)(こと)はどうすれば()いの?」

「まあ、(ほお)っておけばそのうち()まるでしょう」

杠葉(ゆずりは)(おき)一瞥(いちべつ)(あき)気味(ぎみ)回答(かいとう)します。

まるで、電源(でんげん)(こわ)れた玩具(おもちゃ)()(とき)(よう)感想(かんそう)

甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)返答(へんとう)には「あはは……」と(かわ)いた(わら)いで(かえ)すしか出来(でき)ませんでした。

「じゃあ、(ぼく)図書室(としょしつ)(かぎ)(かえ)さないといけないから(かえ)っても大丈夫(だいじょうぶ)かな?」

杠葉(ゆずりは)反応(はんのう)から(さっ)するに、(いま)すぐどうこう出来(でき)問題(もんだい)ではないと認識(にんしき)した甲示(しんじ)

時間(じかん)勿体無(もったいな)いと(かんが)え、この()から()(こと)提言(ていげん)します。

「あとはワタシが(なん)とかするから大丈夫(だいじょうぶ)よ。(ぎゃく)()(つか)わせちゃってみたいでごめんね。じゃあね、甲示君(しんじくん)。オカ(けん)(はい)ることも(かんが)えておいてね」

「うん。ごめんね。オカ(けん)(こと)(かんが)えておくよ。じゃあね」

(おき)(あき)れる杠葉(ゆずりは)甲示(しんじ)帰宅(きたく)了承(りょうしょう)

甲示(しんじ)(おき)(へん)なスイッチを()した自覚(じかく)があり、杠葉(ゆずりは)(たい)して多少(たしょう)(うし)ろめたさがあります。

オカ(けん)(はい)()皆無(かいむ)ですが、キッパリと(ことわ)らずに保留(ほりゅう)()(かたち)をとり(つみ)意識(いしき)(やわ)らげたかったのでしょう。

甲示(しんじ)杠葉(ゆずりは)双方(そうほう)(たい)する(もう)(わけ)なさで、(なん)とも()えない微妙(びみょう)雰囲気(ふんいき)のを(かも)()していますが、甲示(しんじ)退室(たいしつ)をして帰宅(きたく)する(こと)決意(けつい)します。

最後(さいご)(おき)様子(ようす)をチラリと確認(かくにん)し、まだまだ演説(えんぜつ)(つづ)きそうだと確信(かくしん)する甲示(しんじ)

(おき)(なに)かの拍子(ひょうし)にこちらを()()き、演説(えんぜつ)(つづ)きに()()わされる(まえ)に……。と、()()(よう)部屋(へや)()るのでした。


その()(おき)演説(えんぜつ)(つづ)き……。

ガネーシャの両親(りょうしん)(はなし)()()ちの(はなし)、ムシカの(はなし)からガネーシャの素晴(すばら)らしさ……と()わる様子(ようす)()えません。

流石(さすが)杠葉(ゆずりは)途中(とちゅう)()き、読書(どくしょ)タイムに移行(いこう)

ページを(めく)(とき)横目(よこめ)確認(かくにん)をし『まだ(つづ)いてる……』と(あき)れられる程度(ていど)(あつか)いになります。

「────と()(わけ)なんだよ。ってあれ?宮司君(みやつかさくん)は?」

小一時間(こいちじかん)ノンストップで(はな)(つづ)けていた(おき)

(えつ)()った表情(ひょうじょう)()()りますが、そこには杠葉(ゆずりは)1人(ひとり)のみ。甲示(しんじ)姿(すがた)見当(みあ)たりません。

2人(ふたり)()()(かべ)大衆(たいしゅう)()妄想(もうそう))に()かい熱弁(ねつべん)(ふる)るっていた(おき)現状(げんじょう)理解(りかい)()()いていません。

「とっくに()りましたよ」

杠葉(ゆずりは)何事(なにごと)もなかったかのように読書(どくしょ)(つづ)け、ページを(めく)りながら(おき)返事(へんじ)をします。

「な、何故(なぜ)だー!!」

()たり(まえ)です。せっかく勧誘(かんゆう)出来(でき)機会(きかい)だったのに延々(えんえん)自分(じぶん)世界(せかい)(はい)ったまま(もど)ってこないんですから。あと2人(ふたり)(あつ)まれば5(にん)になって()昇格(しょうかく)出来(でき)るかもしれなかったのに……」

(あき)半分(はんぶん)(いか)半分(はんぶん)()った(かん)じで対応(たいおう)する杠葉(ゆずりは)

(もう)(わけ)ない……。(つぎ)からは(ねつ)(はい)()ぎないよう善処(ぜんしょ)する」

杠葉(ゆずりは)対応(たいおう)自分(じぶん)仕出(しで)かした(こと)重大(じゅうだい)さに()()素直(すなお)謝罪(しゃざい)をする(おき)

先程(さきほど)までの(えつ)()った表情(ひょうじょう)とは()って()わり()()んだ表情(ひょうじょう)()せます。

(おき)反応(はんのう)()るからに本当(ほんとう)反省(はんせい)しているようです。

「まあ、自分(じぶん)()きな(こと)(はな)せるのが(うれ)しい気持(きも)ちは理解(りかい)出来(でき)ます。(つぎ)からは()()けてくださいね。甲示君(しんじくん)もオカ(けん)(はい)(こと)(かんが)えてくれるって()ってましたので」

甲示(しんじ)曖昧(あいまい)返事(へんじ)()()けた杠葉(ゆずりは)(おき)(かえ)します。

この甲示(しんじ)中途半端(ちゅうとはんぱ)返事(へんじ)が、後々(のちのち)面倒事(めんどうごと)()()まれるキッカケになるとは、この(とき)甲示(しんじ)には()(よし)もなかったのである……。


「ガーくんがガネーシャ(さま)って名前(なまえ)神様(かみさま)って(こと)()かったのは(おお)きいな……。ガーくんとか()()れしく()んじゃってたけど大丈夫(だいじょうぶ)かな?(おこ)ってる様子(ようす)はなかったと(おも)うけど……。それに、沖所長(おきしょちょう)(こと)(すこ)心配(しんぱい)だな……。放置(ほうち)して本当(ほんとう)大丈夫(だいじょうぶ)だったのかな?杠葉(ゆずりは)さんは(すこ)()れてるっぽい(かん)じだったけど1人(ひとり)にしちゃったのも間違(まちが)いだったかな……?」

オカ(けん)退室(たいしつ)職員室(しょくいんしつ)()かう最中(さいちゅう)色々(いろいろ)情報(じょうほう)をまとめている甲示(しんじ)ですが、心配事(しんぱいごと)()きないようです。

しかし、心配(しんぱい)(くち)にしていても(もど)様子(ようす)皆無(かいむ)

オカ(けん)(こと)然程(さほど)(おも)(かんが)えていないのでしょう……。


その()何事(なにごと)もなく図書室(としょしつ)(かぎ)返却(へんきゃく)し、自転車(じてんしゃ)()()到着(とうちゃく)した甲示(しんじ)

「まだ、時間(じかん)はあるし図書館(としょかん)もついでに()けそうだよな……。PCが使(つか)えるか確認(かくにん)しよう。今日(きょう)使()えなくても予約(よやく)して後日(ごじつ)()けばいいか」

今後(こんご)方針(ほうしん)()まり、いざ図書館(としょかん)へ。


図書館(としょかん)

駐輪場(ちゅうりんじょう)自転車(じてんしゃ)()入口(いりぐち)()かいます。

途中(とちゅう)駐車場(ちゅうしゃじょう)状況(じょうきょう)確認(かくにん)すると()いているスペースが目立(めだつ)状況(じょうきょう)

最近(さいきん)では自宅(じたく)でもインターネット環境(かんきょう)整備(せいび)されていたり、電子書式化(でんししょしきか)された書籍(しょせき)(おお)くなって()たりで図書館(としょかん)利用者(りようしゃ)(むかし)(くら)減少(げんしょう)している(こと)影響(えいきょう)しているのでしょう。

(さら)に、手軽(てがる)(あそ)べる趣味(しゅみ)娯楽(ごらく)なども()えた(こと)図書館(としょかん)(ばな)れが加速(かそく)している要因(よういん)なのかもしれません。

受付(うけつけ)カウンターに到着(とうちゃく)した甲示(しんじ)はPCの利用状況(りようじょうきょう)職員(しょくいん)確認(かくにん)

(だい)のPCが()いているとの(こと)

甲示(しんじ)(まよ)わず使用(しよう)したい(むね)職員(しょくいん)(つた)えます。

()()された書類(しょるい)必要事項(ひつようじこう)記入(きにゅう)提出(ていしゅつ)

指定(してい)されたPCの(まえ)移動(いどう)します。

PCのスリープ状態(じょうたい)解除(かいじょ)し、デスクトップに配置(はいち)されているブラウザを起動(きどう)

検索欄(けんさくらん)に『ガネーシャ(さま)』と()()み、検索結果(けんさくけっか)一番上(いちばんうえ)()てきたWikipediaを(ひら)きます。

(ひら)いたページに()られているガネーシャ(ぞう)画像(がぞう)確認(かくにん)し、ガーくん=ガネーシャの確信(かくしん)()った甲示(しんじ)

沖所長(おきしょちょう)推察(すいさつ)(どお)り、ガネーシャ(さま)()ってるっぽいな……」

甲示(しんじ)はポツリと(つぶ)きWikipediaを熟読(じゅくどく)します。

好物(こうぶつ)などの情報(じょうほう)()かれていませんでしたが、とある一文(いちぶん)甲示(しんじ)()()まります。

それはガネーシャの()れた(きば)由来(ゆらい)でした。

説明欄(せつめいらん)一文(いちぶん)に『お(なか)(なか)のお菓子(かし)(モーダカ)』と記載(きさい)があります。

「モーダカ……?沖所長(おきしょちょう)最中(もなか)みたいな名前(なまえ)って()ってたけどコレかな?」

甲示(しんじ)はブラウザバックをし『ガネーシャ(さま) モーダカ』で再検索(さいけんさく)

……すると、ガネーシャの好物(こうぶつ)()かれた検索結果(けんさくけっか)()てきました。

「コレだ……」

ついにガネーシャの好物(こうぶつ)(こた)えにまで辿(たど)()いた甲示(しんじ)

(つぎ)検索(けんさく)すべきはモーダカのレシピ。

『モーダカ (つく)(かた)』で検索(けんさく)をかけます。

材料(ざいりょう)確認(かくにん)すると米粉(こめこ)やジャグリー、ココナッツ、ナツメグ、カルダモン、ギーなどなど……。

普段(ふだん)野菜炒(やさいいた)めしか(つく)らない甲示(しんじ)には到底(とうてい)使用(しよう)する機会(きかい)のない材料名(ざいりょうめい)(なら)びます。

(なか)には甲示(しんじ)()いた(こと)()材料(ざいりょう)もある(ため)材料名(ざいりょうめい)1つ1つを検索(けんさく)する羽目(はめ)に……。


全材料(ぜんざいりょう)確認(かくにん)完了(かんりょう)したのでメモを()ろうとしますが、筆記用具(ひっきようぐ)などを()っていない(こと)()()いた甲示(しんじ)

受付(うけつけ)カウンターへ()き、(かみ)鉛筆(えんぴつ)()ります。

(かみ)(おもて)には材料(ざいりょう)分量(ぶんりょう)を。そして、()馴染(なじ)みの()材料(ざいりょう)には特徴(とくちょう)などの一言(ひとこと)メモを()き、(うら)には工程(こうてい)(うつ)します。

「うーん……。使(つか)った(こと)()材料(ざいりょう)ばっかり……。米粉(こめこ)とかナツメグは()いた(こと)があるけど実物(じつぶつ)()(こと)()いなー」

()()わったレシピを(なが)めながら感想(かんそう)(つぶ)甲示(しんじ)

ここで一度(いちど)時計(とけい)確認(かくにん)

そろそろ1時間(じかん)経過(けいか)し、PC利用時間(りようじかん)終了(りゅうりょう)(せま)っている(こと)()()きます。

「キリも()いし、今日(きょう)(かえ)ろうかな……」

ブラウザを(すべ)()じスリープ状態(じょうたい)(もど)し、筆記用具(ひっきようぐ)返却(へんきゃく)とPC利用(りよう)終了(しゅうりょう)手続(てつづ)きを()ませます。

駐輪場(ちゅうりんじょう)()き、(そら)様子(ようす)確認(かくにん)

先程(さきほど)時間(じかん)確認(かくにん)していた(こと)もあり、(そら)(あか)るさからも時間的余裕(じかんてきよゆう)がある(こと)確信(かくしん)します。

()(もの)して(かえ)ろう」

ポケットに()れたレシピをメモした(かみ)()()てた甲示(しんじ)はモーダカの材料(ざいりょう)購入(こうにゅう)してから帰宅(きたく)する(こと)にしました。


今日(きょう)はいつも()(もの)をしている近所(きんじょ)(ちい)さなスーパーとは(ちが)い、自宅(じたく)から(すこ)(はな)れた(おお)きめのスーパーで()(もの)をします。

ここに()理由(りゆう)としては、検索(けんさく)したレシピの材料(ざいりょう)()馴染(なじ)みの()(もの)ばかりだった(ため)です。

近所(きんじょ)(ちい)さなスーパーでは材料(ざいりょう)()っていない可能性(かのうせい)もあると(かんが)え、(すこ)遠出(とおで)をして(おお)きめなスーパーに()めたのでした。

店内(てんない)()ったものの、普段(ふだん)使()()れていないスーパー……。商品(しょうひん)配置(はいち)()からず、()(もの)カゴを()にしたまま()()まり店内(てんない)見渡(みわた)します。

何処(どこ)()けばいいんだろう……?」

ポケットからメモを()()し、材料(ざいりょう)再確認(さいかくにん)

()()()かりそうなものを(かんが)えます。

米粉(こめこ)はお(こめ)()()粉物(こなもの)コーナーかな……?ココナッツは……生鮮食品(せいせんしょくひん)果物(くだもの)かな……?ナツメグとかは調味料(ちょうみりょう)だよね……?」

材料一覧(ざいりょういちらん)(なが)めながらブツブツと(つぶ)きながら周囲(しゅうい)様子(ようす)(うかが)います。

一番(いちばん)(ちか)くにあるのは果物(くだもの)()()です。

()()まって(かんが)えていても仕方(しかた)がないと果物(くだもの)()()()(すす)めます。

まずはココナッツ(さが)しを開始(かいし)

(はし)から()いてある商品(しょうひん)(すべ)確認(かくにん)しながら移動(いどう)します。

しかし、果物(くだもの)()()にココナッツはありません。

甲示(しんじ)()(うつ)商品(しょうひん)果物(くだもの)から野菜(やさい)変化(へんか)します。

そのままの(なが)れで隣接(りんせつ)していた野菜(やさい)コーナーも(すべ)確認(かくにん)

しかし、ココナッツは()つからず……。

到頭(とうとう)野菜(やさい)()()(はし)にまで到着(とうちゃく)してしまいました。

(よこ)確認(かくにん)すると関係者以外(かんけいしゃいがい)()()禁止(きんし)通用口(つうようぐち)(はさ)んで(さかな)(なら)んでいるのが確認(かくにん)出来(でき)ます。

これより(さき)鮮魚(せんぎょ)()()精肉(せいにく)()()へと(つづ)いているようです。

()()(ちが)うのかな?」

タイミング()品出(しなだ)しをしている店員(てんいん)(ちか)くに()たので質問(しつもん)をする(こと)にしました。

「すみません。ココナッツって何処(どこ)()いてありますか?」

「ココナッツ……?ココナッツオイルですか?ココナッツミルクですか?ココナッツパウダーですか?」

「いえ、ココナッツを……」

「えっ……?ココナッツってヤシの()ですよね?流石(さすが)()ってないと(おも)いますが……。確認(かくにん)しますので少々(しょうしょう)()ちください」

甲示(しんじ)質問(しつもん)困惑(こんわく)する店員(てんいん)

甲示(しんじ)(すこ)()つように()げ、バックヤードへと(いそ)(あし)()かいます。

(しばら)くすると店員(てんいん)(ほか)女性店員(じょせいてんいん)()れて(もど)ってきました。

「お()たせしました。(もう)(わけ)ありませんお客様(きゃくさま)当店(とうてん)ではココナッツ自体(じたい)()(あつ)いはしておりません。ココナッツファインやココナッツパウダー、ココナッツミルクパウダーなどはあるのですが────」

店員(てんいん)甲示(しんじ)謝罪(しゃざい)をし、ココナッツの()(あつ)いがない(こと)。そして、代用品(だいようひん)提案(ていあん)丁寧(ていねい)にします。

「あのー……。すみません。ココナッツファインとココナッツパウダー、ミルクパウダーの(ちが)いって(なん)ですか?」

「はい。ココナッツファインとココナッツパウダーの(ちが)いは、きめの(こま)かさで────」

店員(てんいん)説明(せつめい)()きながらメモを()()甲示(しんじ)

レシピを一度(いちど)確認(かくにん)して店員(てんいん)説明内容(せつめいないよう)からココナッツファインを使用(しよう)する(こと)にしました。

「ありがとうございます。ココナッツファインは何処(どこ)にありますか?」

説明(せつめい)をした店員(てんいん)甲示(しんじ)(はじ)めに(こえ)()けた店員(てんいん)目配(めくば)せをします。

「ご案内(あんない)いたします」

目配(めくば)せを()けた店員(てんいん)はココナッツファインの()いてある陳列棚(ちんれつだな)へと甲示(しんじ)案内(あんなつ)します。

「ありがとうございました」

甲示(しんじ)反応(はんのう)()店員(てんいん)()()(あと)にします。

甲示(しんじ)商品(しょうひん)()()り、原材料(げんざいりょう)などをチェック。商品毎(しょうひんごと)(ちが)いを確認(かくにん)します。

ココナッツファインを使用(しよう)すると()めたものの、(ねん)(ため)にココナッツパウダーなどとの比較(ひかく)(おこな)います。

しかし、原材料(げんざいりょう)などの(ちが)いはほぼ()し。

店員(てんいん)説明(せつめい)(どお)り『きめの(こま)かさ』の(ちが)いなのでしょう。

数種類(すうしゅるい)商品(しょうひん)見比(みくら)べた(あと)当初(とうしょ)予定通(よていどお)りココナッツファインを使用(しよう)する(こと)決定(けってい)

商品(しょうひん)をカゴに()れます。


その()はナツメグ、カルダモン、米粉(こめこ)順調(じゅんちょう)材料(ざいりょう)入手(にゅうしゅ)

「ギーとジャグリーはバターと砂糖(さとう)代用(だいよう)出来(でき)そうだから最悪(さいあく)購入(こうにゅう)しなくても()くて……。これで全部(ぜんぶ)(そろ)ったかな」

レシピメモを確認(かくにん)しながら()(もの)をしていた甲示(しんじ)

料理初心者(りょうりしょしんしゃ)あるあるの1つ。『オリジナリティ』や『アレンジ』と()()()りた『レシピ改悪(かいあく)』を脳内(のうない)(おこな)いつつ、必要(ひつよう)材料(ざいりょう)(すべ)てカゴの(なか)にある(こと)再確認(さいかくにん)します。

()(わす)れている(もの)()かったのでレジへ直行(ちょっこう)

支払(しはらい)いも無事(ぶじ)完了(かんりょう)し、帰宅(きたく)します。


帰宅(きたく)した甲示(しんじ)()(さき)台所(だいどころ)へ。

テーブルの(うえ)()ってきた材料(ざいりょう)(なら)べ、(しお)やバター、砂糖(さとう)などの()りない材料(ざいりょう)(さが)します。

材料(ざいりょう)一式(いっしき)をテーブルに(なら)()えた甲示(しんじ)はボールや片手鍋(かたてなべ)計量(けいりょう)カップなどの調理器具(ちょうりきぐ)準備(じゅんび)(うつ)ります。

(すべ)てがテーブルの(うえ)出揃(でそろ)い、モーダカ(づく)りの準備(じゅんび)完了(かんりょう)

レシピメモを一読(いちどく)し、(おおよ)その(なが)れを再確認(さいかくにん)

「よしっ!」

気合(きあい)()れた甲示(しんじ)


(いま)台所(だいどころ)舞台(ぶたい)にした料理(りょうり)()()(たたか)いの火蓋(ひぶた)()られる……。


─ つ づ く ─

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