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お客様は神様です!  作者: hiro.biz
脳漿を絞るまでもない特徴の塊の様な相手【のうしょうをしぼるまでもないとくちょうのかたまりのようなあいて】
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(おお)きなネズミに()り、有珠邸(ゆずてい)玄関前(げんかんまえ)移動(いどう)する甲示(しんじ)()ぐるみ(?)の2人(ふたり)

「ヘルメス(さま)―、ちょっと()てもらっても(よろ)しいでしょうか?」

甲示(しんじ)はネズミから()り、玄関(げんかん)()()けヘルメスに(こえ)()けます。

(しばら)()つと、足音(あしおと)(とも)にヘルメスが廊下(ろうか)(ある)いてくる姿(すがた)確認(かくにん)出来(でき)ました。

甲示君(しんじくん)、どうだった?」

「はい、ログハウスの(なか)()てきました。それで、あのー……。マスコット?の(かた)がお()えになられていたのでお()れしたのですが(よろ)しかったでしょうか?」

ヘルメスは甲示(しんじ)(うし)ろに()()ぐるみ(?)に()をやります。

「おぉ♪意外(いがい)(はや)到着(とうちゃく)だったね~♪さぁさぁ、()(ばなし)(なん)だから()がって()がって♪おや?今日(きょう)はムシカ(くん)一緒(いっしょ)なのかい?(くら)(ちか)くにグリフの寝床(ねどこ)があるから、ムシカ(くん)はそこで(やす)ませておくと()いよ♪」

ヘルメスは(くら)のある方向(ほうこう)()しながら()ぐるみ(?)に(はな)()けます。

(ちな)みにグリフとは現在(げんざい)家出中(いえでちゅう)のグリフォンの(こと)です。

家主不在(やぬしふざい)(ため)使用(しよう)しても問題(もんだい)()いのでしょう。

()ぐるみ(?)はヘルメスの言葉(ことば)()くと、(おお)きなネズミを()れて(くら)(ほう)へと(ある)いて()きました。

「ムシカ(くん)……?」

「あの(おお)きなネズミの名前(なまえ)だよ♪お(みせ)運用(うんよう)(はなし)とかもあるから、甲示君(しんじくん)()がって♪」

「はい」

ヘルメスは甲示(しんじ)質問(しつもん)(こた)え、甲示(しんじ)(しょう)()れます。


有珠様(ゆずさま)、お邪魔(じゃま)してます」

居間(いま)案内(あんない)され、入室(にゅうしつ)した甲示(しんじ)(ちゃ)(すす)年配(ねんぱい)男性(だんせい)挨拶(あいさつ)をします。

()って()ったぞ甲示(しんじ)。して、栗羊羹(くりようかん)()いのかのぅ?」

甲示(しんじ)(こえ)()けられ、姿(すがた)確認(かくにん)した有珠(ゆず)返事(へんじ)がてら(かる)会話(かいわ)をします。

「ありません!」

有珠(ゆず)第一声(だいいっせい)甲示(しんじ)(すこ)しイライラした様子(ようす)(かえ)します。

「まぁまぁ、甲示君(しんじくん)(すわ)って♪(いま)、お(ちゃ)()ってきますね♪」

ヘルメスは甲示(しんじ)(かた)(つか)(なか)強引(ごういん)(すわ)らせると、お(ちゃ)準備(じゅんび)をする(ため)(おく)部屋(へや)へと姿(すがた)()します。

甲示(しんじ)座布団(ざぶとん)(うえ)(まる)くなっているなーくんを見遣(みや)ります。


(しば)くするとヘルメスがお(ちゃ)を3つお(ぼん)()せて(もど)ってきました。

それとほぼ同時(どうじ)()ぐるみ(?)もムシカを所定(しょてい)場所(ばしょ)待機(たいき)をさせ居間(いま)へと到着(とうちゃく)

()ぐるみ(?)が()いている(せき)(すわ)ろうと移動(いどう)開始(かいし)したその(とき)……。

()(おぼ)えの()足音(あしおと)()(さま)ましたなーくんが()ぐるみ(?)の姿(すがた)確認(かくにん)し、普段(ふだん)()(こと)()異形(いぎょう)姿(すがた)(おどろ)き、()()(よう)部屋(へや)から逃亡(とうぼう)してしまいました……。

「あー……なーくん……」

()げちゃいましたね……。きっとすぐに(もど)ってくるでしょう♪」

ヘルメスはあまり()にするでもなく(もう)(わけ)程度(ていど)反応(はんのう)します。

そして、ヘルメスはボーッと(たたず)()ぐるみ(?)に(こえ)()け、(はなし)をし(はじ)めました。

「はいはい♪ガーくんも(すわ)って♪今日(きょう)はタイミング()くガーくんも合流(ごうりゅう)したので、色々(いろいろ)なお(はなし)があります♪」

ヘルメスはお(ちゃ)をテーブルに()きながらガーくんと()ばれた()ぐるみ(?)の(すわ)(せき)示唆(しさ)しながら着席(ちゃくせき)(うなが)します。

「お(はなし)?ログハウスと交易(こうえき)のお仕事(しごと)(けん)でしょうか?」

主題(しゅだい)はそうだね♪有珠様(ゆずさま)(はな)()った結果(けっか)改善点(かいぜんてん)もあるからそう()(はなし)もね♪甲示君(しんじくん)とガーくんが同時(どうじ)()るとは予想(よそう)してなかったから、別々(べつべつ)(はな)(こと)になるかなって(おも)ってたんだよね♪だから、ガーくんに関係(かんけい)()(はなし)(おお)いけど大丈夫(だいじょうぶ)かい?」

ヘルメスは甲示(しんじ)質問(しつもん)回答(かいとう)しつつ、ガーくんに質問(しつもん)()げかけます。

ガーくんは首肯(しゅこう)する(こと)により意思表示(いしひょうじ)をします。

それを確認(かくにん)したヘルメスは(はなし)(つづ)けます。

「じゃあ、まずは改善(かいぜん)した(てん)から説明(せつめい)すよ♪有珠様(ゆずさま)『アレ』お(ねが)いします」

「うむ」

ヘルメスから(うなが)され、有珠(ゆず)(ふところ)から1(まい)のカードを()()しました。

「カードですか?」

「そうじゃ」

疑問(ぎもん)(くち)にする甲示(しんじ)有珠(ゆず)はカードを手渡(てわた)します。

甲示(しんじ)はカードを()()ると、カードの表裏(ひょうり)(なに)かを(たし)かめる(よう)に、じっくりと(なが)めながら質問(しつもん)をします。

「このカードは(なに)使(つか)うんですか?」

どうやら、カードを観察(かんさつ)しても(なに)情報(じょうほう)()られず、理解(りかい)出来(でき)なかったようです……。

通貨(つうか)みたいなものだよ♪ポイントカードとかクレジットカードの(たぐい)って()えば理解(りかい)(やす)いかな?」

「名付けて……『神通力ード(じんずうりきいちど)』じゃ!」

「じんずうりきいちど……?」

「だから()ったじゃないですか♪文字(もじ)にしないと(つた)わらないからダメですよって♪」

「どう()(こと)ですか?」

神通(じんずう)カードだね♪カタカナの『カ』と『長音符(ちょうおんぷ)』を『(ちから)と一』って()んで神通力一(じんずうりきいち)だよ♪それで、(のこ)った部分(ぶぶん)が『ド』だね♪神通力(じんずうりき)()かるかな?(ひと)には使(つか)えない不思議(ふしぎ)(ちから)(こと)だよ♪」

「……」

ヘルメスの説明(せつめい)()き、カードを(なが)めたまま(だま)甲示(しんじ)

(おそ)らく反応(はんのう)(こま)っているのでしょう……。

「どうやって使(つか)うんですか?『神通力(じんずうりき)』とは『神通力(じんつうりき)』と(おな)じものでしょうか?」

甲示(しんじ)()した(こた)えは『アイテムの命名(めいめい)理由(りゆう)()かなかった(こと)にする』でした。

「そうだね♪甲示君(しんじくん)は『じんずうりき』じゃなくて『じんつうりき』()なんだね♪」

名前(なまえ)(けん)無視(むし)するでない」

何事(なにごと)()かったかのように(はなし)(すす)める甲示(しんじ)とヘルメス。

有珠(ゆず)名前(なまえ)にも()れてほしかったのか2人(ふたり)(はなし)中断(ちゅだん)させます。

()れた(ほう)()かったですか?」

今後(このご)名付(なづ)ける(さい)参考(さんこう)にするので、感想(かんそう)くらいは()きたいのじゃ」

反応(はんのう)()れば()必要(ひつよう)()いと(おも)いますが、具体的(ぐたいてき)意見(いけん)()(こと)次回以降(じかいいこう)命名(めいめい)()かせる可能性(かのうせい)があると(かんが)えたのでしょう。……たぶん。

もしかしたら、単純(たんじゅん)感想(かんそう)()きたかっただけなのかもしれません。

「そうですね……。普通(ふつう)に『神通力(じんずうりき)カード』か『神通(じんずう)カード』で()いのではないでしょうか?それと、発音(はつおん)(にく)いのも難点(なんてん)ですね」

甲示(しんじ)多少(たしょう)()(つか)い、オブラートに(つつ)みながらダメ()しをし、代案(だいあん)提示(ていじ)します。

予想(よそう)出来(でき)ていましたが、甲示(しんじ)(くち)からは否定的(ひていてき)意見(いけん)しか()ません。

「まあ、お(ぬし)がそれで()いならそれでも……。じゃが、古来(こらい)より『言葉(ことば)』には(ちから)宿(やど)るとされておるのをお(ぬし)()いた(こと)()いかのぅ?言霊(ことだま)()ばれる(もの)なのじゃが────」

甲示(しんじ)感想(かんそう)()け、(なに)やら有珠(ゆず)(かた)(はじ)めました。

「はいはい♪じゃあ、甲示君(しんじくん)意見(いけん)採用(さいよう)して『神通力(じんずうりき)カード』にしましょう♪」

言霊(ことだま)について(あつ)(かた)(つづ)ける有珠(ゆず)無視(むし)し、ヘルメスが勝手(かって)改名(かいめい)してしまいました……。

「ヘルメス(さま)神通力(じんずうりき)カード』も(すこ)(なが)いので『ツーカ』などと(りゃく)しても大丈夫(だいじょうぶ)でしょうか?僕的(ぼくてき)には『じんずうりき』よりも『じんつうりき』の(ほう)()馴染(なじ)みがあるので『(つう)カ』です。日本語(にほんご)の『通貨(つうか)』とも発音(はつおん)(おな)じなので理解(りかい)もし(やす)いです」

ヘルメスの勝手(かって)改名(かいめい)からの(なが)れの(つい)でに略称(りゃくしょう)許可申請(きょかしんせい)する甲示(しんじ)

日本人(にほんじん)って略称(りゃくしょう)()きだよね♪有珠様(ゆずさま)命名(めいめい)よりセンスがあるし、()かり()いんなら()いんじゃないかな♪でも『通貨(つうか)』と『ツーカ』(まった)(おな)発音(はつおん)混同(こんどう)しないかい?お(かね)(はなし)をする機会(きかい)(すく)ないと(おも)うけど、(はな)してる途中(とちゅう)でどっちの(はなし)混乱(こんらん)する可能性(かのうせい)はない?」

()われてみれば……。じゃあ『(かみ)カ』でも大丈夫(だいじょうぶ)でしょうか?」

「『ジンカ』じゃなくて『カミカ』ね♪発声(はっせい)もし()いし()いと(おも)うよ♪」

甲示(しんじ)説明(せつめい)()き、ヘルメスが一部修正(いちぶしゅうせい)した(あん)提示(ていじ)

ヘルメスの(あん)()き、甲示(しんじ)再提案(さいていあん)

ヘルメスも甲示(しんじ)(あん)納得(なっとく)し、略称(りゃくしょう)決定(けってい)しました。


有珠(ゆず)有珠(ゆず)延々(えんえん)と『言霊(ことだま)』について(あつ)(かた)り、甲示(しんじ)とヘルメスはカードの改名話(かいめいばなし)()()がる。

そして、ガーくんは(だま)って3(にん)動向(どうこう)見守(みまも)っている状況(じょうきょう)

(なん)とも()えないカオスな空間(くうかん)(ひろ)がっています……。


(しば)くすると全員(ぜんいん)()()きを()(もど)しました。

「それで有珠様(ゆずさま)、この『カミカ』はどのように使用(しよう)するのでしょうか?」

「そう(はや)るでない。あとの説明(せつめい)はヘルメスに(まか)せるのじゃ」

「お(まか)せください♪基本的(きほんてき)甲示君(しんじくん)交易相手(こうえきあいて)交渉(こうしょう)をして────」

()()んで説明(せつめい)すると……。


1.基本的(きほんてき)には甲示(しんじ)交易相手(こうえきあいて)とで交渉(こうしょう)をして交易(こうえき)する物品(ぶっぴん)報酬(ほうしゅう)()める。


以下(いか)の2つの場合(ばあい)は『カミカ』の出番(でばん)となる。

2-1.甲示(しんじ)相手(あいて)提示(ていじ)したアイテムでは()()いが()れないと(かん)じた場合(ばあい)

3-1.甲示(しんじ)隠世(かくりよ)()()(もの)をポイントに換算(かんさん)支払(しはらい)ポイントを提示(ていじ)

4-1.交易相手(こうえきあいて)がポイントで支払(しはら)い。


2-2.有珠(ゆず)現世(うつしよ)には()()せないアイテムと判断(はんだん)した場合(ばあい)

3-2.現世(うつしよ)()()せないアイテムを有珠(ゆず)がポイントに換算(かんさん)する。

4-2.有珠(ゆず)がアイテムを回収(かいしゅう)しポイントと交換(こうかん)する。


5.ポイントで有珠(ゆず)から(なに)かしらのアイテムの制作依頼(せいさくいらい)()したり購入(こうにゅう)可能(かのう)


「────ってな(かん)じです♪有珠様(ゆずさま)(なに)補足説明(ほそくせつめい)はありますか?」

「ポイントについてじゃが、1ポイントで『プチ()小槌(こづち)』100()(ぶん)交換可能(こうかんかのう)じゃ。(ぎゃく)に『プチ()小槌(こづち)』で()めた10円分(えんぶん)を1ポイントにも交換可能(こうかんかのう)じゃ。勿論(もちろん)最終的(さいしゅうてき)双方(そうほう)納得(なっとく)出来(でき)ない場合(ばあい)交渉決裂(こうしょうけつれつ)不成立(ふせいりつ)()わる(こと)()()るのじゃ」

「そうでしたね♪その説明(せつめい)失念(しつねん)していました♪甲示君(しんじくん)(なに)質問(しつもん)はありますか?」

ヘルメスの解説(かいせつ)有珠(ゆず)による補足(ほそく)でポイント制度(せいど)説明(せつめい)一応(いちおう)終了(しゅうりょう)したようです。

「はい。2つ質問(しつもん)よろしいでしょうか?」

(なん)だい?」

「1つめの質問(しつもん)は『プチ()小槌(こづち)』とのポイントの交換(こうかん)についてですが、100()りって(たし)期待値(きたいち)は5(えん)ですよね?何故(なぜ)(ぎゃく)は10(えん)で1ポイントなのでしょうか?」

甲示(しんじ)の1つ()疑問点(ぎもんてん)交換率(こうかんりつ)差異(さい)についてです。

2つの(ちが)いに疑問(ぎもん)(てい)した甲示(しんじ)

「……余計(よけい)(こと)には()()くんじゃのぅ」

甲示(しんじ)質問(しつもん)()け、有珠(ゆず)小声(こごえ)(つぶや)きます。

「えっ?(なに)()いましたか?」

どうやら有珠(ゆず)(つぶや)きは甲示(しんじ)(みみ)(とど)いていなかったようです。

(なん)でも()いのじゃ。()にするでない。多少(たしょう)手数料(てすうりょう)必要(ひつよう)なだけの(はなし)じゃ。それに、10(えん)は10(えん)固定(こてい)じゃ。変化(へんか)する(こと)()いのじゃ。しかし、期待値(きたいち)所詮(しょせん)期待値(きたいち)なのじゃ。ブレもあるしのぅ……。1ポイント100()りの(ほう)が10(えん)1ポイントより(とく)する可能性(かのうせい)極々(ごくごく)(わず)かながらあるじゃろぅ?お(ぬし)世界(せかい)でも()()(ほう)()()価格(かかく)より(たか)いじゃろぅ。(おな)(こと)なのじゃ。(たん)なる上下関係(じょうげかんけい)(はなし)なのじゃ」

先程(さきほど)(つぶ)きは()かった(こと)にし、有珠(ゆず)説明(せつめい)をします。

納得(なっとく)出来(でき)るような納得(なっとく)出来(でき)ないような微妙(びみょう)説明(せつめい)です。

しかし、1()り1~9(せん)。100()りで最大(さいだい)900(せん)です。

つまり、最大(さいだい)で9(えん)

(とく)する(こと)()交換率(こうかんりつ)なのは確実(かくじつ)です……。

それだけではなく、交換(こうかん)にかかる金額(きんがく)(ばい)暴利(ぼうり)()わざるを()ないでしょう。

「なるほど……。()われてみれば納得(なっとく)です。10(えん)有珠様(ゆずさま)(わた)して1ポイントにしてもらう(こと)可能(かのう)ですか?」

甲示(しんじ)有珠(ゆず)説明(せつめい)(なん)(うたが)いも()たず鵜呑(うの)みにし、交換率(こうかんりつ)(ちが)いによる(そん)には(まった)()()様子(ようす)がありません。

そして、有珠(ゆず)説明(せつめい)()疑問(ぎもん)(おも)った(こと)(くち)にしました。

「それは無理(むり)なのじゃ。必要(ひつよう)なのは10(えん)相当(そうとう)の『神通力(じんずうりき)』であって10(えん)では()いのじゃ。お(ぬし)小槌(こづち)()(ちから)を『神通力(じんずうりき)』に変換(へんかん)して『プチ()小槌(こづち)』に()めてあると(かんが)えれば()かるかのぅ?『プチ()小槌(こづち)』の能力(のうりょく)直接(ちょくせつ)(かね)()(こと)()いと説明(せつめい)したのも(おな)原理(げんり)だと(かんが)えれば()いのじゃ」

甲示君(しんじくん)(なに)かを()ろうとして、現金(げんきん)での取引(とりひき)をしたいのに物々交換(ぶつぶつこうかん)をしたいって()われても(こま)(かん)じかな♪(すこ)()かり(にく)いかな?まあ、現金(げんきん)とポイントの直接交換(ちょくせつこうかん)不可能(ふかのう)って(こと)理解(りかい)してれば十分(じゅうぶん)だよ♪」

有珠(ゆず)説明(せつめい)での不足部分(ふそくぶぶん)をヘルメスが補足(ほそく)します。

(たと)(ばなし)(すこ)微妙(びみょう)()がしますが、有珠(ゆず)取引(とりひき)出来(でき)()っている以上(いじょう)無理矢理(むりやり)取引(とりひき)する(こと)不可能(ふかのう)です。

通貨(つうか)(ちが)いと()(こと)納得(なっとく)するしかないでしょう。

日本(にほん)支払(しはら)いをする(とき)にドルなどの他国(たこく)通貨(つうか)()されても(こま)りますしね……。

「そうですね。交換(こうかん)出来(でき)ないって(こと)理解(りかい)しました。(つぎ)質問(しつもん)をしても(よろ)しいでしょうか?」

「うむ」

甲示(しんじ)(むずか)しい(こと)には()れず、『無理(むり)なものは無理(むり)』そう()うものだと納得(なっとく)したようです。

そして、2つ()質問(しつもん)(うつ)ります。

「アイテムをポイントに変換(こうかん)する場合(ばあい)と、有珠様(ゆずさま)からアイテムを購入(こうにゅう)する場合(ばあい)のポイントはどのように()まるのでしょうか?」

基本的(きほんてき)にはワシの()()じゃが、多少(たしょう)交渉(こうしょう)可能(かのう)じゃ。しかし『()()小槌(こづち)』を現世(うつしよ)()()せるように『プチ()小槌(こづち)』に変更(へんこう)する(よう)制限(せいげん)(くわ)える(よう)改造(かいぞう)無料(むりょう)(おこな)うのじゃ。これはワシらの事情(じじょう)なので(いた)(かた)ないのじゃ」

制限(せいげん)(くわ)える場合(ばあい)無料(むりょう)(なに)かを(つく)ってもらって購入(こうにゅう)する場合(ばあい)はどのような(なが)れになりますか?」

(たと)えば『()()小槌(こづち)』を売却(ばいきゃく)して『タラリア』を購入(こうにゅう)する場合(ばあい)は、『()()小槌(こづち)』をまずは有珠様(ゆずさま)鑑定(かんてい)をし、()()価格(かかく)()甲示君(しんじくん)へポイント付与(ふよ)します♪(つぎ)甲示君(しんじくん)有珠様(ゆずさま)に『タラリア』の作成(さくせい)依頼(いらい)します♪出来上(できあ)がったら甲示君(しんじくん)有珠様(ゆずさま)にポイントでお支払(しはら)いして、商品(しょうひん)()(わた)しって(かん)じの(なが)れだね♪()ぐに()しいアイテムが()場合(ばあい)はポイントで()めておいても問題無(もんだいな)いよ♪」

制限(せいげん)()ける場合(ばあい)制作前(せいさくまえ)事前通知(じぜんつうち)するから安心(あんしん)するのじゃ」

()かりました。ご説明(せつめい)ありがとうございます」

「うむ。使用(しよう)して不明(ふめい)(てん)があれば都度(つど)()くが()い。それと(つぎ)隠世(かくりよ)()(とき)は『プチ()小槌(こづち)』を()ってくるのじゃ。試運転(しうんてん)必要(ひつよう)なのじゃ」

「はい。……(いま)()りに(もど)っても(よろ)しいでしょうか?」

(かま)わんのじゃ。……では、お(ぬし)(もど)るまでの(あいだ)色々(いろいろ)準備(じゅんび)でもしておくかのぅ」

「ヘルメス(さま)のアンクレットがあるので、すぐに(もど)れると(おも)います」

甲示(しんじ)有珠(ゆず)(こえ)()け『プチ()小槌(こづち)』を()りに一度(いちど)帰宅(きたく)するのでした。


『プチ()小槌(こづち)』を()にし、有珠邸(ゆずてい)帰還(きかん)する甲示(しんじ)

「お()たせしました」

(もど)ったか。早速(さっそく)じゃが『プチ()小槌(こづち)』を()すのじゃ。(すこ)加工(かこう)必要(ひつよう)なのじゃ」

有珠(ゆず)甲示(しんじ)から『プチ()小槌(こづち)』を()()ると、(おく)部屋(へや)移動(いどう)します。


(しばら)くすると有珠(ゆず)が『プチ()小槌(こづち)』とカードリーダーの(よう)(ちい)さな道具(どうぐ)(たずさ)(もど)ってきました。

「これで使(つか)えるはずじゃ」

「どうやって使(つか)うんですか?」

「お(ぬし)使(つか)(こと)()いのじゃが……。まずはカードを()すのじゃ」

甲示(しんじ)有珠(ゆず)指示(しじ)()け『カミカ』を()()します。

甲示(しんじ)から『カミカ』を()()った有珠(ゆず)はカードリーダーに『カミカ』を()しカードリーダーを操作(そうさ)

今回(こんかい)特別(とくべつ)に1P付与(ふよ)したのじゃ。右下(みぎした)のポイント(らん)確認(かくにん)するのじゃ」

有珠(ゆず)甲示(しんじ)に『カミカ』を返却(へんきゃく)しながら説明(せつめい)をします。

『カミカ』のポイント(らん)が0から1に変化(へんか)しています。

「これで1Pって(こと)ですよね?『カミカ』から『プチ()小槌(こづち)』へのポイント変換(へんかん)はどのような手順(てじゅん)(おこな)うのでしょうか?」

(じゅん)説明(せつめい)はするのじゃ。そう(はや)るでない」

有珠(ゆず)はポイントの確認(かくにん)完了(かんりょう)した甲示(しんじ)からカードを(かす)()ると再度(さいど)カードリーダーに『カミカ』を()します。

(つぎ)にカードリーダーから()びているコードを『プチ()小槌(こづち)』に(つな)ぎます。

以前(いぜん)()かったコードの差込口(さしこみぐち)先程(さきほど)『プチ()小槌(こづち)』に加工(かこう)(ほどこ)した部分(ぶぶん)なのでしょう。

そして、コードを(つな)いだ状態(じょうたい)の『プチ()小槌(こづち)』を甲示(しんじ)手渡(てわた)します。

数値(すうち)()ておるのじゃ」

甲示(しんじ)が『プチ()小槌(こづち)』を()()り、カウンター部分(ぶぶん)数値(すうち)()ているのを確認(かくにん)した有珠(ゆず)再度(さいど)カードリーダーを操作(そうさ)します。

「あっ、(うご)きました」

「うむ。(いま)のが1P……。つまりは100()(ぶん)じゃ。今回(こんかい)は517(せん)()えておるな」

「つまり、5.17(えん)……」

「そう()(こと)じゃ。(ぎゃく)小槌(こづち)からポイントに()えたい場合(ばあい)もワシに変換(へんかん)したい(ぶん)申告(しんこく)すれば交換(こうかん)するのじゃ」

「『プチ()小槌(こづち)』と『カミカ』の両方(りょうほう)(そろ)った状態(じょうたい)じゃないと交換(こうかん)出来(でき)ないんですよね?」

無論(むろん)じゃ。小槌(こづち)必要(ひつよう)(とき)だけ()ってくると()い」

「それと、ポイントでの支払(しはら)いをする相手(あいて)(ため)にレジも準備(じゅんび)してあるよ♪使(つか)(かた)(あと)でガーくんに(おし)えておくね♪」

「はい。()かりました。ありがとうございます」

ポイントへの変換(へんかん)説明(せつめい)終了(しゅうりょう)しましたが、ガーくんが(なに)かを(うった)えたい(よう)雰囲気(ふんいき)(かも)()しつつヘルメスを()つめています。

「ガーくん、どうかしたのかい?」

ヘルメスの()いにガーくんは身振(みぶ)手振(てぶ)りで(なに)かを(つた)えています。

「ふむふむ……。なるほど♪(たし)かにガーくんの指摘通(してきどお)りだね♪(わたし)早合点(はやがてん)部分(ぶぶん)もあったね♪遠路遥々(えんろはるばる)()てもらえたし、了承(りょうしょう)してくれたものだと勘違(かんちが)いしてたよ♪」

(なん)(おっしゃ)っているのですか?」

甲示(しんじ)質問(しつもん)に対し、ヘルメスはガーくんの代弁(だいべん)(はじ)めます。

「ガーくんは甲示君(しんじくん)のお(みせ)手伝(てつだ)いをするとは()ってないって(こと)だね♪」

「えぇー!!じゃあ、(なん)来訪(らいほう)したのですか?」

「まぁまぁ、()()いて♪(はなし)(つづ)きがあるからね♪」

「はい。すみません」

(はなし)(こし)()甲示(しんじ)(なだ)め、ヘルメスは代弁(だいべん)(つづ)けます。

「それで、甲示君(しんじくん)実力(じつりょく)(たし)かめてから協力(きょうりょく)をするかどうかを()めるってさ♪」

実力(じつりょく)……ですか?具体的(ぐたいてき)(なに)をどのようにすれば実力(じつりょく)(しめ)せるのでしょうか?」

甲示(しんじ)はヘルメスに(たい)して()うたつもりですが、ガーくんがジェスチャーで(こた)えます。

1本(いっぽん)(うで)使用(しよう)して自身(じしん)()し、2つの()使(つか)(むね)(あた)りでハートマークを(つく)ります。

「ガーくんが(すき)き?」

甲示(しんじ)言葉(ことば)()き、(のこ)1本(いっぽん)()(にぎ)(こぶし)(つく)り、親指(おやゆび)()て、サムズアップで意思表示(いしひょうじ)をします。

甲示(しんじ)確認(かくにん)したのを視認(しにん)したガーくんは(かる)(うなず)きハートマークを解除(かいじょ)

(つぎ)のジェスチャーは両手(りょうて)(なに)かを()ち、口元(くちもと)(はこ)動作(どうさ)変化(へんか)しました。

(たべ)べる?」

ガーくんは再度(さいど)甲示(しんじ)正答(せいとう)()している(こと)示唆(しさ)します。

「ガーくんは()べるのが()き?」

ガーくんは(くび)(おお)きく左右(さゆう)()り、誤答(ごとう)であることをアピールします。

「んー……。()きな~~……()(もの)?」

甲示(しんじ)言葉(ことば)()いたガーくんは首肯(しゅこう)します。

「ガーくんの()きな()(もの)()ってくれば()いって(こと)かな?」

再度(さいど)首肯(しゅこう)

「ガーくんは(なに)()きなの?」

甲示(しんじ)言葉(ことば)()いたガーくんは2(ほん)(うで)交差(こうさ)させ×印(バツじるし)(つく)ります。

「どう()(こと)()きな()(もの)()いから(さが)せって(こと)?」

「そうじゃないよ♪ヒントは()しだって♪」

()かねたヘルメスが通弁(つうべん)()って()ます。

「へっ?」

ヘルメスの言葉(ことば)()いた甲示(しんじ)()頓狂(とんきょう)(こえ)をあげます。

予想(よそう)だにしていなかった回答(かいとう)なのでしょう。

「ガーくん、甲示君(しんじくん)(わたし)理解(りかい)出来(でき)ていないから説明(せつめい)して(もら)えるかな?」

ヘルメスの言葉(ことば)()き、ガーくんは多様(たよう)(うご)きで(つた)えます。

「なるほど、なるほど♪つまり、何個(なんこ)(すき)きな()(もの)があるから、その(なか)から甲示君(しんじくん)任意(にんい)で1つを選択(せんたく)して()ってきて()しいと♪……で、報酬(ほうしゅう)ならびに協力(きょうりょく)可否(かひ)()ってきた(もの)によって変動(へんどう)する……と♪なかなか面白(おもしろ)(あん)だね♪」

「それで、ガーくんの()きな()(もの)とは(なん)でしょうか?」

「それはね……」

甲示(しんじ)()いにガーくんが(かみ)()()(こた)えようとしたその(とき)……。

ドーーン!!

戸外(こがい)から衝突音(しょうとつおん)らしき騒音(そうおん)()(ひび)きました。

「な、何事(なにごと)じゃ!?」

一同(いちどう)状況(じょうきょう)把握(はあく)する(ため)(あわ)てた様子(ようす)(そと)()()します。

移動(いどう)している最中(さいちゅう)(なぞ)衝突音(しょうとつおん)何度(なんど)となく()(ひび)いている状況(じょうきょう)です。


(そと)()一同(いちどう)()()()んできた光景(こうけい)は……。

(へい)(かべ)庭木(にわき)などに衝突(しょうとつ)しながら()(まど)巨大(きょだい)なネズミのムシカとムシカを()いかけ(まわ)仔猫(こねこ)のなーくんの姿(すがた)でした。

(にわ)(あば)(まわ)るムシカとなーくんに(あら)らされ、()るも無残(むざん)状況(じょうきょう)です。

一同(いちどう)予想外(よそうがい)光景(こうけい)()いた(くち)(ふさ)がらない状態(じょうたい)です。

(しばら)(くち)をポカーンと()けたままの状態(じょうたい)(なが)めていた一同(いちどう)ですが、最初(さいしょ)有珠(ゆず)正気(しょうき)()(もど)しました。

「ヘルメス!ネズミを()()かせるのじゃ!!甲示(しんじ)(ねこ)(つか)まえるのじゃ!!」

(すこ)(おお)きな(こえ)有珠(ゆず)指示(しじ)()します。

有珠(ゆず)指示(しじ)()け、2人(ふたり)はハッと正気(しょうき)()(もど)します。

(ほう)けている余裕(よゆう)などありません。

了解(りょうかい)♪」

「は、はい!」

有珠(ゆず)指示(しじ)(したが)い、即座(そくざ)行動(こうどう)(うつ)2人(ふたり)

甲示(しんじ)がアンクレットの(ちから)駆使(くし)し、なーくんを()いかけます。

「なーくん、悪戯(いたずら)したらダメっていつも()ってるでしょ!!」

まるで母親(ははおや)(よう)になーくんを(しか)りながら(ちか)づく甲示(しんじ)

甲示(しんじ)接近(せっきん)()()いたなーくんは甲示(しんじ)()()(?)から()げる(よう)方向転換(ほうこうてんかん)します。

アンクレットの(ちから)最高速度(さいこうそくど)甲示(しんじ)多少(たしょう)()があるように()えますが、なーくんも()けを()らない速度(そくど)です。

ですが、自分(じぶん)(おも)うがまま縦横無尽(じゅうおうむじん)()(まわ)れる仔猫(こねこ)障害物(しょうがいぶつ)(こと)(かんが)え、ぶつからないように速度調整(そくどちょうせい)をする甲示(しんじ)では甲示(しんじ)(ほう)若干(じゃっかん)不利(ふり)状況(じょうきょう)とも()えるでしょう。

そして、捕獲作業(ほかくさぎょう)困難(こんなん)(きわ)めます。

ましてや今回(こんかい)相手(あいて)はなーくんです。一筋縄(ひとすじなわ)ではいきません。


一方(いっぽう)、ムシカとヘルメスは……。

「ムシカ(くん)()()いてください♪なーくんはもう()いかけてきませんよ♪」

懸命(けんめい)にムシカを(なだ)めようと(こえ)()けますが、一向(いっこう)()(みみ)()ちません。

混乱状態(こんらんじょうたい)でヘルメスの(こえ)()こえていないのでしょう。

並走(へいそう)しながらの説得(せっとく)困難(こんなん)(かん)じたヘルメスは、作戦(さくせん)変更(へんこう)します。

そして、ヘルメスは(かろ)うじてムシカの背中(せなか)()()(こと)成功(せいこう)しました。

「ムシカ(くん)()こえていますか?()()いてください♪」

ムシカの背中(せなか)()(こと)前方(ぜんぽう)確認(かくにん)不要(ふよう)となり、多少(たしょう)(こえ)()けるのが(らく)になったヘルメス。

先程(さきほど)よりもゆっくりと()()いた(こえ)でムシカに(かた)()けます。

しかし、ヘルメスの(こえ)はムシカの(みみ)には(とど)きません……。

何度(なんど)何度(なんど)根気(こんき)よく(こえ)()けるヘルメスですが、ムシカが(へい)にぶつかった衝撃(しょうげき)()()とされてしまいました。

ヘルメスは上手(うま)()()()り、再度(さいど)説得(せっとく)(こころ)みようと態勢(たいせい)(ととの)え、()(ひるがえ)します。

ムシカへ再接近(さいせっきん)をしようとしますが、ムシカは(いき)いそのままで(あば)(まわ)りながら(もん)(くぐ)敷地外(しきちがい)遁走(とんそう)……。

「あー……」

流石(さすが)のヘルメスも言葉(ことば)がありません。

ガーくんは敷地外(しきちがい)遁走(とんそう)したムシカを()い、(あわ)てた様子(ようす)(はし)()すのでした……。

ヘルメスは遁走(とんそう)するムシカと追蹤(ついしょう)したガーくんを見送(みお)ることしか出来(でき)ず、唖然(あぜん)として()()くしてしました。

しかし、すぐに正気(しょうき)()(もど)したヘルメスは今回(こんかい)事件(じけん)元凶(げんきょう)にターゲットを変更(へんこう)し、なーくんの捕獲(ほかく)()()します。

甲示(しんじ)使用(しよう)している劣化版(れっかばん)タラリアのアンクレットとは(ちが)い、本物(ほんもの)のタラリアの(ちから)偉大(いだい)でした。

一瞬(いっしゅん)でなーくんの(まえ)()て、いとも簡単(かんたん)になーくんの捕獲(ほかく)成功(せいこう)

(あば)れるなーくんを捕縛(ほばく)し、()れた庭木(にわき)(くく)りつけます。

手際(てぎわ)()さなどを考慮(こうりょ)すると、道具(どうぐ)(ちが)いと()うよりは甲示(しんじ)とヘルメスの能力(のうりょく)()だったのかもしれません。

甲示(しんじ)とヘルメスの役割分担(やくわりぶんたん)(ぎゃく)だったのなら、もっと(はや)くに事態(じたい)収束(しゅうしゅう)したのかもしれませんが、生身(なまみ)人間(にんげん)仔牛(こうし)ほどの(おお)きさのムシカ(しかも(あば)れる状態(じょうたい))を(おさ)()ませるのは危険(きけん)。と一瞬(いっしゅん)判断(はんだん)をし、ヘルメスに対処(たいしょ)(まか)せた有珠(ゆず)采配(さいはい)糾弾(きゅうだん)する(こと)出来(でき)ないでしょう……。

「な゛ーーー!!」

不満気(ふまんげ)(こえ)()げながら(こし)(むす)ばれた(ひも)(ほど)こうと地面(じめん)(ころ)(まわ)ったり、()(こす)()けたりし試行錯誤(しこうさくご)をしますが、(まった)(ほど)ける気配(けはい)はありません。

(しばら)く、そこで反省(はんせい)していてくださいね♪」

ヘルメスは(くさり)でつながれた猛獣(もうじゅう)よろしくな状態(じょうたい)(あば)(まわ)っているなーくんに(こえ)()けます。

ヘルメスは満面(まんめん)()みで対応(たいおう)していますが、憤慨(ふんがい)しているのは(かく)しきれていません。

ヘルメスの(いか)りを(さっ)し、なーくんも大人(おとな)しくなります。

(ただ)し、(さわ)がなくなっただけで、(ひも)(ほど)(ため)試行錯誤(しこうさくご)()()無駄(むだ)足掻(あが)きは()めません……。

「ヘルメス(さま)、ありがとうございます」

「さて、どうしましょう……」

ヘルメスに()()りお(れい)言葉(ことば)(のべ)べる甲示(しんじ)他所(よそ)にヘルメスはポツリ一言(ひとこと)(つぶや)きます。

ヘルメスの一言(ひとこと)(にわ)惨事(さんじ)か、ムシカとガーくんの(こと)か。将又(はたまた)その両方(りょうほう)(こと)なのか……。

(もう)(わけ)ありません。なーくんの(しつけ)()(とど)いていなかったのでこのような事態(じたい)に……」

()きてしまった(こと)仕方(しかた)がありません♪それに、(しつけ)については、甲示君(しんじ)(ところ)()って()もないので仕方(しかた)()いでしょう♪甲示君(しんじくん)(すべ)ての責任(せきにん)()()けるつもりもありませんよ♪なので、(あやま)必要(ひつよう)はありませんよ♪」

「は、はぁ……?」

ヘルメスは(やさ)しく微笑(ほほえ)みながら甲示(しんじ)責任(せきにん)不問(ふもん)とします。

甲示(しんじ)曖昧(あいまい)相槌(あいづち)()ちますが、内心(ないしん)ではあまり納得(なっとく)していない様子(ようす)です。

(わたし)はガーくんの捜索(そうさく)()かいます♪甲示君(しんじくん)はガーくんの好物(こうぶつ)()ってきてください♪」

「あのー……。勝手(かって)(はなし)(すす)めてしまっても(よろ)しいのでしょうか?」

「たぶん大丈夫(だいじょうぶ)だよ♪もしもの(とき)(わたし)(あいだ)(はい)るから安心(あんしん)して♪(ただ)し、今回(こんかい)()ってきた(もの)評価(ひょうか)決定(けってい)するって(はなし)だから(わたし)からのヒントは()しです♪下手(へた)にヒントを()してしまうと、()ってくるものが固定(こてい)されかねませんからね♪甲示君(しんじくん)実力(じつりょく)(はか)れなくなってしまいます♪ガーくんの(こと)()りたい場合(ばあい)頑張(がんば)って調(しらべ)べてくださいね♪現世(うつしよ)でも一部(いちぶ)人達(ひとたち)(あいだ)では(わり)とポピュラーだと(おも)うから調(しらべ)べれば(なに)()てくると(おも)うよ♪」

了解(りょうかい)しました。あのー……なーくんの(こと)はどうなさるおつもりでしょうか?」

「そうですねー……(なん)らかの処罰(しょばつ)必要(ひつよう)!……と()いたい(ところ)ですが、事前(じぜん)悪戯猫(いたずらねこ)との情報(じょうほう)はあったので、(わたし)(ふく)全員(ぜんいん)監督不行(かんとくふゆ)(とど)きだった部分(ぶぶん)もあります♪今回(こんかい)はお(とが)めなしと()(こと)にしましょう♪ですので、甲示君(しんじくん)責任(せきにん)()って一緒(いっしょ)帰宅(きたく)してもらっても()いでしょうか?」

ヘルメスの返答(へんとう)()き、甲示(しんじ)はホッと(むね)()()ろします。

甲示(しんじ)帰宅(きたく)(うな)したヘルメスはなーくんに(なに)かを耳打(みみう)ちします。

(ひも)(ほど)こうと無駄(むだ)足掻(あが)きを(つづ)けていたなーくんですが、耳打(みみう)ちされた(あと)態度(たいど)一変(いっぺん)

まるで()りてきた(ねこ)体現(たいげん)したかのように大人(おとな)しくなってしまいました。

なーくんが従順(じゅうじゅん)になったのを確認(かくにん)したヘルメスは()(くく)りつけた(ひも)(ほど)甲示(しんじ)手渡(てわた)します。

()()った(ひも)(さき)には、なーくんが(つな)がれたままの状態(じょうたい)です。

甲示(しんじ)(すこ)戸惑(とまど)いながらヘルメスとなーくんの双方(そうほう)何度(なんど)確認(かくにん)します。

現世(うつしよ)()けば(ひも)()えますが、それまでは()()さないように甲示君(しんじくん)責任(せきにん)()ってくださいね♪」

戸惑(とまど)いながら何度(なんど)顔色(かおいろ)(うかが)甲示(しんじ)にヘルメスは(やさ)しく(こえ)()けます。

「はい。ご迷惑(めいわく)をおかけしました。……では、今日(きょう)はコレで失礼(しつれい)します。指定(してい)(もの)入手(にゅうしゅ)出来(でき)たらまた()ます」

甲示(しんじ)はペコリとお辞儀(じぎ)をします。

そして、ガーくんの好物(こうぶつ)(さが)すべく現世(うつしよ)帰還(きかん)するのでした……。


─ つ づ く ─


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