43話
今日は魔法大会当日。
「すごい…」
今、クラウス様の演技が行われている。
会場では何人かの演技が同時で行われているが、みんなクラウス様を見ている。
クラウス様は闇魔法で黒い球体を作り、その中に火魔法を貯める。それを空高く持っていき、風魔法で爆発させる。落ちてきた火花は水魔法でしっかりガード。
打ち上げ花火みたいなそんな感じだ。
「やっぱりクラウス様はすごいわねぇ」
「ええっ。他の方とは精密さが違いますわね」
一緒に見ていた、オゼットとエルザも大興奮。
「そろそろフローラの出番じゃない?」
「本当だわ。行ってきます。」
「「頑張ってね!」」
会場へ向かう。
あっ!クラウス様だ…
マカロンキスの事を思い出す…
「フィー、今から演技だろ。待っていたよ!私の印…消えてしまったね… フィー、くれぐれも気をつけて、頑張って。応援してる」
「はいっ!精一杯頑張ります。見てて下さい。」
「ああっ、私はいつでもフィーしか目に はいらないから…」
カーッと顔が熱くなる…
クラウス様…
「あっ、そうだ!ライアンもこの大会に出ている。ライアンは何を企んでるか分からないから気をつけて…」
「はい… ?」
どうゆう意味なんだろう?ライアン様はクラウス様の友人ではないのかしら?
「では、フィー出番だよ。」
「はいっ!行ってきます。」
会場へ。
私はまず、持ってきた材料を列べる。
風魔法を使って、調理器具を浮かせ、食材を混ぜていく。途中、チョコレートを火魔法で溶かしたり、材料を水魔法で冷やしたりと作業を進める…
最後に火魔法で、焼けば完成!!
ガトーショコラの出来上がり~ なんとか失敗せずにできたみたい。
「「危ない!!」」
バァン!!
シルフ?
「だいじょうぶ~?」
何が起きたの!?
ウィーネが私の周りに結界を張り、シルフは私を守って近くにいる。ネスとティンクは…
私の作ったガトーショコラを食べてる…
こら~クラウス様に食べてもらおうと思ってたのに!
ってそんな場合じゃない!
こんな目立つ所で、みんなが出てきたら…
周りを見回すと回覧席はすごい騒ぎになっていた…
「おい!今、どこから出てきた?」
「あれって精霊じゃ…」
「精霊様が見れるなんて!!」
「誰が精霊魔法師なんだ??」
「すごいぞ!精霊だ」
どうしよう…
完全にバレちゃってる…
「フィーこっちにくるんだ!!」
「クラウス様!!」
クラウス様を見て、安堵の涙が出る…
「フィー、このまま城へ行こう。学校には言ってある。急ごう!」
「はいっ…」
迎えの馬車に乗ろうとした時、チラッとライアン様が目には入る… ニヤッと薄気味悪い笑顔で私を見ている… こわい… クラウス様にしがみつく…
クラウス様は「大丈夫!私が守る」そういって、頭を優しく撫でてくれた… 私はそのまま、意識を手放した…
気付くとクラウス様の私室に寝かされていた。
クラウス様の匂いに包まれて、安心する…
回りには精霊たちが一緒に寝ている…
何が起きたんだろう…
一瞬の事で全然分からなかった…
コンコンッ
「フィー、はいるよ。起きてたんだねっ!良かった。大丈夫かい?」
「はいっ。クラウス様のお陰で…すみません…ご迷惑をおかけして…」
「迷惑なんてかけてないよ。今日はゆっくりここで休むといい。ここで…ね!」
「一体なにが起きたのでしょう…」
「今、調査中なんだが、フィーの演技が終わってすぐ、フィーに向かって火魔法を放った2年の男子生徒はどうやら洗脳魔法にかかっていたようだ… 本人は全く覚えていない…」
「そうですか… なんのために…」
「おそらく、フィーが精霊魔法師だと勘づいている者の仕業だと思う…フィーに精霊魔法を使わせるために… まあ、大体は誰の仕業か予想はつくな」
帰り際に見た、ライアン様のあの顔がちらつく…
まさか、ライアン様?
私はこれからどうなるんだろう…




