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「私は、もう君を愛せない」
唇が魅力的らしいシーラは、子供の様に声を上げてリカルドに暫くの間縋り付いた。
「シーラ、分かって欲しい」
「うぅぅ……」
フランチェスカは2人のやり取りを見て苦笑する。愛せないって唇を、でしょう。本当呆れる。
それにしても長いわね……見ているこちらもいい加減疲れてくる。かれこれ2刻程同じやり取りをしている。フランチェスカは空になったお茶のおかわりを侍女に淹れて貰う。もうこれで7杯目だ。やる事もないのでついお茶に手が伸びてしまう。お腹が重い。
「わ、分かりました……うぅっ」
ようやく折れたシーラへとフランチェスカは、簡潔に今後の説明をした。話が終わり彼女は部屋を後にする際、分厚い唇の端を持ち上げ満面の笑みで去っていった……。
まあ、あの涙は演技だと分かっていたが……露骨過ぎる。
フランチェスカが横目でリカルドを見遣ると、唖然として固まっていた。
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足が魅力的らしい、ロゼ。
「すまない」
「分かりました!気にしないで下さい!リカルド様!」
喋り方が兎に角煩い。ついでに声も大きい。しかも……ドレスからかなり大胆に足が出てる。淑女にあるまじき恰好だ。
成る程これがリカルドお気に入りの足……まあ、確かに……。
ロゼは、話し合うまでもなく驚く程すんなりと受け入れた。彼女は大きく手を振って、部屋から退室していった。
「リカルド様!さようなら~‼︎」
嵐が去った。
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ボイン……目を見張る程大きい胸。この日は、胸が魅力的らしいイザベラを招いた。
「そうなんですねぇ、寂しいですわぁ。リカルド様ぁ」
兎に角、無駄に色気が漂っていた。甘ったるい声を出し身体をくねらせている……きっと男ならいちころなのだろう……知らないけど。
フランチェスカはイザベラに嫁ぎ先を提案したが、彼女は断った。
「大丈夫ですぅ。私、面倒見てくれる人ならいっぱいいるのでぇ。リカルド様ぁ、じぁあねぇ」
リカルドはやはり唖然とし固まっていた。知らないって、幸せよね……。
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面談を始めてまだ4日目。
「後、9人もいるのね……」
途中で放り出すのは性に合わないので最後までは責任を持つが……既に精神的にかなり疲労している。
だが、思った以上に上手く事は進んでいる。それにリカルドは面談の時間以外は、確りと仕事もこなしていた。
この調子なら……自分がお役御免になる日も近いかも知れない。フランチェスカは、懸命に机に向かう彼を見遣り苦笑した。
始めから決まっていた事だ。
にゃあ~。
「あら、アレキサンドロス」
フランチェスカは足元に擦り寄ってきたアレキサンドロスを抱き上げると、頭を撫でた。
「本当はあなたも連れて行きたいんだけど……」
きっと、リカルドが寂しがる。
アレキサンドロスが屋敷に来たばかりの時は、喧嘩ばかりしていた1人と1匹だが……今は意外と良好な関係を築けていた。
まあ、未だに噛まれてはいるが……喧嘩する程仲が良いともいうしね。
「アレキサンドロス、あなたはリカルド様のお側にいてあげてね」
にゃあ。
フランチェスカは、もう1度アレキサンドロスの頭を撫でてやった。




