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フランチェスカは、満足そうに笑った。


よしよし、今日もちゃんとやってるわね。最近はまた、全然仕事をしなくなっていたのでどうしたものかと思っていたが……これなら取り敢えず暫くは大丈夫だろう。





『私と別れたくないのでしたら、簡単な話です。殿下がレアンドル様よりも魅力的になれば即解決ですよ』


ひと月前。リカルドにそう告げると単純な彼は「そうか!なるほど」と納得をした。だが、そんな簡単にはいかなった……瞬間やる気を見せた彼だが、やはりリカルドには引け目があるようで「ダメだ、私に兄上を超える事など出来ないっ」そう言いながら直ぐに泣きついてきた。


まあ、確かにこの状態なら一生かかってもレアンドルを超える事など出来ないだろう。それにしても、諦めが早すぎる……もう少し考えるくらいはして欲しい所だ。


『殿下、諦めないで下さい!殿下は私が居なくなってもいいんですか⁉︎殿下の私への想いはそんなものだったんですか⁉︎』


涙は出なかったので、顔を手で覆い泣き真似をしてみた。



『フランチェスカっ……わ、分かった。覚悟を決める。私は兄上を超える存在になる!王にすらなりゆる、いや神すら超える存在に』


その後もごちゃごちゃ訳の分からない戯言を言っていたが、フランチェスカは聞き流した。


王になるなど冗談でも言わないで欲しい。リカルド自身が素質があるかは置いておいて、彼は一応王継承順位3位なのだ。もしも、こんなしょうもない戯言を誰かに聞かれて、レアンドルの耳にでも入ったら……背筋が寒くなる。冗談だと笑って済まないだろう。間違いなく、首をちょんされそうだ……。


フランチェスカはため息を吐く。どこまでもいっても軽率で莫迦でクズ犬だ。


しかも神すら超えるって何を目指しているのやら……そこまで求めてないわ‼︎と内心突っ込みをいれる。


そもそも、レアンドルを引き合いに出したが彼を超えることが出来るなど期待していない。現実問題か・な・り厳しいだろう……いや、無理。

ただフランチェスカが希望している事は、常識的な範囲に収まる夫になって欲しい、それだけだ。


神になれ、なんて誰も言っていない……。


もし、このクズ犬ごときが神になれるなら、世の中そこら中神だらけで大変な事になるだろう。それに一体何の神になるつもりだか……クズの神?そんな神、いらないわ‼︎





「フランチェスカ」


フランチェスカは名前を呼ばれ、我に返る。気付けば目前にはリカルドがいた。


(いち)段落がついた。その、一緒にお茶でもしないか」




初めてかも知れない。リカルドが普通に見える。フランチェスカは、優雅にお茶を啜る彼を見遣る。暫くこうして話しているが、会話も至って普通だ。どうしたのだろう。何か良くないものでも食べたのだろうか……。


「君のいう通りにする」


フランチェスカは、予々考えていた愛妾の件をリカルドに話してみた。世間体を考えて、13人は多過ぎるので数人に減らす様にと。リカルドは絶対に駄々を捏ねると思っていたが……意外にもすんなり受け入れたので拍子抜けする。


「だが、彼女達が納得してくれるかは分からないが……」


まあ、そうでしょうね、金づるがいなくなるのだから……思わず鼻を鳴らした。

愛妾達がそう簡単に身を引くとは考えられない。だがまた、あの時みたいに屋敷に乗り込まれるなどごめんだ。対策は必要不可欠となる。


それにしても……リカルドの返しが、普通だ。普通過ぎる……逆に心配になる。やはり、何か拾って食べたのかも知れない。


後で注意しておかないと……拾い食いはダメですよと。


フランチェスカは、リカルドを見遣る。本心は分からないが、真剣に悩んでいる様に見えた。


「殿下」

 

実は、フランチェスカには考えがあった。


「大丈夫ですよ。既に準備は出来ています」


そう言って、満面の笑みを浮かべた。





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