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「フランチェスカ‼︎」


リカルドは、これでもかと言うほどに扉を力強く開け放つ。まるで何かの主人公の様だ。彼の大袈裟な登場に、フランチェスカはげんなりした表情になる。


「殿下、如何なさったんですか」



「如何なさったじゃない‼︎何故いなくなった⁉︎」


怒りながら涙目でこちらを見るリカルドに、呆れた。いなくなったという程の距離でも時間でもないだろうに、と。


「申し訳ございませんでした。大切な用が出来まして……ただ、殿下はお休みになられていましたので起こすのはお可哀想かと」


後ろにはレアンドルがいる。リカルドを無下に扱うのはまずい為、丁寧に心にもない謝罪を述べる。


我慢だ。王太子の前で弟王子をぞんざいに扱えばどうなるか。下手したら、首をちょんされかねない。


「フランチェスカ‼︎」


何か来るわ……こちらに向かって走って来るのは、クズ犬以外の何もなでもない。見えない見えない……見たくない。


むぎゅ~。


予想通り力いっぱいリカルドに抱き締められた。ついでに、顔に頬をすりすりと押し付けてくる。鬱陶しい!


「フランチェスカ、フランチェスカ……」


そして、ちょっと鳥肌が。


「フランチェスカ、今後私の許可なくいなくなるのは許さない!これは、お、お、夫としての、命令だ‼︎今回は不問に処すが、罰として……抱っこさせてくれ」


色々突っ込みたい所だが、最後の部分が意外にも命令ではなくお願いだったのでフランチェスカは笑ってしまった。少しだけ可愛く見える。



「殿下、重くはないですか」


「この重みは、愛の重さだ……構わない」



ちょっと、何言ってるか分からないから、放置しましょう。フランチェスカはリカルドの上に座り、後ろから抱き締められていた。


「フランチェスカ、お腹が空いた。あ~んしてくれ」


「はい、はい、殿下」


フランチェスカはため息を吐くと、適当にテーブルの上にあるお菓子をリカルドの口へと運ぶ。


「殿下、あ~んして下さい」


パクリ。


リカルドは満足そうに食べた。


「フランチェスカ、なでなでしてくれ」


「はい、はい、殿下」


なでなで。


「フランチェスカ、フランチェスカ、フランチェスカ」


このクズ犬が。ちょっと甘い顔をすると調子に乗る。甘えた声でしきりに、フランチェスカを呼んでくる。


「フランチェスカ、もう一度なでなでを」


その瞬間だった。



「あははは‼︎」


部屋に笑い声が響き渡った。フランチェスカは、鼻を鳴らし、リカルドは呆然としていた。


「あ~ん?なでなで?あははは‼︎リカルド、君かなり重症だね、あははは、可笑しい」


「あ、あ、兄上⁉︎な、何故……」


「話せば長くなるんだけど、暫くここに滞在しようと思ってね」


「滞在ですか⁉︎」


リカルドは、驚き硬直した。そしてそんなリカルドを尻目に、レアンドルは暫く笑い続けた。






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