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平和だわ。
フランチェスカは、優雅にお茶を飲んでる。あれからリカルドは大人しく仕事をするようになった。嫌いだった野菜も文句を言わずに食べている。それに、食べさせろとは言わなくなった。
少しは成長したわね……まだまだ、だけど。
さて、次は愛妾の整理ね。貴族や王族なのだから、愛妾の1人や2人いても構わないが……余り多いのも、体裁が良くない。13人は……どう考えても多過ぎる。故にリカルドには2人、まけて3人程に絞って貰う。
彼は、最近愛妾宅に通わなくなったので文句はつけないだろう。
「逆は然りかも知れないけどね」
愛妾達が、実際リカルドにどの程度好意があるかは知らないが、彼女達へかなりの金銭的援助をしているのは想像に容易い。
そうなると、リカルド本人に執着するというよりは、金銭的方面での執着の方が懸念されそうだ。
どの道、一筋縄ではいかない。実に面倒だ……だが、今やるしかない。
またいつリカルドの気分が変わり、愛妾達へ執着を発揮するとも限らないからだ。
リカルドの関心が薄れている今が、絶好の機会だ。
「先ずは、本人と話をする必要があるわよね」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「話とは何だ」
仕事を終えたリカルドと、その日の夜フランチェスカは話し合いもとい二者面談をする事にした。
いつになく深刻な空気に、リカルドは怪訝そうな表情でフランチェスカを見ている。
「まさか」
何か、ピンと来たのかリカルドは大袈裟に驚いていた。そして声を上げる。
「私は絶対に、拒否する!」
まだ何も言っていないのに、もしかしてバレている⁉︎
超絶鈍そうなのに、意外と鋭いのかも知れない。少し侮っていたかも……動物的本能とでもいえばいいのか。いくらクズ犬でも、嗅覚だけは鋭かった……。
フランチェスカは、最近のリカルドの様子からとんとん拍子にいけると思っていたが……やはりそう簡単にはいきそうもない。これは、説得するのに骨が折れそうだ。
フランチェスカは、駄々をこねるリカルドを想像しげんなりする。だが、ここで引くわけにはいかない。
「殿下……殿下のお気持ちは分かりたくはないですし、分かる事も一生ありませんし、分かろうとも思いませんが、今は取り敢えず、私の話を聞いて下さい」
やんわりと、諭すように話すが、リカルドは顔を顰めた。
「嫌だ!私は絶対に話など聞かない!」
あー……これ、絶対面倒な流れだわ……笑顔が引き攣る。
リカルドはそう叫ぶと自身の両耳を手で塞いだ。そして、フランチェスカが話しかけようとすると「あー‼︎わー‼︎」などと意味不明な声をあげて妨害してくる。
聞きたくないのだけは凄~く分かったが……酷すぎる。
昼間、少しは成長したと思ったのを訂正しよう。5歳児以下から、成長してませんでした!このクズ犬が!
フランチェスカは、大きなため息吐く。
リカルドどうしましょう。
交渉決裂どころの話ではない。会話らしい会話ができない。取り敢えず、今日の所はこれ以上話をする事を断念した。
「分かりました……また後日お話し致しましょう」
その言葉に、リカルドは不満そうな顔をしていたがフランチェスカは無視した。
「フランチェスカ」
今度は赤ちゃん返りとは……クズ過ぎる。
それからというものリカルドは、フランチェスカにべったりくっつき離れない。そしてまた「食べさせて欲しい」と言ってくるようになってしまった……一難去ってまた一難だ。
「殿下、歩き辛いので……纏わりつかないで下さい」
フランチェスカが移動すると、カルガモの親子の如くついてくる……鬱陶し過ぎる‼︎
今度、王妃様に屋敷訪問でもお願いしようかしら……まあ、冗談ではあるがそう思わざるを得ない。




