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ゴンっ、と鈍い音がする。


「ゔっ……」


それと同じにリカルドが、悶絶する声が聞こえた。彼はそのまましゃがみ込み、頭を押さえている。


「あら、殿下?如何なさいましたか」


フランチェスカは、にっこりと笑った。が、少し頭が痛い。たんこぶまでは出来ていないだろうが、かなり勢いよくリカルドの頭に頭突きを食らわしたので暫くは痛みが取れないだろう。まあ、それは彼も同じだろうが……。


未だ目の前で悶絶しているリカルドに、フランチェスカは鼻を鳴らす。


油断も隙もあったもんじゃないわ。


急所じゃないだけ感謝して欲しいくらいだ。一瞬蹴り上げてやろうかと思ったが……相手は王子で一応旦那でもある。しかも、不能らしいから……かわいそうになって、頭突きに変更してあげた。結果フランチェスカも痛い思いをする羽目になったのだが。


なんて優しいのかしら、私。


「何を、するんだっ……」


それはこっちの台詞ですが……。


「殿下こそ、悪ふざけが過ぎますよ。今は、読書の時間です。殿下が、決めかねるのでしたら私が決めます」



あくまで冷静に、話すフランチェスカ。そして適当な本を掴むと、長椅子に腰掛けた。


「さあ、殿下。読書しますよ」







「そして、ワンちゃんと愉快な仲間達は国を魔王の魔の手から救いました。おしまい」


リカルドは、フランチェスカに膝枕をして貰っている。


「殿下、ちゃんとお話聞いてましたか」


「あぁ、聞いてる、聞いてる」


これは絶対に聞いていない。あの後リカルドに本を読ませようとしたが、駄々を捏ねて中々読まない。本を手渡しても手渡しても、横にポイする……クズ過ぎる。


フランチェスカの苛々が募っていく中、彼から言われた言葉に、更に苛々が……。


「フランチェスカが、読むなら聞いてやってもいい」


それは、読書ではありません。読み聞かせだ。一般的に幼子にはよくするが、大人に対してするなど聞いた事がない。


だが仕方がない。こうなれば、千里の道も一歩から精神だ。先ずは、本に興味を持たせなければならない。


「承知致しました」


内心ため息をつき諦めたフランチェスカは、幼児向けの本を開いた。そこまでは、まだ良かった。だが次の瞬間、太腿に重みがかかった。ドカッと……。 


「……あの、殿下」


「なんだ、読むなら早くしろ」


「……」


これは、まさかの膝枕⁉︎せめて、許可を取って頂いてからで、宜しいでしょうか⁉︎


しかも顔をスリスリとして、太腿を堪能し始める始末……この、クズが……あら、オホホ。


また、頭突きを食らわせようかしら。


と思いながら耐えつつ、本を読み出したのであった。



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