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俺の日常が突然終わった件  作者: カプチーノ
1章 始まり
5/9

5話 望まぬ邂逅

よろしくおねがいします!

チリリリリリリリ!


目覚ましの音で俺は目を覚まし、時計を見る。

あ、設定時間ミスった。いつもは7時に起きるのだが今日は6時にかけてしまっていたようだ。


「2度寝もいいけど寝過ごしたら嫌だしもう起きるか」


という訳でいつもより早く学校へ行く準備をする。

時間が無いのでいつもは朝食を適当にしているが、今日は時間があるのでしっかりと作り、ゆっくりとテレビを見ながら朝食を食べる。


ちなみに見ているのは地方局のニュース番組である。ゆーて朝はニュース番組しかないからな。

ニュースではまだあのイノシシが捕獲されていないということで気をつけてくださいということをことを言っていた。


「まだ捕獲されてないのか。危ないなぁ」


このような時、人間は自分だけは大丈夫だという謎の自信が湧いてくるものだ。俺も人間なので俺は大丈夫だと思ってしまう。まぁ仕方ないわな。


朝食を食べ終えた俺は洗い物をし、鞄の用意をして家を出る。

今は7時15分である。ちなみに隆志はこの時間いない。あいつは走れば5分ほどで学校にたどり着くので、だいたい8時頃に俺の家の前を通る。


「俺も陸上部入ったら遅刻しなくなるかなー」


そんな馬鹿なことを呟いていると... ...


「光に陸上部とか似合わないぜ?」


後ろから声がする。いつも聞いている声だ。俺はありえないと思いつつ、ある男の顔を思い浮かべる。


「お前が走ったところで遅刻は防げないぞ。遅刻だけに」


いや、なに言ってんの?"〜だけに"って付けときゃ上手いこと言えたと思ってんのか?バカなのか?

ていうか... ...


「なんでこの時間に隆志がいるんだよ!」


「いや、なんで驚いてんだよ!俺だってたまには早起きするんだぜ?」


「お前が早起きするとか空からタイヤが降ってくるのか?地球が割れるのか?超生物にでも遭うのか?」


俺はそう本気で思ってしまうほどに驚いていた。だって、隆志だぞ?天変地異しか起こらねぇだろ。


「おい、俺をまじでなんだと思ってんだよ」


「んー、ただのしょーもないジョークにもならないようなジョークもどきを言う寝坊やろうかな?」


「酷すぎないか!?いや、まぁ寝坊やろうは間違ってないか」


「いや、全部間違ってないからな?お前のジョークもどきはまったくもって意味がわからねぇぞ。1回クラスのみんなにアンケート取ってみろ!」


「んなわけないだろ。まぁやって来てやるよ!俺の超絶ジョークに皆首ったけだぜ!おい光、放課後首を洗って待ってろ!」


隆志はそう言って学校に向かってとても綺麗なフォームで走り去っていった。まぁ、頑張れ。放課後に打ちひしがれてる姿を見て笑ってやるよ。


にしても朝からハイテンションすぎて疲れた。今日は1日静かに過ごすか... ...。まぁ騒ごうと思っても騒ぐような相手はクラスには居ないけどな!わざわざ優等生の俺に話しかけるのはみんなからしたらハードルが高いようだ。

え?俺から話しかければいいって?え、そんなの無理に決まってんじゃん。


「... ...はぁ。なんか自分で思ってて悲しくなってきたな」


悲しいので特になにかを考えないように意識して学校へ向かった。






キーンコーンカーンコーン


... ...今日も今日とて暇であった。

いや、てかさクラスメイトもただの馬鹿しかいないんだよな!

正直会話が噛み合わないんだよ。だってあれだぞ、消しゴム投げあってワイワイしてるようなヤツらだぞ?そんな小学生脳とまともな会話ができるわけが無い。

だから友達がクラスにいないのは俺が悪いんじゃない。... ...たぶん。世界が悪いんだ。たぶん。


「さて、帰るか」


隆志にアンケートの結果を聞きたいから、隆志と一緒に帰ることにした。

隆志のクラスを覗くと隆志がクラスメイトとふざけていた。... ...消しゴムを投げあって... ...。


「お前も小学生レベルか!!!!」


思わず俺は叫んでいた... ...。







帰り道、俺は羞恥で悶えていた。だって、だって!まさか隆志がそんなことしてるとは思ってなかったので思わず口からでてしまった。


「恥ずかしい... ...死にたい... ...」


「いや、お前バカだろ。なんでいきなり叫んだんだよ」


「お前が小学生レベルなバカなことをしてるからだろ...」


「この場合どっちがバカなんだよ」


うう... ...。

このことはしばらく忘れられないだろう。頑張って意識しないようにするか... ...。

っと、そういえば隆志に聞こうと思ってたんだった。


「そーいや隆志、アンケートしたのか?」


俺がそう聞くと隆志の顔が強ばる。


「... ...あ、あぁ... ...何、言ってるかわかんないって... ...」


あー、やっぱりな。俺もわかんないもん。にしてもこいつ落ち込みすぎだろ。そんなショックか?


「1番傷ついたのは、"そもそもジョーク言ってたんだ。全然気づかなかったよ!"ってクラスの女子に言われたことだった... ...」


「... ...ぶっ」


や、やばい... ...!笑ってはいけない雰囲気だが、ジョークって認識されてすらなかったって!かわいそすぎるだろ!


「お、おまえー!笑うなよ!人が真剣に落ち込んでんだぞ!」


「ま、まぁ落ち着けって。... ...ぷぷぷ」


「うるせぇ!黙れ童顔叫びやろう!!」


「はああああー!?お前ー!身体的特徴を揶揄するようなことは言っちゃいけないだろ!この、ジョークもどき!」


そしてしばらくの間俺たちはお互いに傷つけ合っていたが... ...


「な、なぁ隆志」


「なんだ光」


「もう、傷しか生まない醜い争いはやめないか?」


「そうだな。童顔気にしてるのに童顔とか言って悪かった、光」


「こっちこそジョークを理解することができなくてごめんな、隆志」


こうして俺たちはお互いに握手をして仲直りしたのであった。

そう、俺たちの絆は更に深まったのであった。


「... ...ちょい光、なんか謝るところ違うくね?そこは俺のこと罵ったこと謝るもんなんじゃないか?」


... ...隆志が何か言ってるが無視である。

隆志、気にしてはいけないこともあるんだぜ。






俺たちは無駄話をしながら、この曲がり角を曲がれば俺の家にたどり着くという所までやってきた。

そして、角を曲がろうとした瞬間──


「「... ...!!」」


なぜからないが背筋がゾワリとした。

俺と隆志はお互いを見る。


「な、なぁ光、この先なんかヤバそうな感じがするのは俺だけか... ...?」


そんなわけが無い。ここに立って何も感じない生物などいないわけが無い。何も感じないなんてそんなの生物であることをやめているレベルだ。

しかしこの感覚と似たようなものを前にも味わったことがある。

そう、あの時の怪物の時とおなじような"なにか"を感じる。


「とにかく、ここを離れよう」


俺は隆志にそう言う。

隆志はただうなづいただけだった。多分恐怖で声が出ないのだろう。


俺たちは音を立てないように慎重に、それでありながら素早くその場から立ち去ろうとする。

しかし、最近の俺はついていないのだろう。俺が確認のために後ろを振り向くとそこには... ...イノシシがいた。


"ブモオオオオオオオォォォォォ!!!"


イノシシが雄叫びを上げる。


「隆志!走れ!」


俺は焦りながら隆志にそう言う。

普通のイノシシならここまで焦らなかっただろう。なぜならこいつは... ...イノシシのようでイノシシではなかった。


よくテレビなどで見かけるイノシシは人の腰ほどの大きさもない。しかし、このイノシシはだいたい4mほどの高さがあった。

そしてこいつは身体中から黒いもやを出している。

恐らくこいつは──シャドウだ。


「お、おい光!なんなんだよあいつ!」


「俺もあんまり知らねぇ!!とにかく今は逃げろ!」


俺たちはとにかく逃げた。しかしイノシシは追ってくる。ふつうなら追いつかれるだろうがカーブを上手く利用することでイノシシの速度を落としながら走っている。


「とにかく障害物の多い森に逃げるんだ!」


とりあえず森へと逃げれば見失ってくれるし、一般人にも危害は及ばないだろう。






森へ入ったときにはすでに日が沈んでおり、森の中はとても暗かった。俺たちはとりあえず姿を隠せる場所を探した。


すると、たまたま廃屋のような所を見つける。勝手に入るのはいけないことだが、今は緊急事態だ。許してくれるだろう。というか許してくれ。緊急事態だ。


「めっちゃホコリだらけだな」


隆志が文句を言う。いや、不法侵入しといて何言ってんだ。


「仕方ないだろ」


「まぁそうだな。ていうか光、あれはなんだったんだ?」


... ...俺は、こいつにあのことを伝えていいのだろうか?


俺は俯いてしまう。


だってこいつは... ...すぐに人をからかうやつなんだ!こんなやつに教えたら俺が厨二病だのなんだの言われるに決まってる!


とかいうおふざけはやめておいて、こいつはただの一般人だ。魔力をもつ俺とは違い普通に過ごしていける人間。

そんな隆志を俺に巻き込んでいいのだろうか。ここで伝えたら隆志にまで危険が及ぶかもしれない。俺はそう思ってしまう。


正直こいつは良い奴だ。1年の時孤立してた俺に声を掛けてくれたし、俺が知らないところで俺の友達を増やそうと俺のいい所を自分の友達に話していたそうだ。

それにこいつは訳のわからないことを言うが知り合いが多く、たくさんの人に信頼されている。そしてその信頼に応えようとする。

だからこいつは、隆志は俺が伝えたら一生懸命俺のことを助けようとしてくれるだろう。


だから俺は隆志にはなにも伝えない。俺は隆志に普通の人生を歩んで欲しい。俺というどうでもいいような存在のせいでこいつの人生を狂わせる訳にはいかない。


俺は覚悟を決めて顔を上げる。


「俺は... ...」


「お前は普段は気を使わないくせに、こういうときだけは気を使うよな。俺はまったく迷惑だとかは思わないし、むしろ頼ってくれない方が俺は悲しい。だから、俺に何があったのか教えてくれ。俺は、お前の力になりたいんだ」


隆志のこの言葉をきいて俺は目頭が熱くなるのを感じた。涙を隆志に見られたくないので俺は下を向く。

俺は... ...本当にいい友達を持っていたんだな。


「お、おい光?泣くなって」


「べ、別に泣いてないし!」


俺は涙を拭って隆志の方を見る。覚悟は決まった。こんなに良い友達に隠し事なんてするべきじゃない。


「隆志、聞いてくれ。一昨日のことなんだけれど--」


俺は一昨日の出来事を全て話した。シャドウのこと、フルワールドとエンプティワールドのことや魔法のこと、ルミナのことなど1からすべてのことを隆志に話した。


「... ...お前、厨二病か?」


「ふざけんな!俺の葛藤を返せ!」


「冗談だって。にしても信じられないようなことだけど本当なんだよな?」


「ああ」


「そっか。でもよ、どうやってあんな化け物倒すんだ?ルミナって子の戦ってるとこをお前は見てないんだろ?見てたんならちょっとは参考になってたかもな... ...」


たしかにそうだ。あのとき気を失った自分を呪いたい。ほんっと肝心な時に俺は役に立たないよなぁ。

俺はどのようにすればあいつを倒せるのかを考える。1番確実な手はルミナに頼むことだ。しかしルミナは今どこにいるのかわからない。それに助けてくれるかどうかもわからない。


次に思い浮かんだのは麻乃さん。しかし麻乃さんが魔法を使えるのかどうかも分からない。それに女の子を危ない目に合わせる訳にも行かない。


俺は一生懸命考える。

... ...ルミナ?

ルミナという言葉が頭に引っかかる。


「... ...!!」


俺は立ち上がる。


「うおっ!びっくりした!どうしたんだ?」


俺は隆志のほうを見て言う。ここはキメ顔で言うしかない。


「隆志、一つだけあいつを倒せるかもしれない方法を見つけた」
















もし感想などをいただければ作者の励みになるのでもし良ければよろしくお願いします!

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