1話 崩壊は突然に
初投稿です。一応お試しで投稿するので合計で9話ほど投稿します。
第2話は明日の12時頃に投稿するのでよければ見てください。
俺の名前は桐間 光。如月高校に通う高校2年生だ。
なにか特別な事があるわけでもなく、毎日を淡々と過ごす。今どきの高校生って感じ。
生きているのが退屈な訳では無い。楽しいこともある。けれど、なにか物足りない毎日を過ごしている。
チリリリリリ!
目覚ましの音がなる。
今日もごくごく平凡な一日が始まる。時刻は7時45分。
45分か。あと15分寝よっかな。
... ...え? 7時45分!?
「ご飯食べてる時間ねぇじゃねーか!」
誰だよ今日も平凡な一日とか言ったやつ!
朝から地獄じゃねーか! ぶん殴ってやる!
って俺じゃねーか!
自分で自分を殴ってる時間と殴る勇気が無いのでさっさと制服に着替え、顔を軽く洗い急いで家を出る。
8時か。8時10分には校門を通ってなければいけない。走れば間に合う時間ではある。
鍵を閉めて走って学校へ向かおうとすると、そこに俺の高1からの友達の木嶋 隆志がいた。
「よっ!光。朝から元気だな」
何事もないように俺に話しかけてきた。誰のせいでこんなに急いでると思ってんだ。
「いやー、それにしても俺の昨日のダジャレ最強じゃね? 『ないぞうがないぞうなんていわせないぞう』って、やべ、思い出したら笑いがっ...」
そう俺が寝坊をした原因、それがこいつだ。昨日の夜中に電話をかけて、俺にしょうもないダジャレを聞かせてきた。
こんなしょーもないダジャレをだぞ?誰得だよ。しかもそれが夜中の2時だ。
その後もしょーもない会話をしてたら3時になっていた。
「お前のしょーもないダジャレのせいで俺は遅刻しかけてんだよ」
「おいおい、人のせいはよくないぞう? ... ...ププッ」
... ...うぜぇ。そしてつまんねぇ。
てかこんな無駄話してる場合じゃない!
「おい!急がないと遅刻するぞ!」
「あ、やっべ」
全力で走ればもしかしたら間に合うかもしれない。
そして俺はクラウチングスタートのポーズをとる。
さぁ見せてやろう、隆志。俺の全力疾走を... ...!!
そして──俺は遅刻した。
一応走るのは全力で走った。けれど間に合わなかった。
なぜかというと、俺がクラウチングスタートの構えをして走り出そうとした時に、足がもつれてコケてしまったのだ。
ちなみに陸上部に所属してる隆志は俺をおいて超スピードで走っていき、余裕で登校できたようだ。
後ろからすごい足音をたてながら俺を追い抜いていった。砂埃もなんか舞っておりマンガのような走りであった... ...。
てかこいつコケてる俺を見捨てるとか、俺たちの1年以上の絆はそんなもんだったのか... ...。
俺は校門に立つ先生にめちゃめちゃ怒られたあと下駄箱のある所へと向かう。
下駄箱を開けるとそこには俺の上履きがいつも通り入っている。
そしてその上にはなにやら白くて薄いものがあった。
え、なんか入ってるんですけど。
よくよく見るとそれは白い封筒みたいなのものだった。
差出人の名前は書いてない。
封筒というか手紙をいれるためのやつには開かないようにシールが付いていた。
それは──赤色のハートのシール... ...。
... ...え、え、ラブレター??
そんな驚きと淡い期待を抱きつつ俺はその封筒を開ける。
"君、私の弟子にならない?"
... ...は? え、なにこれ、いみわからんぞ??
手紙越しで弟子にならないかって? どゆこと?
もしかして、新手の告白!? って、んなわけないか。
はぁ、朝からまじで意味わかんねぇわ。
そんな意味のわからない手紙を適当にポケットに入れて俺はいつもの教室へ向かう。
と言ってもその教室にお世話になったのは1ヶ月にも満たない。ま、これからたくさんお世話になるのだろう。
消しカスを地面に捨てたり、チョークを落としたり、たまに、ごくごくたまに弁当を落としたり。
うん、教室さんも汚されて大変なんだな。
ガラガラガラガラ
教室の扉を開けて入る。教室ではガヤガヤとした話し声がうるさい。
馬鹿なヤツらは消しゴム投げあってる。子供かおまえらは。小学生レベルか。
俺は窓側の自分の席にまっすぐ向かう。誰とも話さずに。
いや、別に友達がいない訳じゃない。ただ俺が遅刻したのをからかわれなくないだけだ。
ほんとだよ?友達がいない訳では無い!
そして俺はカバンを置いて、椅子に座りほっと一息。
とりあえず先生が来るまですることが無いのでスマホでもいじる。
いつものようにスマホのロックを解除する。
あ、隆志からSHINE来てる。
SHINEとは今流行りの無料メッセージアプリだ。昨日もこれを使って隆志と通話をしてた。
えっとー、隆志からは... ...
"どうだ? 間に合ったか?"
間に合うわけないだろばーか。薄情なやつには既読無視で十分だ。俺からの返信を延々とまっとけ!
そんな感じでスマホをいじっていると、前の扉が音を立てて開く。その瞬間さっきまでガヤガヤとしていた教室は直ぐに静かになり、飛び交っていたいた消しゴムも飛び交わなくなる。
担任の先生がきたのだ。
相変わらず今日も眠そうな先生だ。ちなみに名前は根黒先生である。なんか腹黒そうな名前だよな。特徴は寝癖が着いてる。毎日。同じ形に。もっとしっかりしたら多分かっこいいのに。
将来こんな大人にはなりたくないなぁ。いや、顔面だけはくれ。
そんなことを思っていると先生は出欠をとってから話を始めた。
「実は最近、イノシシのような動物がいるらしい。とても凶暴らしいから見つけても近寄らずに逃げるように」
イノシシ、か。ここらへんではあんま見ないけどな。
今日1人休んでるんだけど、そのイノシシに襲われたとかか?んなわけないか。
てかそんな眠そうな声で言われてもなんか緊張感がないな。もっと真剣な雰囲気出せよ。誰も先生の言うこと聞いてないぞ?俺の斜め右前のやつなんかスマホいじってるし。
とまぁそんなこんなでホームルームが終わり授業がスタートする。
1時間目から根黒先生の授業か。声が眠そうだから、つい寝ちゃうんだよな。
ふぁ〜
あくび出てしまった。
先生の声ってだれの声でもなぜか眠たくなる。あれって魔法みたいだよな。まじすごい。
しかしまぁ、とてつもなく眠い。
瞼が重くなってくる。うん、人間は本能には抗えないんだな。おやすみ。
俺は机に突っ伏した。
キーンコーンカーンコーン
終業の合図で目を覚ます。
あ、もう終わったの?はえぇー。ちなみにドラマとかアニメでよくある気づいたら昼休み、とかあんなの普通ないからなぁー。
あれは普通に睡眠障害レベルだと思う。
さて、次の授業は、っと。体育か。
だるいな。確か周回走だっけ?
まぁ適当にサボるか。
そんなことをかんがえていると、後ろから走る音が聞こえてきた。俺に向かって真っ直ぐ走ってきている。俺に用があるのだろう。
なんとなく誰だか分かるが振り返らない。
真っ直ぐに更衣室へ向かう。
そう、人間振り返ってはいけない時もある。
「おい、光。お前既読無視とかひどいぞ?俺のこと虫みたいに扱うなよー。... ...ぶっ!」
俺の肩を叩きながらこう言ってきた。
てかダジャレしょーもね。「無視」と「虫」とかおもんなすぎる。てか文章の意味が分かりません。こいつの言語能力ゲシュタルト崩壊かよ。
返事をしないのも可哀想なので、早足で更衣室へ向かいながら適当に返事をする。
「あー、はいはい。悪かった。でもさ、お前が俺を裏切ったのよりかはましだとおもうぞ?
てかなんで置いてった」
「え?いや、お前がクラウチングスタートの構えしてたから、つい反射的に本気モードに...」
と、木嶋容疑者は悪びれもせずに申しております。てかクラウチングスタートで本気モードってどんな職業びょ... ...いや、部活病だよ。聞いたことねぇわ。
そんなこんなをしているうちに更衣室に着いた。更衣室に入り着替える。
俺は上着、カッターシャツ、下着のシャツを脱ぐ。
基本俺は上から着替えていく派である。
なんとなくチラッと隆志の方に視線をやるとキレイなシックスパックが... ...。
対して俺は柔らかいお腹... ...。
いや、別に太ってる訳では無い。ただ単に筋肉がないだけだ。
まぁ仕方ないわな。帰宅部とかだったらだいたいそんなもんだ。たぶん。
...にしてもこいつ無駄に体型いいからな。身長175cmとか喧嘩うってるだろ。オマケにそこそこのイケメンときた。外見だけ見れば普通にモテるんだらろうがな。
あのつまんないダジャレがなければ... ...。
ちなみに俺は162cmで男子のなかでは小柄な方だ。しかも顔は近所のおばさんから可愛がられる系のやつときた。
あー、俺もイケメンに生まれたかったなぁ。こんな童顔じゃなくて... ...。
まぁそんなこと嘆いたところでどうにもならないし、さっさと着替えるか。
クシャッ
あれ? なんかある?
って、朝の手紙か。あ、もしかして... ...
「なぁ、隆志。」
「なんだ?」
「今朝俺の下駄箱に手紙入ってたんだけど、お前入れた?」
なんか最近隆志に振り回されてる気がするからな。こいつがなにかしら関わってるんじゃないかと思ってしまう。
あと隆志なら普通に女子になりすましてこういうことやりそう。うん、普段の行いが悪いんだね。
「手紙? そんなもん入れる時間なんかないって」
あ、違ったか。じゃあ誰なんだろ。
まぁいっか。
特に気にせず俺は手紙を制服のポケットにもどす。
「てか手紙とかラブレター? え? え? ラブレター?? ついに光もリア充デビューか! ヒューヒュー!
光、お前リア充になって光るのか!?」
隆志うざ。意味わかんねぇ。こいつに聞くんじゃなかった。
あと人の名前でダジャレすんなよ。
こんな頭のおめでたいやつなんか放っておいて早くグラウンド行こ。
そして俺は日常が狂い始めるグラウンドへと向かっていった。
周回走...それは
走る。走る、走る。ただただ走る。
今日の体育は周回走だった。
1周400メートル程のトラックをひたすら走り続ける。ノルマは15周である。
うん。つらい!
てかなんで周回走とかやるんだよ。俺は今、絶賛地球温暖化に貢献中だよ!完全に酸素の無駄遣いアンド二酸化炭素の生成中である。
ちなみに隆志は俺をもう3回抜いている。あいつの体力どうなってんだ。ただの脳筋か!
そんな無駄なことかんがえてても頭に無駄に酸素がいって、ただただ苦しくなるだけだな。
無心だぁ〜、無心になぁ〜れぇ〜。
うん。無心も悪くないな。
そのまま10分程走り続けていると...
... ...あれ? なんかみんな止まってる。ん?終わり? いやいや、そんなわけないだろ。
まだあと10分程あるはずだ。
でもみんな、まったく動かない... ...。
あ、隆志がいた。
「おーい、隆志ー、どうしたんだ?」
「... ...」
... ...返事がない。ただの屍のようだ。
な訳あるか! とまぁおふざけはこれくらいにしといて。
それにしてもみんなどうしたんだ?
俺は辺りを見回す。
俺にはみんなの時間が止まったかのようにだれも動かない。隆志も含めてみんなが止まってる。
明らかに異様だ。
時間が止まっている訳では無い。隆志は呼吸をしてる。
でも、魂が抜けたかのような状態になっている。光を失った目がただ真っ直ぐを見つめている。
周りの皆も同じような感じだ。
一体、なにごとだ... ...?
そう思ったとき後ろから、バキバキバキッという大きな音がした。
驚いて振り返る。
振り返ると... ...景色がは(・)が(・)れ(・)て(・)いた。
剥がれた向こうは真っ黒だ。
ちょ、どゆこと?
俺は動揺する。周囲を見回すがだれも動かない。
「いったいどうなってんだよ... ...」
俺がその言葉を発した瞬間、景色が剥がれた真っ黒な所から手が出てきた。
真っ黒な毛むくじゃらの手。どっからどう見ても人間の手ではない。
明らかにこの世界のものでは無い。
『それ』は景色を剥がしながら少しずつ出てくる。
怖い。汗がダラダラと流れる。動けない。声が出ない。動け、俺の足。早く逃げるんだ!
思考とは裏腹に足は根が生えたように動かない。
ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。
そんなことをかんがえている間に『それ』は少しずつ体を出し、そして... ...全部出てきた。
それは真っ黒な猿のような怪物だった。しかし猿なんて可愛いものでは無い。
もっともっと醜く毛むくじゃらで、デカい。
少なくとも2m半はある。
二足歩行をしており、酷い匂いがする。
怖い。怖い、怖いコワイコワイコワイコワイコワイコワイコワイ。
誰か助けて... ...。
すると、その怪物は歩いていき近くにいた女子に近づいていく。
「逃げろ!」
そう言いたかった。でも声がでなかった。
その怪物は女子の近くに行くと、その女子を...殴った。
ただ普通に殴った。
それだけで女の子は吹き飛ばされ、体育倉庫の壁に激しく体をぶつけた。
そして女子は地面に倒れ、血だまりが出来てくる。
そしてようやく俺は動けた。いや、ちがう。腰が抜けて立っていられなくなった。
地面に尻もちを着いただけだ。ここから全く動けない。
次に怪物は男子に目をつけた。近づき、腕を振りかぶる。
怪物の指の先が光るのが見えた。
爪だ。10センチ以上ある爪だ。その爪で男子の左肩から右腰にかけて切り裂く。
血と肉が飛び散る。
男子は力を失って倒れる。
「う、うそだろ... ...」
ようやく声が出た。しかし依然動けない。恐怖で足が震えて力が入らない。
そして不幸な事に、その怪物は俺の声に反応し、こちらを向いた。
今まで顔は見えなかったが、その顔はとても醜く、怖かった。
その怪物が俺の方を見て、俺の方に手をかざした。
するとそのかざした手に魔法陣のようなものが現れる。てか魔法陣だ。
てことはあれから魔法が... ...??
いやいや、そんなわけなくない? だってここアニメとかラノベの世界じゃなくて現実だぞ?
怪物が叫ぶ。すると魔法陣が回転し始めた。そして、聞いたことの無い言葉を発した。
《ダークショット》
聞いたことのない言葉のはずなのに、なぜだか意味は理解出来た。
そして、その言葉が発せられると同時に魔法陣から真っ黒の闇がものすごい速度で飛んでくる。
あぁ、俺ここで死ぬんだな... ...。
人間は無理だとわかっていても自己防衛本能が働く。
それは俺も例外ではなくその闇を受け止めようと手を前に出してしまう。
闇が近づいてくる。
俺は思わず目を閉じてしまう。
ダンッ!
... ...闇が当たったのだろうか? 痛みはない。
しかし体から少しずつ力が抜けていく。
よかった... ...。痛みを感じることなく死ねるんだ... ...。
... ...あれ? おかしい。いくら何でもおかしい。なぜか生きているような気がする。
俺は少し目を開けてみる。
すると...俺の前になにか壁のようなものがあり、それが闇を防いでいた。
... ...え?これ、俺がだしたの... ...?
これがあれば生き残れる... ...!?
しかし時間が経つにつれて、力が抜けていく。多分この壁を維持するのになにか力が必要なんだろう。
それが切れるまで恐らく5秒もない。
どうする? どうするんだ! 考えろ俺!
5... ...4... ...3... ...2... ...
「君、よく耐えてくれたね。安心していいよ。私が来たからもう大丈夫さ」
きれいな女性の声だった。透き通るような声。その言葉を聞いたとたん、僕は意識を失った。
作者のメンタルはお豆腐なので優しい感想をよろしくおねがいします<(_ _)>