第9話
「・・あ・・・」
ドサッとその場で気を失い倒れるあまね。
しばらくそのまま気を失っていたが、すぐに目を開け起き上がる。
しかし、その顔は無表情で、目には光がない。
そのまま歩いて神社の外へと向かう。
その頃龍宮は何か不穏な空気を察知し、あまねのいる方向へと向かう。
神社の裏、人通りのない小道。ここを越えると神社の結界は消える。
あまねがそれを1歩越えると、待っていたかのように黒いものがどこともなく現れ、あまねを取り囲んでいく・・・
その時だった。
あまねと黒いものの間に風が起こりあまねは結界のほうへ押しやられ倒れる。
あまねはその拍子にはっと我に返る。
見上げると龍宮の後姿。その向こうに黒く渦を巻いたもの。
「た・・・龍宮先生・・・」
「結界から出るなって言っただろう!ちびすけ」
そういうと懐から何かを出すと振り返らずにあまねに何かを投げてよこす。
「わわっっ!!」
あまねは落としそうになりながら受け取る。それは手のひらに乗るくらいの透明な玉・・・宝珠だった。
「落としたり離したりするなよ!」
黒い塊は龍宮めがけて体当たりをしてくる。それと同時にあまねの方へと触手を伸ばすが、宝珠が光り触手を退ける。
『その娘を渡せ!』
触手がいろんな方向から龍宮に襲ってくる。
風を起こしそれを退ける龍宮。
不安そうに見守るあまね。
何度かそんな攻防戦が続いたとき・・・
龍宮は片腕を絡み取られ動きを封じられる。
次の瞬間心臓を狙い鋭く尖ったものが龍宮に振り下ろされるが、すんでの所で交わし肩に傷を負う。
「うっ」
かなり深くどくどくと血が流れて止まらない。痛みで動けずにいる龍宮。傷から大量の血が流れるのを見て、あまねは後ろで凍りつく。
次の瞬間、攻撃が龍宮の心臓めがけ飛んでくる。
「龍宮先生!!」
あまねは叫び、龍宮を守るように覆いかぶさり、重なる。
宝珠が光り、黒い触手はあまねに触れることも出来ず、衝撃を与える。
その拍子に宝珠が落ちる。
「はっ・・・」
小さく息を吐き瞳を見開き、凍りつくあまね。
あまねの背中から胸へと鋭く尖った黒いものが貫いてくる。
宝珠があまねの手を離れたことで、守ることが出来なくなり、黒い触手があまねを貫いたのだ。
「ち・・・びすけ・・・?」
なぜ目の前にあまねがいるのか、何が起こったのか、理解できない龍宮。
あまねの肩を持ち、ゆっくりと自分から引き離し、あまねの顔を覗き込もうとするそのとき・・・
『おお・・・・人の娘よ・・・自ら飛び込んでくるとは・・・』
そういうと背中に刺さった部分から黒いものが急速にあまねの中へと吸い込まれるように入ってゆく。
急速に薄れる意識の中であまねは龍宮が無事なのを確認し、微笑むとあまねの意識は黒いものに飲まれてしまう。
「ちびすけ!」
龍宮の胸へ倒れ掛かるあまね。
それを抱きかかえ支える龍宮。
次の瞬間、あまねは目を見開き、龍宮の首をつかむと、ぎりぎりと絞め身体を持ち上げる。
人ではありえないほどの力だ。
龍宮は、ぎりぎりと締め付ける手のひらを振りほどくこともできずにいた。
あまねには手を出せない。
龍宮の肩からは血が流れ落ち、地面には血だまりが出来かけている。




