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第7話

2人が出てゆき、部屋を完全に出て行ったのを音で確認すると、龍宮はあまねの方を向く。

すたすたとあまねの目の前まで来て、がしっと左腕を掴み、あまねの着物の袖を捲し上げる。

そこには黒い紋様が浮き出ている。


「これはどうした!!」


さっきとは違う荒々しい声。

あまねはびっくりし、縮まりながら龍宮の顔を見る。


「これはどうしたのだと聞いている!!」


黒い紋様からあまねの顔へと視線を移す。

なぜ龍宮先生がこんなことを聞いてくるのか?この黒い模様が何だというのか?わけのわからないままあまねは困っていた。

この間、立ち入り禁止の龍神の湖に行ったときに、黒い霧のようなものに飲まれそうになり、ついたものだとはいえないからだ。


「さ・・・最近気がついたら・・・ついていて・・・たぶんただの打ち身です・・・」


言葉を選び、つまりながら答える。


「湖に行った時か!?」


あまねは驚いた。なぜ湖に行っていることを龍宮が知っているのか?


「そうなのか!?」


龍宮の鬼気迫った問いにあまねは答えるしかなかった。


「は・・・はい・・・」


龍宮は怒りの表情を浮かべる。


「バカちび!何でそれを早く言わない!!」


あまねは面食らっていた。品のよい優しい口調とまったく違った言い方。

しかもあの龍神と同じ呼び方をする。


「これではあやつらが狙ってくるのも当たり前ではないか!というか、ここにいるから迎えにきてくれと言ってるようなものだ!」


龍宮は、眉間にしわを寄せながら はぁぁ〜〜〜っ と大きなため息をつく。



「ま・・・まさか・・・も・・・・もしかして・・・・龍神様??」


あまねは恐る恐る聞いてみた。あまねを「バカちび」とよび、黒いものに狙われているのを知っているのは龍神しかいない。


「いいか、しばらく神社から外へは出るな。ここは結界が張ってあってあやつらはそうそうたやすくは入ってこれぬ。この間はこの穢れがお前を操って結界の外へ出したのだろう・・・」


あまねの言葉は聞いていないようだ。



「・・・こんなになるまでどうしてほおっておいたのだ。・・・なぜ湖に来なかった。早めにわかれば何とかなったものを・・・」


力なく問いかける龍宮。


「・・・・どういうこと・・・ですか?」


「いや・・・とにかくしばらく神社の結界のなかから出るな。・・・いいな!」


そういうとさっさと稽古場を出てゆく。

ぽつんと一人取り残されたあまね。何か狐につままれたような顔をしている。


「言いたいことだけ言って。。。何がなんだかわからないんですけど?・・・しばらくって・・・いつまでがしばらく?・・・この模様が・・・なんなの?」


事態がうまく飲み込めない。龍宮の一方的な態度に少し腹は立つが龍神様ということでは怒りもぶつけられない。


「あ〜〜もう!私が何したって言うのよ!で、なんであんなに口が悪いの〜☆龍神様ってもっと優しいのかと思ってたのに〜☆」



龍神の湖の前大きな大木の横に立つ龍宮。



拳を横に振り樹に打ち付ける。

怒りの表情。


「そばにいながら見逃すとは・・・不覚!印(穢れ)を付けられ、それがすでに根付いてしまっているとは・・・」


そう言葉に出し拳を震わせる。


≪次に本体に出会えばなんなく取り込まれてしまうだろう。結界の中にいることでどれだけそれを伸ばすことができる・・・?・・・・・・・あれだけ濃く黒いものが体の中に巣くってしまったら取り除くことももう無理だ。・・・・救う手立てが・・・・もうないなど・・・≫



怒りはあまねではなく龍神自身に向けられたものだった。


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