表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/27

第26話

あまねは気を失ってそのまま湖の底まで落ちていく。龍宮はそのあまねを追って下にもぐろうとするが、あまねのからだが突然光りだし、その光りに押し出されるように湖の湖面へと引き戻される。

水の上へ顔を出すとあまねの名を叫び再びもぐろうとするが何かに湖面へと引き戻され湖の外へとはじき出される。龍宮はもとの姿へ戻り湖の中へ戻ろうとするが湖面が光り、弾き飛ばされる。


「天音!!」


何度か湖の中へ入ろうとするがまったく受け付けない。

すると後ろからあまねを取り戻しに黒龍がきて攻撃を仕掛けてくる。

空は瞬く間に黒く厚い雲に覆われ、嵐が来る気配。龍たちの戦いが始まった。

大粒の雨が横殴りに降り、雷が鳴り、稲光があたりに何本も落ちては樹が割れ、大地が削れる。



湖の底


あまねは湖の底を漂っていた。ゆっくりと意識を取り戻し、辺りを見回すが、光に包まれどこが身体でどこが水なのかの境目もわからない。

夢を見ているのか現実なのかも曖昧。しかし、身体の痛みで現実であることを知る。


ふと目の前のほうに大きなさらに強い光りの輪が浮かび上がる。

それはあまねが湖に入るといつも見上げていた湖の湖面・・・それが鏡のように光ながら降りてくる。

湖の底のほうからもいつもの大地からの光があがってくる。

不思議なことに息は苦しくない。

光の鏡にあまねの姿が映る。傷だらけで血だらけ、それに重なるようにして人の姿が重なり、入れ替わっていく。湖で見た龍宮が愛しそうに見ていたあの少女だ。

優しく微笑む少女。よく見るとどことなく雰囲気があまねに似ている。あまねの傷はいつの間にか癒え、血も水に洗われる。

大地からの癒しのエネルギーのおかげだ。まるで胎内で母に抱かれているような安心感。

大地から・・・地球からの愛を感じる。


「思い出して・・・私はあなた・・・あなたは私・・・」


少女がそういうと、鏡のようなものに写っていた人型の光りは、そこから出てあまねに重なる。


目の前に何かが見えてくる。この少女の記憶だ・・・

湖のそばに龍宮が立っている。少しだけ若く見える。その笑顔は自分に向けられている。

ふたりは仲むつまじく愛し合っていて、龍神が向けてくるのは少年のような笑顔。

少女はふもとの村に住んでいたが、龍神の湖に通う少女を村人は快く思っていなく、ある時、飢饉や災害や日照りが続いたときに、龍神を操る女だと言ううわさがたち、少女が村へ降りたときに少女は村人に捕まり、いけにえとして生きたまま手足を縛られ、顔には布をかぶせられ胸を刺され湖に投げ込まれた。

沈んでいく湖の中・・・死の間際、少女は龍神のことだけを心配していた。

血のにおいに龍神は湖を見ると湖の底にしずむ少女を見つけた。少女を抱きかかえ、名前を呼び、もう再び目を開けることがないことがわかると怒り狂い、暴れまわった。


すべてが流れ込んでくる。龍宮へのいとしい感情も愛して愛されていた日々のことも・・・

龍宮の怒りや悲しみも。


そしてその少女だけではない昔から続く龍との輪廻の物語りも・・・

何度も繰り返す悲しい結末。引き合い惹かれあうがゆえの周りからの抵抗に、運命の流れに屈してきた。


あまねはゆっくりと顔を上げる。


「聖・・・」


すべての光りがあまねの中へと収束していく。

そして湖の底、包み込む水の中から感じるのは・・・この地球の鼓動。大地からの旋律。


「これ・・・・は・・・」


まるで螺旋が2つ左右逆に回転しているような大きな・・・そして繊細な旋律。

あまねは微笑むとその旋律を自分のすべてで感じる・・・

何度も何度も転生してこの星にい続けたのは、初めてこの星を見たときにこの旋律を感じたから。それは美しく、その一部になりたいと、お互いと分かち合いたいと思ったのだ。

あまねは全身でそれを感じ胸のなかから湧き上がってくるものを感じ、微笑むと湖面へと、全体へと広げていく。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ