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第22話

それからあまねは落ち込み、食欲がなくなり、日に日にやせ細っていった。


みさとやみなもが心配してあまねが好きなものを差し入れるが、一向に食べようとしない。

少し食べるとはいてしまうのだ。だんだんと生気まで失われていく。


紫藤がやってきてあまねを一目見るなり


「どうしたんですか?何かあったのですか?」


そうたずねる。たった数日の間にこれほどまでやせてしまうのは尋常ではない。

あまねは力なく笑顔を向けると、紫藤に話があると仕事後にあう約束をした。


「すみません・・・お呼び立てをして」


ここはいつも紫藤と会う場所・・・月見草の草原だ。


「わたし・・・もう紫藤さんとはお会いできません。好きな人がいます・・・その人は私のことなんとも思ってないんですけど・・・私が馬鹿だから怒らせちゃって・・・いなくなってしまった・・・2度と帰ってこないかもしれないけれど・・・」


龍宮のことを思うだけで涙が出る。

ぐっと我慢をするが、とめどなくあふれる涙を袖でぬぐう。


「待ちたいんです・・・」


力ない声・・・

紫藤はそんなあまねを見かねて、あまねの頭を自分に引き寄せ、頭をぽんぽんとなでる。

紫藤に寄りかかってびっくりしたあまねが離れようとすると


「私のことを気にすることはありません。あまねさんの気持ちが一番大切ですから」


そういいながらやさしく微笑む。


「ごめんなさい・・・」



「でもこれはいけません。ちゃんとご飯を食べて元気を出さなければ・・・」


やせ細った肩に両手を乗せる。


「これではあなたが倒れて待つところではなくなってしまいます。あなたが元気になるまでは見守らせてくださいますか?」


紫藤があまねの瞳を覗き込む。


「でも・・・なんだか悪いです・・・」


じっと見つめられて気恥ずかしくて目をそらす。


「気にしないでください。あまねさんのために私がしたいことなんですから」


紫藤は本当に優しくあまねを女性として接してくれる。

いつもけんか腰になってしまう龍宮とは正反対だ。

紫藤を好きになっていたらこんなに苦しむことはなかっただろうか?とふと考えがよぎる。


それから毎日のように紫藤は、あまねが好きそうで、少しでも食べられそうなものを持ってきてくれて、一口でも食べるまで見守っては帰って行った。

そして気を紛らせるようにいろんな明るい話をしてくれて、時には笛も吹いてくれた。

初めはかたくなだったあまねだが紫藤の優しさにすこしづつ答えるように元気を取り戻していった。


「あまねちゃん・・・また彼・・・紫藤さんが来てるわよ。ここは私に任せてちょっと行っておいでよ」


みなもがあまねを気遣い少しの休憩をさせる。

龍宮がいなくなってからのあまねの落ち込みようを見ているので、あまねをこれだけ回復させたのが紫藤の優しさと愛だということをわかっているのだ。


紫藤の顔を見てふっと柔らかな笑顔を浮かべるあまね。

紫藤と二人連れ立って休憩に入ったあまねを見ながらため息をつくみなも。


「似合いの二人だわ〜」


みさとは少し離れた場所から3人のやり取りを見ていた。

少し険しい表情で見つめている。


「あまね・・・」


すこしづつ元気になるのはいいことなのだが、どこか何かおかしいとみさとの感覚がいっていた。

紫藤という男も何か気に食わないのだ。


「何もなきゃいいけど・・・」


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