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秋葉原ヲタク白書37 女王蜂が翔んだ日

作者: ヘンリィ

主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。

相棒はメイドカフェの美しきメイド長。


この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第37話です。


今回は、ブーム化する"秋葉原はちみつケーキ"を支える都市養蜂が蜂群崩壊症候群に見舞われます。


原因を調査するとコンビの前に、アグリバイオメジャー、和製メジャー、学会のコスプレ好きな主催者が現れて…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 はちみつケーキ症候群(シンドローム)


AKH(エーケーハー)"が流行ってる。


"アキバはちみつケーキ"のコトだ。

御屋敷(メイドカフェ)毎に工夫が凝らされ百花繚乱w


要は、蜂蜜タップリのスポンジケーキなんだけどクリームを挟んだりレモン味にしたり。

レンジや炊飯器?で作れるとあって各御屋敷のキッチンメイドが工夫を凝らし腕を競う。


"ニューヨークチーズケーキ"のアキバ版を狙うと萌え系関係者の鼻息は荒い。

最近、アキバのカレーが美味しくなったと思ってたら、今度はデザートの番だ。


「で、ウチが元祖だからっ!"HONEY HONEY HONEY(ん?HONEYが1つ多くないか?笑)"から"AKH"は始まったのょ!ソコのトコロ、よろしく!」

「そんなの、どーでもイイじゃない?コレだけ流行って、食べる御主人様も作るメイドも盛り上がってれば、ソレが何よりでしょ」

「その通り!でもね、とにかく始めたのはウチ"HONEY HONEY HONEY(やっぱりHONEYが1つ多いな笑)"だから!」


大騒ぎしてるのは、今は私服だけどベテランメイドの、その名もハニィさんだw

あ、ココは僕の推し(てるメイド)ミユリさんがメイド長を務める老舗の御屋敷(メイドバー)


アキバと逝う時空を織り成す量子ビットのもつれに(なぞら)え"量子(クォンタム)もつれ(エンタングルメント)バー"とも呼ばれてる。


「とにかくね!ウチは本格的なワケょ。何たって自家製の蜂蜜を使ってルンだから。御屋敷が入ってるビルの屋上でヨーホーしてるのょ!」

「ホーヨー?」

「だめっ!触らないで!抱擁じゃなくて、養蜂なのっ。ミユリ!ホントに本気でテリィたんをTO(トップヲタク)にしたの?後悔してない?TOのお取替えをお考えの貴女!今なら、お安く下取り致します」


勝手に下取りするなw


ハニィさんは、アキバが萌え始めた頃からのベテランで夢を叶えて自分の御屋敷を持つ。

最初は妻恋坂の方で"HONEY"と逝う御屋敷だったが店舗を増やす毎に名前が長くなる笑


で、3号店で中央通りへの進出(4Fだけど)を果たし、今やちょっとした起業家メイド。

小柄なボディの何処にそんなパワーが?と思うが彼女が"蜜蜂グループ"の女王蜂。


「私には、この位の御主人様がちょうどいいのょ。ハニィは、相変わらずTOは作らない主義なの?」

「要らないわ、TOなんて。今は"AKH"が忙しいし。あ、そうだ!ミユリも食べに来てょ!明日とかどう?ねぇ、タマにはウチにも御帰宅してょ。私が御給仕しちゃうぞ」

「ええっ?まさか特別にスク(ール)水(着)デーをやってくれるとか?」


ハニィさんは僕を指差しミユリさんを睨む。

ミユリさんは声は出さズにお腹を抱えてるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌日、早速ミユリさんと"HONEY×3"に御帰宅してみる。

メイド服のハニィさんと(ミユリさんがw)他愛ないお喋り。


はちみつケーキと紅茶のセットをいただく。

やわらかシットリで何処か杏仁豆腐みたひ。


アールグレイにもよく合う。

なるほど、コレは流行るな。


スナッカー(ケーキ担当メイド)のナズナにレシピを聞くついでに記念撮影をリクエスト…

しようと思った矢先に、ハニィさんがエラい勢いで飛び込んで来てナズナを突き飛ばす!


あ、あれ?さっき2号店へ逝くって…


「タ、タイヘン!蜂が、私の蜂が!」

「どうしたの、社長(or ハニィさん)?!」

「死、死んでる!」


狭くて急な階段をハニィさんのパンツを見上げながら駆け上がる。

屋上には空調の室外機やら何やらが雑然と並び足の踏み場もナイ。


キュービクル(ビル用の受電設備)の隣に大きな木製の箱が、御正月の重箱のように積み上がっていて、どうやらソレが巣箱のようだ。


その重箱の周囲に、恐らく蜂の死骸?と思われる無数の黒い点々が輪になっている。

巣箱の蜂が全滅した?蜂蜜担当wのナズナが駆け寄って巣箱を覗き込もうとした時…


「危ない!近寄らないで!伝染病かも…」


ハニィさんが鋭く注意するが…そのソバから当のハニィさんがフラフラと倒れかける!

手を差し伸べたミユリさんの腕の中に倒れ込んでホントに失神w巣箱全滅のショック?


しかし…


メイドがメイドを介抱だと?コレは萌えるw

ミユリさんの胸は僕の指定席ではあるけど←


第2章 女王蜂の疑惑


惨事?に気づいた御屋敷(ハニーハニーハニー)の誰かが救急車を呼んでくれたらしく、屋上に救急隊員が現れ、失神しているハニィさんを搬出してくれる。


神田消防(アキバファイア)の連中は、実は御屋敷(ミユリさんのバー)の常連なのでモノは相談で蜜蜂の死骸も搬出してくれと頼んでみたトコロやはり無理とのコトw


とんだ騒ぎに巻き込まれたが、とりあえずミユリさんとマチガイダサンドウィッチズへ急ぐ。

ココのチリドッグは素晴らしくウマくて、今日はミユリさんと"アキバ式同伴"の日なんだ。


"ホットドッグ同伴"がアキバ流だ。

何たってココは銀座じゃないからね。


「何だか怪しいのょね。失神して可哀想とは思うけど、ハニィがヤタラとキョドっててウルトラ不自然だったと思えるのです」

「そーかな?"眠れる森のメイド"って感じで、僕なんか萌え萌えだったんだけどな」←

「ねぇ、テリィ様。ハニィの巣箱全滅ですけど、最近スズキくん(知合いのスマホTVのプロデューサー)のニュースショーではダニが原因の蜂群崩壊(巣箱の全滅)がアキバで多発してるとか報道してましたが、真相を少し探ってみませんか?多分、元気になったらハニィ自身からもリクエストされるとは思うのですが」


ええっ?そうかなぁ?

女王蜂のリクエスト?


そりゃ聞かなくちゃ。

働きバチとしてはさ。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その後、ミユリさんと同伴出勤して、彼女がメイド服に着替えるのを待ってから1オーダー入れて話をしてソソクサとお出掛けしてマックへ。


別に、ハンバーガーを食べたいワケじゃない。

マックB1でお仕事中の女子に用があるンだ。


「スピア、実はお願いがあるンだけど」

「あら?テリィたん?珍しい。ソレに木曜日じゃない?ちゃんとミユリ姉様との同伴は済ませたの?ソレとも"恋する木曜日"マジックで姉様を放り出して、元カノ会長である私のトコロに、ついフラフラと来ちゃったワケ?」

「…監視カメラとか絶対ナイ雑居ビルの屋上なんだけど、画像、何とかならないかな」


会話自体は成立せズ、スピアは長い長いため息をつくも、まぁ最後は話に乗ってくれる。

雑居ビルの場所を聞いて暫く考えてたけど2時間後にカラオケしたいな、とか逝い出すw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


2時間後。


僕は、カラオケの個室で遅い晩ご飯がわりにパン1斤のハニートーストを食べている。

表面をカリカリに焼いたパン1斤にマーガリンが薄く塗ってあり蜂蜜をかけて食べる。


この蜂蜜も何処かのメイドが作ってるのかな?


歌いもせズ、ひたすら食べてたら半分ぐらい平らげたトコロでガウン姿のスピアが登場。

恐らくガウンの下は得意の白スク水と容易に想像つくが色々と面倒臭いので黙っとこう←


「お待たせー。お出かけ用の水着に着替えてたら遅刻しちゃった!スクビキだけど見る?見たい?あれ?歌ってないの?」

「お腹空いちゃって。で、どうだった?あの屋上。何とかなった?」

「超簡単だった。向かいのタワーマンションの屋上にTV局と契約してる夜景画像用のカメラがあったからソレをハッキングした。テリィたんが御執心の屋上もギリギリで写ってる。でも、夜間でしかも芥子粒くらいにしか写ってないから、クローズアップかけて画像補正アプリを噛ませるのが割と力仕事だった。でも、その苦労は…報われルンでしょ?さぁ今宵は朝までコスプレでカラオケパーリナイ(party night)よっ!」


そう逝いながら、スピアは着ていたガウンをパラリと落とし…と逝う展開は今回はもう少し先で、彼女はバッグから何かを取り出す。


ソレはメモリチップを搭載したモジュールで慣れた手つきでカラオケのスロットと接続。

途端にジャニーズのダンスが映ってたカラオケの大画面がアキバの夜景へと切り替わるw


さらに乱暴なクローズアップがかかって、画像は一気にモザイク化してしまうが、中央固定になってる屋上画像だけがクリアに拡大される。


「タイマーがトンじゃったけど、コレ、昨夜の絵だから。23:42頃」

「あ、あれ?巣箱に誰か近付いてくね。誰だろう。ヤタラ派手な赤毛のウィッグは変装かな?Tシャツの背中に何か描いてある。読める?アレ」

「別のショットでクローズアップかけたら読めた。多分"HONEY 7"って描いてある」


"HONEY 7"!


な、何かウルトラ安っぽいんですけどw

陰謀?と逝うより昭和な女スパイ的な?


しかし、多分このTシャツは関係者が全員お揃いで着てるだろうから陰謀とか関係ナイのかな笑

極秘に潜入したスパイや(いにしえ)の秘密結社の線は消えるw あ、宇宙人の線は未だ残したいが←


「もしかして、新装開店のコスプレキャバレーか何か?ソレとも、昭和を狙ったムード歌謡グループの販促イベントとか?」

「ブブー。もうちょっちアカデミック。国際都市養蜂学会の年次大会らしいわ。今年は日本が幹事で、なーんと、電気街口にオープンした駅近ホテル"24"の新館で、明日から開催されるのでーす。"HONEY 7"は都市養蜂が盛んなサンフランシスコ、ニューヨーク、シアトル、ロサンゼルス、ロンドン、パリ、秋葉原の7都市を指してて、学会はこの7都市によるサミットという形を取って開催されルンだって。行ってみる?」

「ええっ?!しかし、何か錚々たる都市の後でいきなりステーキ、じゃなかったイキナリ秋葉原とかでいいのかな?人がやってるコトだから、まぁどーでもいーけど、ココはアキバじゃなくて東京が相応しいでしょ?ヲタク色も消せるし」


世界的に都市養蜂が流行ってるw


自然回帰を求める都市生活者が始めた趣味的な養蜂が、多様性保護の観点から法整備を進める国の思惑と合致し今や世界的に流行の兆しだ。


いみじくも"HONEY 7"などの先進国では、摩天楼はもとより、ちょっとしたビルの屋上に手軽に置ける巣箱が所狭しと並ぶ活況とのコト。


日本でも、銀座など各地の蜂蜜プロジェクトが話題で"はちみつケーキ症候群(シンドローム)"に沸くアキバでも、都市養蜂が興るのは時間の問題。


熱処理前の"生蜂蜜"の濃厚な風味は抜群で、既にロンドンでは、屋上に巣箱を置いて蜂蜜担当のシェフがいるレストランもあるとのコト。


あ、花粉の混ざった蜂蜜を毎日摂ると花粉症に耐性がつくと逝う"都市伝説"もある←

とりあえず"HONEY 7"とやらには参戦してみる価値がありそうだ、とか考えてたら…


パラリ!


僕の鼻先に立ち上がったスピアがガウンを床に落とす…あ、あれ?白スク水じゃないの?

先ず、白じゃなくて黄色、しかも虎縞だし水着もワンピではなくてビキニ?コ、コレは…


「じゃーん!スピアさんプロデュースのスク(ール)ビキ(二)秋物コレクションから、今宵はアニメ"うる性やつら"のラムちゃんだょーん!押掛け女房はビキニでした、と逝うヲタクが泣いて喜ぶ元祖王道パターン!さぁテリィたんも喜ぶが良いと思うっちゃ!」

「わ!わ!な、何だょ?何でラムちゃんだっちゃかな?意味わかんないけど…タ、タ、確かに良いとも思うっちゃ← あ!コラ!膝の上に乗るなっ!隣に座れっ隣にっ!」


その時、素晴らしいアイデアが浮かぶ←


第3章 メジャー vs メジャー


翌日、スピアと"HONEY 7"に参戦する。

会場は電気街口にオープンしたホテルだ。


ココはソモソモ建設工事が長く、しかも工事が進むにつれ東西通路のコースが変わりヤタラ不便だったけど、遂に竣工しホテルもオープン。


最上階の宴会場が国際会議場に早変わりしてて、当日エントリーで誰でも入れる。

しかも、今回はアキバ開催とのコトで"蜂のコスプレイヤーは大歓迎!"らしい。


と逝うワケで、スピアの出番だ。

彼女は、昨夜と同じラムちゃん…


つまり"虎縞柄ビキ二"なんだけどカチューシャを"鬼耳"から"触覚"に変えてある←

コレだけで"うる性やつら"のゼブラビキニのラムちゃんがミツバチコスプレに変身だ!

(僕の素晴らしいアイデアとはコレw)


「ワンダホー!スマホTVの"ワラッタ"ですが、過激なコスプレだなぁ!ところで、都市養蜂って何だかわかってる?"HONEY 7"ってどう思う?何も考えてナイ?」

「蜜蜂が花から花へと飛び回るコトでコロニー(群れ)は成長し、周辺の緑が増え、豊かな生態系はアキバの新たな彩りとなって私達ヲタクの心に芳醇な潤いをもたらすコトでしょう。"HONEY 7"の開催を心より歓迎致しますわ」

「ス、スゲェ。満点コメントだw」


最初は上から目線でスピアにマイクを突きつけたプロデューサーが驚いて仰け反る。

ザマミロ。自分も肌の露出に釣られてインタビューに来たくせにヲタクをなめるな←


セッションは第II部に入って、壇上は7都市の養蜂家によるパネルディスカッションだ。

既に満席、立ち見も出る盛況だけど、運良く後ろの方に着席してたら背中を(つつ)かれる。


「こんにちわ。"HONEY 7"主催者のメリサ博士です。先程は素晴らしいコメントをありがとう!私、みなさんのようなヲタクとお逢いしたかったの!」

「ええっ?主催の博士ですと?こんなトコロで油を売ってて(オイルセールスしてて)イイんですか?」

「アキバの生ヲタクと話したかったの!さぁ!ハグよっ!ハグしてっ!あぁ!素敵だわ」


学会冒頭で"基調講演"をやった人だ。


メリサ博士は、活発な赤毛の白人女性。

日本語は流暢だがヲタクの目をしてるw


親近感を覚えるが、何かがひっかかる。


「メリサ博士!"HONEY 7"の御盛会、おめでとうございます!都市養蜂の権威とお会い出来て光栄だな!今度、アキバで流行りの"AKH"でも食べに逝きましょう!"HONEY HONEY HONEY"にでも」

「OH!ソレは素晴らしい…え?"HONEY HONEY HONEY"?そ、その御屋敷は確か…シアン(化合物)で蜂が全滅したと聞いていますけど」

「おや?博士はヤタラお詳しいようですが、もしかして"HONEY HONEY HONEY"に御帰宅したコトがおありですか?」


メリサ博士の顔が見る見る青ざめて逝く。

クリスチャン女性に相応しい悪態を吐く。


"Oh, my goodness!"

「スマホTVのニュースでは、アキバ初の蜂群崩壊はミツバチヘギイタダニが原因と報道されています。貴方は何処でシアンが原因とお聞きになったのですか?」

"Oh, my god!"


神の名をみだりに口にしてはならないクリスチャンが神の名を叫ぶのは緊急事態の証。

怖い顔で僕を睨み、大股で関係者控室に消えるw あぁもっとハグしとけば良かったな。


その傍らで、思わぬやり取りにキョトンとしてたスピアだが、知らない内にスマホ片手の学会参加者に取り囲まれてポーズをとらされてるw


ややっ?すると、ソコへ虎縞柄ビキニのラムちゃんが更に2人飛び入りして来て何とスピアと3人で思い思いのポーズ&3人で合わせのポーズ…


だ、誰なんだ?!


しかし、もぉこうなるとパネルディスカッションどころの騒ぎではない。

パネル会場からは続々人が出て来て全員がスマホを片手にカメラ小僧化←


たちまち、3人のラムちゃんを取り囲む分厚いカメラ小僧の輪が出来て、シャッター音はワンワン会場に響いて、完全に収拾がつかなくなるw


当の僕すらメリサ博士を追わなきゃ!とは思うけど、茫然と立ち(すく)むばかり(撮影はしてませんw)。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


結局、僕達4人(ラムちゃん3人+僕w)は出禁(でいりきんし)となりコスプレのまま1Fのカフェへ避難←

よく見ると1人は背高ノッポ、1人は中肉中背でスピアと並ぶと"大中小"と綺麗に揃う。


しかし、ヤタラ目立つょ笑

カフェ客がガン見してる←


因みにスピアは"トランジスタグラマー"だがノッポはツルペタで3人に体積不変の法則w

以後、便宜上"大中小"と呼ぶが"大"はイタリア人でグレタ、"中"は中国人でシハン。


"大"が口火を切るw


「ラムちゃんの3人合わせ、とても楽しかった。秋葉原、ホント大好き。また3人でコスプレしましょう。ところで、貴方達が話してたメリサ博士はヤバい女なの。もともと彼女は、重度の日本カブレなんだけど、妄想型統合失調症を発症してる。しかも、専攻は仏教で農学の専門知識はない。養蜂は本を読んだ程度。実は、経歴詐称で(アメリカの)農務省を停職になってる。さらに、私達は彼女がドラッグをやってる事実も掴んでる」

「おおっ!怒涛の告げ口 thank you だょ。メリサ博士に恨みでもあるの?で、アンタ達は誰なんだ?」

「都市養蜂の健全な発展を願うヲタク。ところで、貴方達が話してたメリサ博士はヤバい女なの。もともと彼女は、重度のコスプレ願望の持主なのだけど、こんなコスプレまでしてる」


"大"の言葉に合わせ"中"が虎縞柄ビキニのブラの谷間から写真を1枚ペロリと出す。

僕と"小"は額をつけるようにして見るが"小"の胸が邪魔w彼女はトランジ…以下略←


迫力のバニーガールだ←

ソレもメリサ博士のねw


多分アラフォーだと思うが、堂々たるバニースタイルで女性らしい曲線美を強調してる。

背景が何処かで見たようなインテリアだが…あ、このホテル"24"の1室だょねきっとw


まぁ、人の趣味はソレゾレで文句を逝う筋合はナイが、クォリティとしては高い方だょ。

少なくとも、カフェでラムちゃんコスのまま揃って足組む君達に文句逝って欲しくナイ。


「私達は"HONEY 7"主催者の、このアラレもナイ姿をネットに晒すつもりだ」

「いいんじゃナイの?返って彼女の推し(ファン)が増えるだけだょ。ココはコスプレの聖地、アキバだぜ?そんなの脅迫になるかょ。ソレに彼女は"HONEY 7"を潰すアンタ達の大事な駒なんだろ?ココでカードを切れば、アキバの都市養蜂を全滅させると逝うアンタらの作戦もオジャンだぞ」

「げっ!な、なぜソレを…」


ビキニ美女の度肝を抜くのは愉快だょなぁ。

特に無防備に口をポカンと開けると萌える。


「どうやったのか知らないが、メイド長のハニィさんまで巻き込んで御苦労なコトだ。僕達は、左利きのメリサ博士が巣箱に何かを仕込んでる画像を持っている。そして、彼女自身が仕込んだのはシアンだと僕に(こく)った。そして"HONEY ×3"のキッチンには、シアン化物を取り出す時に砕いた琵琶のタネがあった。杏仁豆腐の風味づけに使ったとか言い訳するつもりだろうが、メイド長は蜂群崩壊の原因はシアンと知ってた。だから、キッチンメイドが巣箱を覗き込むのを止めたんだ。結局、自分自身は吸い込み不整脈を起こして救急車で運ばれちゃったけどな」

「な、何?メリサ博士が巣箱にシアンを仕込む画像があると言うの?あり得ないわ!カメラも何もない雑居ビルの屋上なのに。しかし、もしその画像があるのなら売ってくれないかしら?足のつかない金でいくらでも払うけど。因みに、私達は世界中のあらゆる通貨に対応が可能です」

「ふざけるな。魔が差したとは逝え、アキバでメイド長の背中を刺して良い目を見た奴はいないょ。メリサ博士は恐喝されてたし、ハニィさんは心身喪失で逃げ切れる。問題アリなのは得体の知れないアンタ達だ。何処の誰かは知らないが、コレ以上、アキバのヲタクに粉をかけると、万世警察(アキバポリス)から令状でも召喚状でも取って来て、洗いざらい話してもらうコトになるぞ」


啖呵を切ったらビキニ美女がグッと詰まる。

萌えるsituationだ!うーんMake my day!


"大"が呻くように言葉を発する。


「了解した。しかし、秋葉原のヲタクに一言だけ言っておきたいコトがある」

「何だ?」

「私達のコスプレは、コレでも女王蜂だ。ラムちゃんではナイ」


え?そぉなの?

ソレは、失礼!


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


アンニュイなビキニ女王蜂2匹を残し1番グラマーな女王蜂と再度"HONEY 7"に戻る。

金属探知機の前でセキュリティに止められるが粘って運営を呼び出し博士を出せと談判。


結局、空振りだったが、体調を崩してホテルの部屋で休んでいる、との情報を引き出す。

ホテルのフロントに急ぐと丁度ランボー(者)推しの"24"本館の支配人がいて話が早い。


あ、ランボー(者)は、政府公認の高級娼館のマダムで界隈のデリヘルも仕切る辣腕美女。

彼女に貸しがある僕に、支配人は慇懃無礼ながらマスターキー片手について来てくれる。


「しっ!静かに!何か聞こえませんか?」

「えっ?全く何も聞こえないけど」

「いや!確かに聞こえます。室内から助けを求めてる声がする(に違いない)!」


メリサ博士の部屋の前で、支配人は勝手に独り芝居を打ってマスターキーでドアを開く。

ココで「警察だ!」とか逝えればカッコ良いのだが、単なるヲタクだから何も逝えない笑


と思ったら、ホントに助けを求める声w

ベッドに大の字に縛られてるのは…男?


「助けてくれ!あ、あれ?何なんだ君達は?おおっ!女王蜂がもう1匹、現れたぁ!コ、コレは…コスプレでスワッピングだなっ!素晴らしい!サスガは秋葉原だなっ!」

「きゃあ!誰?どうなってるの…あ、テリィたん?トランジスタグラマーちゃんも?あ、一緒にプレイ、してくれる…の?」

「御客様、無理ヤリ縛られてますか?それともお互い合意の上ですか?」


解説しよう。


先ず最初は、ダブルベッドに大の字に縛られてる初老の男で、きっと背広とか着れば大企業の役員なんだろうが残念ながらパンツ1丁w


お次はメリサ博士で、噂?のバニーガールのコスプレだがリアルで見ると大人の魅力炸裂で息を呑む妖艶さナンだが僕達に何かを期待?


最後は支配人で、彼も蝶タイでコスプレと逝えばコスプレだが、ハッキリ逝って彼だけがマトモ、事件性の有無を確認しホッとしている。


ココで訳知り顔の支配人は去り、部屋にはラムちゃんとパンツ1丁とバニーガールと僕。

この中では、僕が1番マトモな格好に見えるのでw とりあえず、僕から話の口火を切る。


「メリサ博士。バニーガール、スゴい似合ってますょ!ホレボレするなぁ」

「ホント?ウレしい!大胆過ぎないかしら?」

「オバサン!テリィたんに色目を使うなら元カノ会長の私を通して!」


あぁ、話が進まないwやり直し。


「メリサ博士、貴女のバニーガール姿をネットに晒して"HONEY 7"の失敗を企てる連中がいる。そいつらはアキバの都市養蜂を全滅させようとして、既に一部の巣箱にシアン化物を仕掛けた。ソレには、残念なコトに貴女も絡んでいる。あの連中は一体何者なのですか?」

「ええっ?私達の秘密の営みがネットに?!どうしたらいいの?ねぇ、どぉしましょう?!」

「私から、お答えした方が良さそうだ」


重々しく切り出すパンツ1丁ょ、何か履け。


「秋葉原のヲタクのみなさん、彼等はアグリバイオメジャーと呼ばれる多国籍企業だ。農業関連生命工学の分野に遺伝子組み替え技術を持ち込み、発現抑制技術を開発した。具体的には、種子に毒素タンパクを作る遺伝子を組み込み2代目の発芽時に毒素遺伝子が働く自殺種子技術、俗にターミネーター技術と呼ばれる1群の特許がベースとなってる。アグリバイオメジャーは、ターミネーター技術に立脚した特殊農薬と、その特殊農薬にだけ耐性を持つ遺伝子組み替え種子を世界中にセット販売して莫大な利益を得ている。既に、世界の種子マーケットはアグロバイオメジャーの寡占下にあり、その結果、有史以来、人類が紡いできた"種取り"の技術は失われつつある」

「あのぉ、役員会議ではナイので演説は結構です。もっとわかりやすく」

「あ、スマンスマン。ついパンツ1丁なのも忘れてたw つまり、奴等は種の取れない1代限りの種子と農薬を世界中にセット販売し大儲けしてるが、絶賛セット販売中のネオニコチノイド系の殺虫剤には問題がある。実は、最近マンハッタンでは蜂群崩壊症候群が頻発してて、既に全米で1億匹の蜂が死んだとの報告もある。ソコでメリサは…私の愛しい女王蜂は、日本で開催予定の国際都市養蜂学会の場で、メジャーを直球で糾弾する決心をした。ソレを察したメジャーは学会開催を阻止しようと資金援助を切った。ソコで彼女の心意気に感じ入った私は"HONEY 7"の単独スポンサーとなるコトを申し出たのだ。アグリバイオメジャーの悪行は、全て明日まとまる"HONEY 7"の共同サマリーの中に盛り込まれ、世界へと発信される手はずになっている。ソレまで、この秘密は私と、彼女の大きな胸の内にだけ仕舞われ、彼女に至ってはメジャーが画策する東日本の都市養蜂壊滅作戦を手助けまでして周囲を欺いていたというのに!いったい何処からメジャーに漏れたのだろう?」


アンタらのコスプレ不倫からだょ。


「うーん。何となく相手がアグリバイオメジャーであるコトは薄ボンヤリと浮かんできました。とにかく、情報が漏れちゃったモノは仕方ナイし、せっかくコスプレしたのもMOTTAINAIから、お2人にはこのままお楽しみいただくとして、お(いとま)する前に1つだけ、教えてください。貴方は誰ですか?」

「ええっ?君達、帰っちゃうのか?今から私達とコスプレしたままのスワッピングすルンじゃなかったのか…まぁいいや。あ、申し遅れたが、私は和製メジャー社長の丸ベコ(実際には本名が名乗られましたが、ココでは意味ナイので総合商社的なこの名前でw)だ。我が和製メジャーは、アグリバイオメジャーの一角を崩し、国際的な食料争奪戦で我が国が買い負けるリスクを抑える役割を果たしている。既にアメリカ3位の穀物大手を買収し、ソレを軸に我々の穀物貿易量は世界シェアの1割を占めるに至った。しかし、コレを快く思わない輩もいる。既存の欧米メジャーだ。彼等は、日本が力をつけるのを妨げるため、あらゆる面からの圧力を強めている。私がスポンサーとなった"HONEY 7"の失敗を画策したり、今回の東日本都市養蜂壊滅作戦を展開したりしたのも、その一環だ。しかし、私は負けない。日本が今後も食糧を安定的に調達出来るよう、世界に負けない和製メジャーを育て上げる覚悟だ」


コスプレ不倫をしながらですか?とか軽口を叩こうとするも余りに立派な話なので自粛。

しかし、不倫相手を前にパンツ1丁の男が逝うコトなので、コチラも色々と調べてはみる。


「実は、先物取引を市場操作して、誰か空売りで私腹を肥やしてる奴がいないかを調べさせてもらいましたが杞憂でした。少なくとも、僕は今、伺った話にウソはナイと感じています」

「君達を、そして秋葉原を、メジャー vs メジャーの戦いの舞台としてしまい、心より申し訳ないと思っている。しかし…考えようでは、君達"秋葉原のヲタク"も、その世界では立派な世界標準、つまりメジャーなのだろう?同じメジャー同士として、悩みを共有しようではないか」

「光栄です。お2人に会う前には、ラムちゃんの2人組から色々と聞かされてました。基本的に(コスプ)レイヤーに悪者はいない、と思いたいけど、今回は両方ともコスプレしてるから迷いました。でも、僕は迷った時は、いつもコスプレのクオリティが高い方を信じるコトにしていルンです」


メリサ博士が笑いながら一言。


「でもね。私は、秋葉原のヲタクに一言だけ言っておきたいコトがあるわ」

「あらら。何でしょう?」

「私のコスプレは、黒い女王蜂よ。バニーガールではナイの」


ええっ?そぉなの?

あぁ!耳が触覚だw


第4章 蜂のハニィは死んだのさ


次の日"HONEY 7"の本会議はアグリバイオメジャーへのスタンスをめぐり紛糾する。

結局、共同サマリーの採択は見送りとなるが代わりに"議長サマリー"が採択される。


因みに2つのサマリーの内容は全く同じだw


実は、会議の大勢はサマリー不採択に傾いてたが、思わぬ援軍で夜半に形勢が逆転する。

噂では援軍の正体は宮内庁で秋葉原や銀座の蜂が皇居の植物の受粉に資するとの立場だ。


ホントに思いがけない騎兵隊の登場だ。

あ、そう逝えば騎馬警官とかもいたね。


こーゆーコトの勝負は素人にはよくわからないが、もう1つ勝負不明なコトが発生する。

実は、同じ夜半に、例のメリサ博士のバニーガール写真がネットに晒しとなったのだ。


ところが、1夜明けてアキバ、と逝うかネットの話題は"HONEY HONEY HONEY"が独占。

突然のリニューアルオープン告知、何とメイド全員がバニーガール?え?バニーじゃない?


え?"ハニー"ガール?


どーやら、バニーのコルセットが虎縞模様になってるらしいw もちろんカチューシャは触覚←

外見もバニー、じゃなかった"ハニー"に合わせラグジュアリー化して高級クラブ的な内装。


メイド長、改めリーダーハニーのハニィさんのコメント。


「私達は、アキバ版バニーガール、即ち"ハニーガール"を提案します。"ハニーガール"の世界デビューにより、メイドカフェに始まったアキバ発のカフェ文化は、持続可能な新たなステージに入るコトを、ココに宣言致します!」


宣言の内容はイマイチ意味不明だけど、40〜50代の独身ヲタク狙いであるコトは間違いない。

経済余力のあるこの層の攻略はマーケ上の課題だったがソレに"ハニーガール"が切り込む。


ヲタクの高齢化も見据えたこのトレンドは、新たな萌え需要を掘り起こす注目の奇手となる!

今まで内心スク水には抵抗を覚えてたこの層もバニーみたいな"ハニーガール"なら大歓迎?


実は僕自身も興味津々で、早速ご帰宅しようと思って出向いたら既にスゴい行列で焦る。

ソコへ"元祖"女王蜂コスプレだけど、今日はスーツ姿のグレタとシハンが通りかかる。


「あら、秋葉原ヲタク!よくもハニィ潰しの実弾(ネット晒しの写真?)を無力化してくれたわね」

「ゴメンゴメン。ちょうど"HONEY HONEY HONEY"のリニューアルオープンとかぶっちゃってさ。悪気はナイんだ」

「毒のある言い方ね。言っておくけど、我が社は"HONEY 7"の共同サマリー潰しとは無関係だから」

「だったら"議長サマリー"を読めょ。蜂群崩壊はメジャーの殺虫剤が原因との見方が述べられてる。ソレを主張するメリサ博士を排除したかったと逝う明白な動機が御社にはある」

「狂った変態コスプレばかりしてる秋葉原ヲタクも、時には凝ったコトを言うのね?国際社会は食うか食われるかなの。世界の東の果ての、何の資源も持たない小さな島国が、今後どうなって行くのか、貴方の、その身をもって思い知るが良いわ」

「その世界の東の果てにあるアキバ詣でに、今日も世界中から人々が集うのはナゼなのかな。君達2人が、全てに手を下してるとは思っていない。ただ、悪の巣窟はどこを(つつ)いても毒蛇だらけだ。また、何かをリークする気になったら、(コスプ)レイヤーとしての君達2人を推すけど?」


すると、何と2人は顔を見合わせるw


「ホ、ホント?私達の女王蜂のコスプレ、どうだったの?萌えた?」

「ええっ?何だ、この展開?あ、あぁ萌えた、萌えたょ!萌え萌えだっ!」←

「そうなのっ!私達の秋葉原コスプレデビューは大成功だったのね!うれピー!実は、お願いが1つある。私達の…私達のTOになって欲しいの。テリィたんに」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


時折、このまま大人にならずヲタクのままでいたいなと思う時が無いワケでもナイ。

その方が、純粋な感性を失わず、逆にモノゴトの本質がよく見えるような気もする。


先入観なくモノゴトを見る姿勢は、コトの本質に迫ろうとする人類の大切な資質だ。

ピーターパンになる気はナイが、純粋な心を持ち続けるヲタクではありたいと思う。


そうそう。


スピアのトコロに、いつかのスマホTVのプロデューサーから連絡があったそうだ。

あくまで撮影用として蜂コスプレでメジャー反対の街頭署名をしてくれとの依頼。


つまり"ヤラセ"だね。


スピアは、どうしようと迷ってたから、僕はやめておけと逝っている。

あくまでコスプレは、なりたい自分になって自分自身が楽しむものだ。


ヲタクの世界には、逮捕も裁判もないからコトの善悪を断じるコトは無理。

政治的なシンボルになったり、マスコミへの露出を無理に急ぐ必要はない。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


えっ?アグリバイオメジャーのレイヤー2人から頼まれたTOの件はどうするのかって?

ソレ、悩むんだょなw 僕は基本的にはアキバで頼まれたコトは断らない主義だからさ。


でもコレばっかりは迂闊にはウケられない。

だって女王蜂って雄蜂は殺しちゃうんだぜ。


用済みになるとね←



おしまい

今回は海外ドラマなどで見かける"都市養蜂"をネタに、アグリバイオメジャーのエージェントや和製メジャーの社長、国際都市養蜂学会長?の博士などが登場しました。


TVで見聞きするNYの都市風景を秋葉原に当てはめて展開する描き方で、しばらく逝きたいと思っています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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