外?
擦り傷がまだ残っているが再生がゆっくりになったので俺は扉へ向かう、途中距離感を見誤り一度扉に顔をぶつけてから扉をゆっくり開き外の様子を確認する。
外は何と、草原だった、それも地平線の向こうまで続くような大草原だ、そしてここからは大体反対側の位置だろうか?そこに空まで続く塔があった。
やっと外に出れたと思ったが塔の上の方をよく見ると空に蜘蛛の巣状の皹がありそこからうっすらと天井が見えていた。
俺はここが地下かここ事態がでかい塔の中と考え外に出るために塔に向かって歩こうとしたが草原に何かが居た為立ち止まり、念のため草原に入る前にそれを確かめた。
草原の左奥当たりに牛と思われる動物の残骸とそれに集る緑色の小人らしき生物が居た。
「ゴブリンだよな、やっぱ」
ゲームや小説に出てくる緑色の小鬼と殆ど一緒だったが違う所が少なくとも二つあった。
長い棒を持っていたのだまるでライフルでも持っているかのように、それに数体は草原の植物で出来ていると思われる迷彩服の様なものを着ていた。
「本当に銃ならヤバイよな」
相手は銃を持っているにこちらの武器は錆びてるうえに消化液でちょっと溶けてる短剣だ、戦ったらまず敗北は避けれないだろう。
俺は戦いを避けるべく草原の右側の長い草が生えている方を匍匐前進で出来るだけ草を揺らさないように進んだ。
三分の二程は順調に進んでいたが突然脇腹に違和感を覚えた。
「なんだ?」
確かめてみるとビー玉みたいなのが入った青い液体が蠢き俺の脇腹に覆い被さっていた、しかもそれが触れている部分が溶けてそのまま中にある内蔵を溶かしていた。
「スラぁイム!?」
俺はそれに恐怖を抱き速攻で短剣を持った右手を突っ込んだ、突き刺した短剣は一切抵抗なく沈み込み中に入ったがビー玉から逸れてしまった、しかもあっという間に短剣が無くなり手は直ぐ様肌と筋肉が溶け始めた、それでもその間にビー玉をもぎ取った。
するとスライムは一瞬膨らんだ後只の水の様に地面に染みていったがビー玉は残った。
「あぁ、無理、休憩」
いくら強化された精神でも内蔵を引き摺りながら這うつもりにはなれず辺りを警戒しながら再生を待った。
しかし再生で内蔵が引っ込んで肉が治り薄皮一枚繋がった頃草原の草を掻き分ける音が聞こえた、おそらく血の臭いでバレたのだろう、スライムに教われた場所で休憩は不味かったかもしれない。
俺は迷った、まだ塔まで三分の二の位置で追われながら走るのか気付かれないように進むかの選択を迫られた。
走ってしまえば見つかるのは避けられないが相手の速さによっては逃げられるかもしれない、問題は銃を持っている可能性があることだ、撃たれながら進むのは大分辛い。
隠れて進むのは奴らがどこまで近付いているのか分かれば問題ないが見つかれば対抗手段が殆どない俺では直ぐに捕まってしまうだろう。
悩んだ結果俺は、飛び起き全力で走った。