学生
エルザとマーチが魔法学校の学生を引き連れてきた。
隣の家の賃貸契約が無事済んだので、
なんとなしに魔法学校に寄ったところ、
入寮する学生が見学するってことになったらしい。
学生は男女合わせて15人だ。
・・・
(アレを見ろ。あのエルフの美少年。)
(ああ…。まつ毛が長い。あんな美少年見たことないぞ。)
(アレがザ・ストームの中心火力、ミラだよ。)
(馬鹿野郎!ミラ様と呼べ!)
(ウチの女子を見ろよ。ハートの目をしてるぞ。)
(アレはミラ様にくぎ付けだな。)
(目をハートマークにしてない女子もいるぞ。)
(ああ。指をわきわきしてるな。)
(あのわきわきは、もふもふ狙いか?)
(間違いない。フェンリルのシロ様のもふもふを狙ってる。)
(フェンリル!伝説の神獣じゃねえか。)
(言われてみると、高い知性を感じさせるな。)
(フェンリルを、単なるもふもふ扱いか。)
(ヤバいな。ウチの女子。)
(ウチの女子、ミラ様とシロ様のどちらかしか見てないな。)
(かなりヤバいな。ウチの女子。)
(ヤバい。)
(あのちっこい子供は?)
(美肌風呂のウノ様。あれでウノブランドの会長だぞ。)
(すっげえ大金持ちじゃねえか!)
(あの年齢でか?8歳くらいだろ。天才少年かよ!)
(嘘だ!絶対に信じねえ!)
(それが事実なんだ。)
(実は風呂掃除してるだけなんだろ?)
(知らないのか?エルフの里の新製品は全部ウノ様のアイデアだぞ。)
(嘘だ!絶対に嘘だ!)
(天才少年が世界を変える…。ゾクゾクしてくるな。)
(風呂掃除もすげえぞ。入浴中の女性がいる女風呂を掃除するんだ。女性公認だぞ?)
(何それ!すげえ!え?それっていいの?うらやましすぎる!)
(おお…。神よ。神の御慈悲を…。)
(あの黒いもしゃもしゃヒゲのドワーフ。眼力がすげえぞ。)
(ああ。すべてを見透かされている気がする。)
(ザ・ストームの顧問的な立場だろうな。)
(ありゃあ木工職人にとっての神だぞ。ガンテツ様だ。)
(木をぐにゃぐにゃ曲げるっていう?単なる伝説だろ?)
(兄貴が冒険者でな。タル材ぐにゃぐにゃを見たそうだ。)
(タル材ぐにゃぐにゃ?タル材ってのは一番硬いんだぞ!)
(俺の兄貴は嘘をつかない。)
(あのきれいなお姉さんは?)
(凄腕のロードのルカ様を知らないのか?)
(超有名だったんだぞ。一度引退したんだけど復帰したんだ。)
(あの武器と防具、全部ミスリルなんだってよ。)
(全身ミスリル!)
(第四階層の虫モンスターでさえノーダメージらしい。)
(おかしい。絶対におかしい。第四階層は死の階層なんだぞ?)
(エルザ先生とマーチ先生が凡人に思えてきた。)
(あの2人も超絶ヤバいけどな。)
(やべえ。ザ・ストームやべえ。)
・・・
(ヤバい。ミラ様、いつまででも見てられる…。)
(ちょっと!私のミラ様をあまり見ないで!)
(なにそれ!ミラ様は私のものよ?)
(うるさい!少し黙れ!ミラ様に集中できないでしょ!)
(もふもふ…。わきわき。)
(あの白いのもふもふしたい…。わきわき。)
(もっふもふ!もっふもふ!もっふもふ!…わきわき。)
(あのちっこい子供は?)
(そんなのどうでもいい!ミラ様…。ああ…。)
(あのジジイは?)
(うるさい!ミラ様を見るのに忙しいの!一瞬たりとも見逃せないの!)
(あのきれいなお姉さんは?)
(ミラ様と付き合ったりは…してないみたいね。)
(よかった。やっぱり私はミラ様と結ばれる運命だわ。)
(私よ!私がミラ様と結ばれるの!)
・・・
ステラ、ゲイル、リリーナが帰ってきた。
おかえり。
「ただいま。」
「おや、なんだかにぎやかだな。」
「魔法学校の学生たちですかぁ?」
・・・
(ザ・ストームのリーダー、ゲイル様だ。)
(やべえ。オーラがすげえ。カリスマすげえ。)
(かっこいい。オレ泣けてきた。)
(ミラ様に夢中だった女子の半分以上がゲイル様を見つめてるぞ。)
(あれは惚れたな。完全に惚れてる。)
(完全に目がハートマークだ。)
(もじもじしてる女子もいるぞ。)
(ミラ様とゲイル様を交互に見ている女子もいるぞ。)
(アレは…。いわゆるショタってやつだ。)
(ショタって、男と男が、的な?)
(そういうのが多いが、内部ではいろいろ派閥があるらしい。)
(ヤバい。ウチの女子ヤバい。)
(女子の中でもあの2人はぐふぐふ言っててヤバい。)
(あまり見るな。気づかれるぞ。)
(ゲイル様と腕を組んでる女の子。可憐だ。)
(バカ野郎!あれはゲイル様の恋人、リリーナ様だぞ!)
(うらやましい。あんな可愛い子と付き合ってるのか…。)
(リリーナ様に比べるとウチの女子はカボチャじゃねえか。)
(特に今はバカみたいに呆けてるしな。)
(ぐふぐふ言ってるやつもいるしな。)
(あのエルフ美女は?)
(弓の達人で風魔法の達人。ハリケーンのステラ様だよ。)
(あのハリケーンの!)
(今はハリケーン・ディザスターらしいぞ。)
(ハリケーン・ディザスター!大災害級ってことか。)
(ウノブランドはウノ様が会長で、ステラ様が社長なんだ。)
(実際にビジネスを指揮してるのはステラ様だ。)
(すっげえ。あの美しさで凄腕のビジネスパーソンで冒険者かよ。)
(ある意味、ウノ様はお飾りってことか?)
(そうとも言えるし、ウノ様に使われてるってことでもある。)
(あのエルフ美女より、あのちっこい子供が上だってのか?)
(嘘だろ!嘘だと言ってくれ!)
(ありえねえ。ありえねえよ。)
(ああ。ありえねえな。どこかに嘘があるんだ。)
(嘘だ。嘘だ。嘘だ。)
・・・
(ザ・ストームのリーダーのゲイル様が帰ってきたわ!)
(カッコイイ!なんであんなにカッコイイの?)
(筋肉が素敵。顔も素敵。声も素敵。全部素敵だわ!)
(とろけそう…。ああ。ゲイル様に抱き締められるなら死んでもいい。)
(無理よ。ゲイル様と腕を組んでる女の子がいるでしょ。)
(ああ。あの可愛い子。恋人なのかな?)
(もう結婚間近だって。)
(えーっ。ズルい!ズルい!ズルい!)
(別にズルくはないでしょ。お互い好き同士なんだから。)
(だって私がゲイル様と早く知り合ってたら、きっと私とゲイル様が。)
(はいはい。ありえない妄想。)
(ひどーい!)
(ゲイル様とミラ様、ぐふぐふ。)
(ミラ様にゲイル様が、ぐふぐふ。)
(ゲイル様にミラ様が、ぐふぐふ。)
(上になり下になり、ぐふぐふ。)
(この2人、完全にあっちの世界に行ってしまったわ。)
(ヤバいわね。)
(この2人は完全にヤバい。)
(関わらない方がいい。)
(あのエルフ美女は?)
(ミラ様と付き合ってるかどうかってこと?ないでしょ。)
(歳の差カップルかもよ?)
(ないない。あれはない。どう見ても姉と弟の関係よ。)
(あんたの断言は信用ならないからなあ…。)
(ちょっと、それ、私が信用ならないってこと?)
(少なくとも恋愛関係については…。)
(えーっ!友達関係を見直そうかな…。)
・・・
ヒソヒソ話じゃなくてワイワイガヤガヤなんだけど。
男子の方からお飾りとかちっこい子供とか聞こえてるんだけど。
まあ。事実だから仕方ないな。
女子の方からは、重低音でぐふぐふ聞こえてくるんだけど。
ヤバい波動だ。腐った波動だ。獲物を狙う目だ。
獲物はミラとゲイルか。
オレが獲物じゃなくて助かった。
神様ありがとう。




