ホーリーアロー
教会で冒険者が語ったパーティ壊滅。
オレは思いを託された。
それがオレの心に何か熱を与えていた。
だがいつまでもメラメラ燃えているわけにもいかない。
オレたちは家に戻り、ほっと一息ついた。
「さっきまでウノが殺気立ってましたね。」
「私、ウノを怖いと思ったのは初めてです。」
「ウノだけではない。ミラもルカもワシも殺気立っておったぞい。」
ご、ごめん。
ちょっと気合い入っちゃってさ。
少し休憩したら、ちゃちゃっと。
教会草を混ぜた聖なるゴーレム作るから。
絶対に作る。
・・・
オレは教会草にブリザードをかけて乾燥させ、
大タルの中にいれて、ダイアモンドダストで粉末にした。
そしたら必殺の気合いを入れて。
(洗濯!)
よし。教会草はこれでいい。
そういえば、徹甲榴弾砲の射撃訓練で
粉体として砂を使ってたな。あの砂を使おう。
オレはアイテムボックスから砂が入った大タルを取り出した。
んじゃ、この砂も必殺の気合いを入れて。
(洗濯!)
そしたら砂と教会草の粉末をよく混ぜる。比率は9:1でいいか。
必殺の気合いを入れて。
(ストーンオブジェクト!)
よし、ゴーレムの形になった。
必殺の気合いを入れて。
(クリエイトゴーレム!)
ふう。とりあえず、少し休憩だ。
「はい。休憩です!」
ルカが後ろからオレを抱き締めてきた。
ルカ。
ありがとう。ほっとするよ。
「もういい、と言うまで続けますね。」
言わない。
もういいなんて、言わないよ絶対。
・・・
ごめん。
もうダイジョーブ。
MP全回復、たしかな満足。
「パワーオブマナして欲しくなったら
言ってくださいね。」
ありがとう。
ルカはオレのアシスタントとして理想的だよ。
オレもルカのアシスタントになれるよう頑張る。
オレはルカに感謝しつつ、必殺の気合いを入れて。
ゴシゴシ。
ゴシゴシ。
ゴーレムを磨いた。
ようし。
なにかもう成功するイメージが固まってる。
成功する。
気持ち的には、もう成功した。
よし。
必殺の気合いを入れて。
行くぞ!
(洗濯!)
おお。
青く光っている。
このゴーレムならマジックユニットに
ホーリーアローをマジックチャージできるだろう。
・・・
マジックユニットにマジックチャージできた。
ちょっとホーリーアローマシンガンを試射。
何に向かって撃つかな?
ちょっとそれはどうなの、とも思うけど
仕込んでいたウサギ肉に撃とう。
ドン。
成功だ。
うん。ウサギ肉が柔らかくなった。
やったぜ!
オレ以外の3人が頷いている。
しかし「それで?」くらいのテンション。
アレ?
どうしてだっけ。
これってもしかして、あと29体か?
これを29回繰り返すのか?
「ウノ、頑張って!」
ルカが明るく励ましてくれる。
頑張る。
さっき絶対に作るって宣言したし。
・・・
ふぅふぅふぅ…。
出来た…ぞ…。
聖なる産業用ロボットゴーレム30体…。
気合いを入れた掃除、気合いを入れた洗濯。
凄いキツかった。
ルカに何回パワーオブマナしてもらった?
10回超えたあたりから、数えてない。
それで?
次は何するんだっけ?
ああ。産業用ロボットの親機の肩をもんで
子機にMPを供給してマジックユニットをチャージするんだ。
チャージするマジックユニットは1個じゃなくて20個だな。
もみもみ。
産業用ロボットゴーレムの親機の肩をもみもみ。
産業用ロボットゴーレムの子機30体が連携して動作し始めた。
ロボットたちはマジックユニットを受け取っては
ミニマイズドホーリーアローをチャージし、
次のロボットに渡す。
オレは、親機の肩をもみながら、
整然とした30体の動きを見て考えていた。
もみもみ。
今回、オレはけっこう頑張ったよな。
もみもみ。
教会草と砂が足りて良かったよ。
もみもみ。
あれが不足して補給とかになってたら、
今日中に完成させるのを諦めてた。
もみもみ。
ラッキーだった。
もみもみ。
神様、ありがとう。
もみもみ。
今日はよく眠れそうだ。
もみもみ。
はい。
マジックユニット20個にマジックチャージ完了。
んじゃ、もう1回試射ね。
ウサギ肉を置いてっと。
ドドドドドドドド。
ふはははは!
完成した!
ホーリーアローマシンガンはすべて完了!
「違うぞ。」
えっ?
「いつ指摘するか悩んだが…最後まで言えなかったわい。」
えっ?
どういうことだ?ガンテツ。
「ホーリーアローマシンガン本体をいくつ作るか、
ステラから聞いておらんかったんじゃ。
いくつ作ろうかのう?」
えっ?
えっ?
もしかして最大で9つまである?
さすがにそれは無いよな?
「そうじゃな。9つは無いじゃろう。
では、新型のホーリーアローマシンガンならどうじゃ?」
具体的には?
「マジックユニットを複数搭載可能なやつとか、
ガントレットの形状にするとか、じゃな。」
ガントレット?
それいいね。
すごくいい。
かっこいい。
よし。じゃあ、作ろうか。
「ガハハハ。明日でよかろう。
既にホーリーアローマシンガンの本体が1つある。
ステラから出された課題はクリアしているんじゃ。」
そうか。
そうだよな。
ほっとした。
「ウノ。夕食!ウサギ肉を料理してください。」
お、おう。
シロとマーチが戻ってからにしないか?
「じゃあ、お風呂。お風呂掃除をお願いします。」
お、おう。
風呂掃除はすぐにやるぞ。
風呂掃除は女性陣との約束だからな。
オレ、この世界で頑張ってる。
元の世界は自堕落だったから体は楽だった。心が苦しかった。
この世界では頑張ってるから体はキツいけど気持ちは楽だ。
そういうもんなのかな。




