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エルザ

次の日。オレたちは、

冒険者ギルドがダンジョンの第五階層と第一階層を繋ぐ

転送門を設置するというので、第五階層に見学にきている。

以前ルカが冒険者ギルドに行っていたのは、

日程の最終調整だったらしい。

これで多くの冒険者が第五階層まですぐ来れるようになるな。

第一階層は枯れてしまったので、第二階層~第四階層が

修行の場という位置づけだな。

そういえばリリーナが申請書類が、とか言ってたな。

昔にも転送門があったのかな?

「数百年前はあったそうですぅ。

今の冒険者ギルドの職員の誰も経験したことがない業務

なので時間がかかりましたぁ。」

そんな大変なのをリリーナが受け持っていたのか。

「誰も申請しにこない業務なので、私が担当してましたぁ。」

あ。そういうこと?

「でも、そのおかげで転送門の申請書類を書けたので、

すごくラッキーだと思いますぅ。」

そうだね。

すごく助かった。

第五階層から第一階層に帰るのに転送門を使うことになった。

門の大きさは90cm x 180cm。

サイズは固定みたいだ。

転送門を入手して魔法回路を調べたいな。

これを小さくすると量産できるようになるだろ、たぶん。

小さくしたら、量産に成功したら、用途が変わるんだ。

価値が変わるんだよ。

「ふむ。取り組みたいのう。」

ガンテツがニヤリと笑った。

それにしても便利。

シロの風の疾走スキルと合わせると、

第八階層と行き来するのは、あっという間だ。

これまで移動に時間を無駄にしていたんだな、と気づいた。

ところで転送門と転移門って同じかな?

違いがあるのかな?

「同じ意味や。ニュアンスの違いだけやで。」

マーチが即答してくれた。

そうなんだな。ありがとう。

・・・

シロが第七階層の砦の陰にウサギがいたことを思い出して、

ウサギを狩りたいと言ってきた。

いいぞ。

たくさん狩ってくれ。

夕食に揚げものを作ろう。

・・・

「とりあえず解体するのは5匹でええか?」

いいんじゃないかな。

一匹につき肉の量は2kgくらいみたいだから。

10kgあればさすがに大丈夫だろう。

よし。

じゃあオレは、もみだれと衣の準備だな。

まず衣は定番の芋の千切り。

もみだれはニンニク、ショウガ、塩をまぜてと。

「解体して、指示通り一口大に切ったで。」

マーチ。ありがとう。

じゃあ揚げよう。

換気扇があるから、揚げ物が苦にならない。

作って本当に良かったよ。

換気扇は本当にいいな。

このろくろっぽいロボットゴーレム。

・・・

夕食後。

エルザは語り始めた。

「300年前、エルフの里は、エルフの王国だったわ。」

おお。王が収めていたのか。

過去形ということは、今は王がいないんだな。

「王の命が長くないと知ったアタシは逃げたの。

アタシは王女だったんだけど、女王になりたくなかった。」

ミラは口をあんぐりと開けている。

固まった。

ステラはポーカーフェイスだ。おそらく知っていたのだろう。

エルザはエルフの失踪王女なのか。

女王になりたくなかったのは、

女王になると生贄というか封印されたりするのか?

「いい表現ね。王宮の奥深くに幽閉される感じよ。」

「エルザ。それは言い過ぎよ。」

「当時、アタシにとってはそう思えたってことよ。」

「わいが唆してしもうたせいや。」

「マーチは関係ない。アタシの意思よ。」

ステラが話の後を引き継いだ。

「王家の血筋がいなくなって当面、共和制に移行したわ。

そして幼馴染の私が失踪したエルザを探す捜索隊の

リーダーになったわ。」

「ステラはしつこかったわね。」

「せやなあ。100年も追いかけられたわ。」

エルザとマーチは笑いあった。

気の合う2人だったから耐えられたのだろう。

共和制ってのは王制とどう違うんだ?

「複数の長老の合議制。多数決で決まるの。」

へえ。民主主義っぽい感じかな。

みんな首を傾げた。

オレとゲイルとマーチ以外、全員。

失踪から100年後捜索が打ち切られたってことは

200年前ってことか。

「そう。200年前、里の長老たちはエルザの捜索を

打ち切ることにしたわ。そして正式に共和制にした。

そして私も捜索隊から解放された。

その時は、自分も自由になれると思って嬉しかった。」

そうか。

ステラの意思と無関係に、

命令で100年もエルザを捜索させられて

ステラはエルザを恨んだりしていないのか?

逆にエルザがステラに追い掛け回されたのを

恨んだりとか?

「エルザは私の幼馴染なのよ。恨むとかはないわ。

追いかけっこみたいなものよ。」

「それにしては、しつこかったわよ。」

「だって長老がうるさかったのよ。

いつもいつも報告しろって。早く見つけろって。」

「わいがエルザの傍にいる以上、

エルザを逃がすのはわいの役目や。面白かったで。」

「フフフ…。懐かしいわね。」

「ええ、懐かしいわ。」

ところで、マーチが唆したってのは?

「王様みたいに眉間にシワをよせて王宮の中で過ごして

そんで死にたいんか?って言ったんや。」

マーチよ。

きっとエルザに一目惚れだったんだな。

「せやな。一目惚れからの駆け落ちや。」

エルザにとって衝撃だったろうな。

マーチの言葉が本気だったからエルザに響いた。

エルザは自分で自分の人生を選択したんだ。

ところで。

エルザとマーチはどこであったんだ。

「王宮の奥深く、アタシの寝室に現れたの。」

「観光がてら、エルフの王宮に忍び込んでみたんや。」

格好良すぎるだろ。

怪盗紳士かよ。

「宝物は盗んでないで。王女の心を盗んだんや。」

「///…もう。マーチったら。」

マーチはとんでもないものを盗んでいったのです。

なんちゃらの城かよ!

呆けていたミラが再起動した。

「僕がエルフの里で聞いた話は3属性のエルザです。

強い魔法使いの3属性のエルザが里を出たって話です。

王女っていう話はありませんでした。」

「秘匿よ。失踪王女の事は無かったことになったの。」

「騙してたんですか?」

ステラは困ったという顔をした。

「ミラ達の世代に、失踪王女を捜索させるなんて無駄よ。

どこかで割り切る必要があったの。」

ミラは、すこし言いたそうにしていた。

・・・

「ほんでなんか他に、エルザに質問あるか?」

マーチよ。なんでお前が仕切るんだ。

「エルザの旦那やからな。」

オレはマーチに質問あるぞ。

「ええで。エルザとわいは一心同体やからな。なんや?」

マーチは

異世界転生者じゃない。

異世界転移者だろう。

「…。やるやん。ご名答や。」

民主主義の時に、不思議そうな顔をしなかったからな。

それに、転送門と転移門の時に、すっと答えてくれた。

マーチも、ただものじゃないんだろ?

「マーチ。アタシはともかく、マーチの秘密は秘密でいいのよ。」

「いや。このタイミングは悪くないで。

わいはな、稲荷神や。狐の神様やで。

自分の意思でこの世界に転移してきたんや。

この姿を見たら驚くかもしれんな。」

「マーチ!それは。」

「ええねん。ウノの素性よりは、シンプルやで。」

マーチは糸目を見開いた。

そして、額に第3の目がゆっくり現れ、開いた。

「まあ、開く必要はないねんけどな。チャクラの目や。」

「チャクラの目を開くものは千里眼を持つという。」

ゲイル。そうなのか。

「武道においては、気の流れ、チャクラ、丹田、瞑想、

そういう訓練がある。達人の域を目指す場合の特別な訓練だ。」

マーチは武の達人の域なのか。

そして千里眼の機能を持つと。

「いや、いまひとつ足りんねん。だからマーチや。」

どういうことだ?

「三つ目は、三目。マーチは三月。一角足りんやろ。」

はははは。

そういうことか。99歳は白寿みたいな。

「せや。あらためて、ウノ、ゲイル、仲良くしてくれや。」

マーチが手を差し出した。

「稲荷伸と握手か。緊張するな。」

そうだな。でも嬉しい。

こんな重要な秘密を教えてくれたんだ。

エルザ、マーチ、心から歓迎する。

オレたちのパーティに入ってくれてありがとう。

7/9。修正。リリーナの語尾に「ぅ」とかが抜けていた。不要な」があった。

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