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氷の巨人

オレたちはゴーグル型サングラスを首にひっかけた状態で

第七階層に進んだ。

ゴーグル型サングラスはガンテツが

「白い世界か。対策が必要じゃな。」

という言葉を発した時から対策として考えていたとのこと。

オレたちの家に戻ってすぐにドワーフの里に発注していたとのこと。

なんでオレは知らなかったんだろうな?

「発注すると決めたのは迷宮別荘での休憩中の雑談じゃった。

あの時ウノは具合が悪くて寝ておった。

元の世界と白い世界に何か関係があるのかもしれんが、

今日の攻略には関係ない。今考えるのはよすんじゃ。」

わかった。

そのとおりだな。

攻略に集中しよう。

・・・

おーい!

シロ!準備が出来たぞ!

(うっす。こっちも大丈夫っす。)

フロストジャイアントの方はどうだ?

「ここからは見えないが300m風下にいる。悪くないぞ。」

ゲイルが索敵スキル全開で調べ、教えてくれた。

じゃあ始めるか。

わあー!スノーウルフの群れだ!

「わー!」

「きゃぁー!」

うわーやられた!

「ああ!」

ステラの口から大量の血が噴き出す。

ごぼっ!

濃密な血の匂いが一帯に満ちた。

おえっ。

ヤバい。

以前より吐き気がキツい。

これは。

ヤバい。

いったんうずくまろう。

落ち着いて。

口呼吸、深呼吸だ。

みんなは芝居を続けて。

(大丈夫っすか。)

ああ。

芝居が大事だ。

オレはシロとみんなのテレパシー通訳だから。

うずくまっていてもいいだろう。

ヤツはまだか?

(近づいてきてるっす。)

近づいてきてる。

WOOON!

「ぎゃー!」

「うわー噛まれた!」

ヤツはまだか?

(もうそろそろで落とし穴に落ちるっす。)

もうそろそろで落とし穴に落ちる。

WOOON!

「あー!」

「うー!」

ゲイルが大げさに叫んだ。

「くそう!死んでたまるか!」

そろそろか?

(いまっす。)

いまだ。

WOOON!

・・・

フロストジャイアントがオレたちに殺到した。

そして落とし穴に見事に落ちた。

足を下に、頭が上の状態でストンと落っこちた。

ちょうど体の半分が上に出ている。

これならそう簡単には這い上がれないだろう。

オレたちは全員ゴーグル型サングラスを装着し、

オレとゲイルはアイテムボックスから

徹甲榴弾砲を取り出し設置する。

いつでも発射可能なようにセットアップ済みだ。

「エルザ、リリーナ、ミラ頼む!」

「フレイムジェイル!」

「はい。ゲイル。」

「わかりました。」

ゲイルの指示で、エルザがフレイムジェイルを発動した。

事前詠唱してコマンドワードを保留していたのだ。

「弱点は口。次が目、肩です。」

ルカが弱点看破スキルを使う。

リリーナとミラが徹甲榴弾の射撃を開始した。

次々と着弾。着弾点が口になるよう微調整を続ける。

ルカ、エルザ、マーチが火球杖を連発する。

オレはルカに火球杖を渡す係。

ゲイルはマーチに火球杖を渡す係。

ガンテツはエルザに火球杖を渡す係だ。

ステラは弓で目を狙う。左目に矢が突き刺さった。

口には徹甲榴弾が連続して着弾。

ファイアボールの火がアルコールに引火して、

アルコールが連続した燃焼を開始。

徹甲榴弾はその間も継続して着弾し続け、

唇、歯を破壊し、歯茎を破壊し、喉を破壊し、

後頭部まで貫通する穴を開けた。

ステラは弓で目を狙う。右目に矢が突き刺さった。

口を破壊し終えたリリーナとミラは

着弾点が左肩になるよう調整した。

ルカとマーチが火球杖を左肩に向けて連発。

エルザはファイアストームを詠唱して連発。

左肩が完全に破壊され、左腕がちぎれとんだ。

リリーナとミラは着弾点が右肩になるよう調整した。

ルカとマーチが火球杖を右肩に向けて連発。

「そろそろ中盤じゃぞ。」

ガンテツの言葉を聞いて、

エルザがファイアストームの詠唱をやめた。

エルザはフレイムジェイルを重ね掛けする。

リリーナとミラの徹甲榴弾、ルカとマーチの火球杖により

右肩が完全に破壊され、右腕がちぎれとんだ。

フロストジャイアントは頭部がかろうじて

胴体とつながっている状態だ。両腕はもうない。

オレには既に無力化したように見える。

しかしそうではなかった。

「ヤツには再生能力がある。油断するでないぞ。」

ガンテツは観察し続ける。

ステラがハリケーン・ディザスターの詠唱を開始。

オレとルカのコンビで火球杖を連発し続ける。

ゲイルとマーチのコンビで火球杖を連発し続ける。

狙いは胴体中央だ。

エルザはフレイムジェイルをかけ終えるとミラの隣に移動。

ミラが徹甲榴弾砲を離れてインフェルノの超高速詠唱を開始。

徹甲榴弾砲はミラからエルザが引き継いで撃ち続ける。

エルザとリリーナの徹甲榴弾砲の狙いは当然、胴体中央だ。

ミラのインフェルノが発動。

立方体の落とし穴は炎が噴き出す地獄となった。

ステラのハリケーン・ディザスターが発動。

インフェルノとハリケーン・ディザスターが

超高温超高圧と真空のまだら模様の炎熱旋風地獄を作り出し、

頭部と両腕を失ったフロストジャイアントの胴体を

深く切り刻み、燃やし始めた。

フロストジャイアントの体表は既に脆くなっていた。

ここが前半のピーク。

徹甲榴弾砲が役目を終えた。

エルザはポットオブマナから自分へMPを注ぐ。

リリーナは火球杖を準備した。

オレはルカに火球杖を渡すのをやめた。

オレはミラの肩をもみ、ルカはステラを抱きしめた。

MP回復タイムだ。

ミラとステラのMPはグングン回復していく。

ミラがインフェルノの超高速詠唱を開始し、

ステラがハリケーン・ディザスターを詠唱開始した。

ルカはステラを抱きしめるのをやめ、火球杖を準備。

オレはミラを肩もみし続けミラのMP回復を続ける。

万が一の場合、ミラのインフェルノは切り札になる。

ジョーカーをもう一枚用意できるのなら、

ジョーカーを用意する。それがオレの役目だ。

最初の複合炎熱旋風地獄が効果を終えた瞬間、

エルザがワンドオブファイアストームを11連発。

ルカ、リリーナ、マーチが火球杖を連発する。

「そろそろ仕上げじゃ。」

「みんな!最後の最後まで気を抜くな!必殺の気合いだ!」

ゲイルが気合を入れた。

これにより15%のダメージ上昇効果が発動しただろう。

これから後半のピークつまり最後のピークだ。

ミラのインフェルノが発動。

ステラのハリケーン・ディザスターが発動。

複数のファイアストームを巻き込んだ

最凶最悪のインフェルノ・ハリケーン・ディザスター

複合炎熱旋風地獄が完成した。

これがオレたちのパーティの最強コンボだ。

・・・

オレとルカ、ゲイルとリリーナ、エルザとマーチは手を繋いだ。

もう片方の手には火球杖かマシンガンを握る。

手を繋いだのは互いに気を抜かないための鎖だ。

頑張って必殺の気合いを維持し続けるオレたち。

複合炎熱地獄の凶悪さへの恐怖。その美しさへの歓喜。

それらに魅入られないためには、必殺の気合いが必要だった。

ガンテツは満足そうに、黒いもしゃもしゃしたヒゲをしごいた。

ステラとミラは繋いでいた手をほどき、深いため息をついた。

終わった。

こうして、

フロストジャイアントはただ一瞬もその強さを見せることなく灰と化した。

オレとルカは手を繋いだまま、必殺と恐怖と歓喜の3すくみを感じ、

いつまでも落とし穴を見ていた。

ゲイルとリリーナ、エルザとマーチも同様だった。

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