凄腕
ステラは凄腕のビジネスパーソンだ。
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ウノ石鹸。
1個50ゴールド。
なによりも画期的だったのは、品質の均一さ。
石鹸は消費者の好みがある。
大きさ、かたち、色、香り、泡立ち、汚れ落ち。
ウノ石鹸は、品質が均一であることにかけては完璧だった。
これまで、この世界における石鹸は品質が不均一だった。
品質が不均一であれば「お気に入り」に出来ない。
ブランドの本質は、品質の高さではなく、均一さなのである。
ウノブランドは女性向け美肌化粧品のブランドを
この世界で初めて確立した。
無料試供品を試せるというのもきわめて画期的だった。
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ウノ石鹸廉価版。
1個10ゴールド。
ウノ石鹸の均一さこそがブランド化できた理由であると
看破したステラが、
安定して入手可能な材料のみを用いて製造するよう
エルフの里で指揮し、企画/製造/商品化したもの。
製品の均一さを保つため、品質検査員を配置した。
品質が良すぎる場合であっても不良品とする徹底ぶり。
いわゆるバラツキ管理。この世界では画期的だった。
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ウノシリーズ全15種類中、石鹸を除く13種類。
エルフの里で製造しバラツキ管理を徹底できる製品のみで
シリーズ化した。
既存のエルフの里の製品を流用することなく
新しいコンセプトで企画/製造/商品化し直した。
その新しいコンセプトとは
「清潔」。
清潔だから健康を維持できる。
健康だからずっと美しくいられる。
いつも清潔でいよう。
そういうメッセージが伝わるシリーズラインナップである。
製品にメッセージ性を持たせるというのは画期的だった。
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新型マジックアイテム。
小粒の属性石を交換するタイプのマジックアイテム。
従来のマジックアイテムの枯れた魔法回路を活用しつつ
従来は交換できなかった属性石を交換可能とすることで
小粒の属性石に価値を見出し、
かつ連続運転/長期利用を可能とした。
従来から存在したマジックアイテムは2つのタイプに分かれ、
魔力利用タイプは高額、
大き目の属性石搭載タイプは使い捨て。
新型は安く、使い捨てでもない。小粒の属性石も安い。
売れない理由が無かった。
新型マジックアイテムの多くは
エルフの里で企画し、魔法回路を設計/開発、
ドワーフの里が製造/販売を手掛ける。
商品の売り上げの5%を
エルフが企画/設計/開発料として
継続的に受け取ることになっており、
エルフの里とドワーフの里のWIN-WINを実現した。
この世界における画期的なビジネス契約形態である。
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小粒の属性石の標準規格。
ウノ石鹸の均一さの概念をステラが模倣したもの。
たとえるなら乾電池が近い。
単三乾電池であれば、どのメーカーでも使える。
小粒3雷石であれば、どのメーカーでも使える。
そのような概念をこの世界に初めてもたらした。
ステラの発案により
小粒1火石、小粒2火石、小粒3火石、小粒4火石、
小粒1雷石、小粒2雷石、小粒3雷石、小粒4雷石
の全8種の規格がエルフの里で標準化された。
この標準規格がこの世界の属性石の
エルフ/ドワーフ/ホビット/人間
の共通規格となった。
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フリーズドライ食品。
ウノが作ったインスタントおじやの試食品を食べたステラが
エルフの里で企画/開発/商品化したもの。
レアな氷魔法使いを高額の報酬でスカウトして
少しずつ製造量を増やし、今ではエルフの里の重要な輸出品。
この世界では、瓶詰/缶詰/レトルト/即席麺より先に
「フリーズドライ食品」という概念が生まれた。
ウノシリーズの女性向け美肌化粧品で培ったパッケージングの
「個包装技術」がフリーズドライ食品の品質維持に貢献した。
生石灰の水和を利用した乾燥剤も品質維持に貢献した。
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氷魔法。
ステラおよびエルフの里の長老に説得された
複数の凄腕魔法使いが氷魔法の習得方法を研究。
その結果として氷魔法の習得方法を確立した。
確立したのは土魔法使いである。
詳細は極秘であるが、氷魔法を学ぶ者の選定時には
土魔法の才能/技量が重要視されている。
氷魔法の習得方法をエルフの里の極秘としたことで
他種族、特に人間に対して長期的なアドバンテージとなった。
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立体型マスク。
オークの王国攻略で使った唐辛子対策マスクにヒントを得た
ステラがエルフの里で企画/開発/製造し商品化したもの。
微細な粒子であっても通さないよう不織布を用いており、
ウノ手製の品より圧倒的に性能が上。ウイルスを通さない。
不織布を用いるとウノ手製と同じ構造では呼吸が苦しくなるのだが
効率的な多段階プリーツ構造をエルフが発案し克服した。
ちなみにそのエルフは折り紙好きだった。
縫製に関して品質検査員を配置しバラツキ管理を徹底している。
ウノシリーズに含めなかったのは、
マスクの利用者が女性とは限らないため。
結果として、老若男女を問わない新ブランドのきっかけとなった。
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産業用ロボット。
ウノのちっこい産業用ロボット30台の流れ作業を見て
唖然としたステラがエルフの里にもたらした新技術。
従来技術を圧倒する「品質の均一化」をもたらした。
とくに立体型マスクの大量生産/高品質な縫製は、
産業用ロボットがあってこそ実現できたものである。
これまで不遇な扱いを受けていた土魔法使いが、
クリエイトゴーレムの使い手として
脚光を浴びるきっかけとなった。
この世界には蒸気機関も内燃機関も、
電力を用いた大量生産もコンピューターもなかった。
この世界の第一次産業革命は産業用ロボットである。
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ステラは凄腕のビジネスパーソンである。
エルフの人口増加によらずに、
エルフの種族繁栄に大きく貢献し、
更にはエルフに限らず他の種族にも貢献した。
さらに、多くのモンスターを殺すことで大量の経験値を稼いだ。
ステラは既存の神々を超えるほどの高い神格を得た。




