ノーム
創世の女神アイアがこの世界を作った時のことだ。
女神アイアは、最初に大地を作った。
惑星の中心には頑強な核を配置して重力を発生させた。
大地の表面には様々な元素を配置した。
惑星の内部には重力がかかって自然と熱が発生し、
マグマとなって大地の表面から噴き出した。
これが最初の火だ。
マグマは大地の内部だけでなく表面も燃やした。
それで水が出来た。
これが最初の水だ。
大地の表面が燃えた時、水以外に空気もできた。
空気は密度の高いところから密度の低いところに流れた。
これが最初の風だ
水は低いところに溜まって海になった。
海にマグマが流れ込んで水分が蒸発し雲となり、
雲は風によって揺らされ静電気が発生した。
静電気が大地に向かって流れた。
これが最初の雷だ。
雷が海に落ちるとき、空気中の二酸化炭素を巻き込んだ。
その結果、多種多様な有機化合物が出来た。
それが繰り返されるうちに、
海にアメーバのような生命が生まれた。
ぼんやりこの世界を眺めて、
暇を潰していた女神アイアは
生命の発生に気づいて驚いた。
そしてあらためて気づいた。
女神アイアが意図して作ったのは最初に作った大地だけだ。
大地さえ作ればいいと。
手間をかけるなら大地だと。
大地に比べれば、他は放置していいと考えた。
つまるところ女神アイアは面倒くさがりだった。
そして大地を管理する種族としてノームを作った。
ノームに大地の管理を任せれば、
何もしなくていいだろうと考えたからだ。
楽をするためにノームを作ったのだ。
ノームは大地の役に立とうとした。
大地を耕した。
しかしそれは単純すぎた。
変化の激しい状況下ではほとんど無意味だった。
ノームは大地を耕すことを繰り返すだけなので
女神アイアはすぐ飽きた。
とりあえずこの世界を放置して、
少しの間眠ることにした。
女神アイアは寝ぼすけだった。
女神アイアが眠りから覚めた時、
生命は劇的な進化を遂げていた。
この世界にはエルフとドワーフとホビットと人間
という女神アイアの知らない種族が存在していた。
神格を得ているものも存在し、
勝手に神を名乗っていた。
知らぬうちに女神アイアは置いてけぼりになっていた。
ノームで神格を得ているものは存在しなかった。
ノームは最初の種族でありながら
女神アイアと同様に置いてけぼりだった。




