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石壁地帯

第六階層には森林地帯と石壁地帯がある。

オレたちは今、第六階層の迷宮別荘で会議している。

テーマは石壁地帯に生息するジャイアントスパイダー攻略。

オレとしては胴体を回収したい。

ドワーフの里に持っていって糸にしてもらうと良い糸になるんだよ。

それで今回は、できるだけオーバーキルしたくないんだ。

「効率的じゃないと思うわ。」

「ちょっと贅沢な要望な気がしますぅ。」

「蜘蛛なら火魔法で焼き尽くしたいです。」

そうなんだよ。

わかる。

「ジャイアントスパイダーが何匹いるか

調査してから判断しましょう。」

ルカ!

そうだよね!

「おそらく500匹程度だ。」

ゲイルが即答しマーチが頷いた。

「いきなり500匹全部を一網打尽はできんのう。

少し戦ってみてから判断するのが良いじゃろう。

ワシらはジャイアントスパイダーの生態をまだ知らぬ。

生態を知りたいところじゃ。」

そうだな、ガンテツ。

「いろいろな局面に対応できるよう準備を整えて、

一回ジャイアントスパイダーと戦ってみよう。」

ゲイルがまとめてくれた。

みんなが頷いた。

・・・

なあ。あれがジャイアントスパイダーか?

「せやで。」

「けっこう大きいだろう。」

いやいやいや。

蜘蛛なら座布団サイズより上を大きいと表現するだろ?

それが異世界小説テンプレだろ?

あれは15cmサイズ。手のひらサイズだから。

「わいは蜘蛛が苦手や。

そんなにデカいなら逃げ出してるで。」

「蜘蛛はオレも大嫌いだ。現時点で逃げたい。」

あちゃあ。

ジャイアントという言葉の認識ギャップだな。

この蜘蛛をジャイアントスパイダーと言うならさ。

フロストジャイアントはどういう大きさなんだよ。

わけがわからなくなるぞ。

・・・

なんでこの蜘蛛は、たくさん集まって、

平地に整然と並んで、しかも腹を見せてるんだ?

「わいにもわからん。

前見た時は石壁に張り付いとったで。

なんでやろな?」

「全面降伏しとるんじゃ。」

マーチの疑問にガンテツが答えた。

(コーサンシマス!)

(オテアゲ!)

(ヘルプミー!)

蜘蛛からオレに向かって次々にテレパシーが届く。

この蜘蛛は知性を持っているのか?

(この蜘蛛たちは知性を持っています。

この蜘蛛たちは先日のオオカミ殲滅を見ていました。

逃げることもできないと知り、命乞いをしているのです。)

オレの炊事スキルもといアインが答えてくれた。

知性を持つモンスターか。

殺すのは気がひけるな。

(ジャイアントスパイダーはモンスターではありません。

昆虫の仲間、節足動物です。)

うそっ。

だってダンジョンに生息してるじゃん。

(何者かによってダンジョン内に連れてこられたものと推測します。)

オレはアインに教えてもらったことを

そのままパーティ全員に伝えた。

・・・

「経験値の量次第だな。

倒して得られる経験値が少ないなら、俺は見逃してもいいと思う。

それに、ウノが胴体を欲しいなら殺すしかないな。」

ぐっ。

ゲイル。正論だよ。

損得ではたしかにそうだ。

でもさ。

知性を持っていて降参してるんだぞ。

オレは降参している相手を殺せないよ。

オレは胴体を諦める。

「ウノ。それは偽善よ。」

ステラがばっさり。

「ええやん。実際のところ経験値はどうなん?

ウノのスキルなら知ってるんちゃうか。」

(調査します…判明しました。

ただの節足動物なので倒して得られる経験値はゼロです。)

ほら!

経験値ゼロだって!

見逃し決定だな?

みんなもそれでいいでしょ?

「私には納得できません。」

ルカ。

だって命を無駄に奪うのは良くないだろう?

「ウノは本心では胴体が欲しいはずです。胴体は無駄なのですか?」

むむ。

だってそれは…。

…いや。よく考えるんだ。

ルカは本気の目だ。

安易に回答できない。

オレはジャイアントスパイダーの胴体が欲しいのか?

違う。

オレが欲しいのは糸だ。

良い糸が欲しい。

胴体は不要だ。

全面降伏の証として、良い糸を貰うのはどうだ?

「なるほどのう。理にかなっとるわい。」

「さすがウノです。その答えには納得です。」

ガンテツとルカが褒めてくれた。

「交渉はウノに任せていいな?」

ゲイルが話をまとめる。

もちろん。オレに任せてくれ。

・・・

「ワカリマシタ。ナルベクヨイイトヲ、

タスケテモラッタカズダケ、オサメマス。」

「ヤッタ!ヤッタ!」

「コレデシナナイ!」

良かった。オレも良い糸を貰えるから嬉しいよ。

WIN-WINだな。

あれ?

オレたちが第七階層に進んだとしてさ。

第六階層に来た他の冒険者はどうするだろうな?

「蜘蛛は殺されるやろなあ。」

「えっ?それってなんか、

蜘蛛さんを騙してるみたいじゃないですかぁ?」

リリーナ。

まさにそれだ。まずいな。

どうしよう。

「エルフの里に伝わる緑色の染色剤はどう?」

「エルザ。エルフ以外にそれを渡すのは禁止されているわ。」

エルザの提案をステラが止めた。

「ならエルフのアタシが使う分にはいいわよね?

アタシが蜘蛛を緑色に塗ってあげる。」

緑色に塗ったらどうなるんだ?

「アタシの知る限り、緑色の蜘蛛はいないわ。

新種のグリーンスパイダーだと嘘をつくの。

そうね。絶滅が危惧されている有益な蜘蛛よ。」

マーチが後を引き継いだ。

「第六階層の入り口に立て看板を立てようや。

グリーンスパイダーはモンスターではありません。

性格は温厚で人に危害を与えることはありません。

絶滅危惧種のきわめて珍しい生き物です。

こんな感じやろ。」

「いいわね。」

エルザとマーチのアイデアでまとまった。

マーチの言葉通りの立て看板を、

ガンテツが丁寧な装飾を入れて

きれいに文字を彫り込んで作ってくれた。

オレも絶対に抜けないように立て看板と一体化した土台を

ストーンオブジェクトで作った。

これなら立て看板を壊されることはそうそうないだろう。

ステラがエルフの里から秘蔵の染色剤を入手してきた。

エルザは水魔法で丁寧に蜘蛛を緑色に塗る。

この染色剤は生体専用の特別製で、

たとえ蜘蛛が脱皮したとしても色が残るのだという。

脱色するには専用の脱色剤が必要になるとのこと。

この蜘蛛たちはもうグリーンスパイダーだ。

これで一安心だ。

オレがもっと強くなって、

瞬間移動とかが出来るようになったら

ダンジョンから外に連れ出してやるからな。

それまで少し待ってくれ。

これで第六階層クリアだ。

やったぜ!

次は第七階層だ!

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