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逃げ場

オレたちの家で第六階層の攻略方法を検討している。

「エルフの里では、オオカミ退治は木の上から弓矢で一斉射撃。

それが定石なのだけれど、今回は無理ね。」

ステラの言う通りだ。

エルフは弓の達人が多いから可能でも、

オレたちの中で弓の達人はステラだけだからな。

今回は参考にできないだろう。

「ゴブリン部屋で使った粉じん爆発も無理ですよね。」

「そうだな。」

ミラの話にゲイルが頷く。

たしかに密閉空間ではないからな。

せっかくのオガクズが散ってしまい、

爆発するほどの濃度では舞わないだろう。

「オークの王国での唐辛子はどうや?

あれは汎用性が高いように思うんやけど。

オオカミは嗅覚が鋭敏だしいけるんと違うか?」

マーチの意見。

いちおう候補のひとつになるだろうな。

「水で濡らしてから稲妻杖連発で

感電させるというのは無理でしょうかぁ…?」

リリーナの意見。

「ぼんやり化した小型ゴーレムに魔法を撃たせるのも、

オオカミとは相性が悪い気がします。」

「たしかにオオカミは視覚じゃなくて

嗅覚で感知しているからオブスキュアによる

ぼんやり化は意味がないわ。」

ルカの意見にステラが同意した。

「俺たちのこれまでの戦術の中では、

唐辛子が一番現実的ってことか。

でも正直、これは、というものは無いな。」

ゲイルがまとめた。

オレとしては、新戦術が必要な気がする。

今のところ、アイデアは無い。

「アタシ、オオカミ退治にひとつアイデアがあるわ。」

エルザ。

もしかして新魔法か?

「昔からあるメジャーな火魔法なんだけど、

アタシもミラも覚えていないの。

ファイアウォールを使うのよ。」

ファイアウォールは火の壁を作り出す火魔法で、

継続的にダメージを与えることができる。

ふむふむ。

みんな興味津々だ。

エルザは新しい木板を幾つか並べてエンピツで描き始めた。

「話を簡単にするために、東西南北の4方向にするわね。

アタシたちは東を背に、西に向かうと仮定するわ。」

ゲイルが頷く。

確かに第六階層の迷宮別荘から森林地帯に攻め込むなら西に向かう。

エルザはきっと第六階層の状態をマーチから聞いていたのだ。

・・・

「まず、ウノにストーンウォールを使って東に石壁というか

砦を作ってもらう。これはありがちな戦術だし問題ないわよね。」

オレは頷く。

後ろに回り込まれないように東に防御用の砦を作る。

問題ないと思う。

「西はオオカミを呼び込むのだから開放しておく。

これも問題ないわね?」

当然だ。みんな頷く。

「残りの北と南にファイアウォールの魔法を使うわ。

オオカミがファイアウォールを無視して突っ込んでくるかしら?」

どうなんだろう?

ガンテツが答えてくれた。

「オオカミは火を恐れる。これは本能によるものじゃ。

火を無視して突っ込むことは出来ん。

火を飛び越えることも出来んじゃろう。」

エルザが頷き、話を続けた。

「ウノは砦を作ることに集中できる。

アタシとミラは北と南にファイアウォールを作る。

ステラとリリーナとルカは開放部の西に集中できるわ。

まっすぐ突っ込んできたオオカミはゲイルとマーチが対応する。

ガンテツはオオカミを観察して指揮ね。」

そうか。

オオカミは飛び道具を持っていない。

「砦を築いて少しずつオオカミの縄張りを侵食するんやな?」

マーチの言葉にエルザが頷いた。

なるほど。

よく考えられていると思う。

オレは砦を何メートル刻みで作ることになるんだ?

「50m刻みくらいかしら?」

オレの最大MPだと1日に砦5個作って250m進む感じだな。

「ルカのパワーオブマナがあっても?」

忘れていた。

ルカのパワーオブマナがあれば、1日に砦10個500mはいけそうだ。

もっといけるかもしれない。

結構いいんじゃないかな?

オレたちに有利な砦を用意して徐々にオオカミを追い詰める。

そういうイメージだね。

「縄張りを荒らされ逃げ場を失ったオオカミはどうなるかしら?」

ステラはオオカミ攻略の最終局面を描き始めている。

エルザと目を合わせてニヤニヤしている。

「ともあれ実験じゃな。」

ガンテツの言葉にみんなが頷いた。

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