第六階層
ゲイルとマーチが、第六階層の索敵と偵察から戻ってきた。
「だいたいの状況は把握できた。攻略の準備に取り掛かれるだろう。」
ゲイルの言葉に続いて、マーチが複数の木板を並べる。
「第六階層は石壁迷路地帯と森林地帯が混じっとる。
石壁地帯はジャイアントスパイダー、
森林地帯はオオカミのなわばりや。」
おお。タイムリーだ。
ジャイアントスパイダーの胴体を確保せねば。
「森林地帯は迷路になっているのかしら?」
エルザからの質問。
「森林地帯は迷路にはなっていないで。
しかし平坦ではなく山や崖があり、一筋縄ではいかんやろう。
第六階層は第五階層までとは違い、天井までかなり高さがあるんや。
光源として疑似的な太陽があるで。それくらい天井が高いんや。」
マーチの説明は分かりやすい。
「第五階層の真・セーフエリアと同様に、
拠点を作って攻略したいと俺とマーチは考えている。
みんなはどうだろう?」
ゲイルよ。
オレも拠点を作ってから第六階層を攻略したい。
みんなも頷いている。賛成のようだ。
オレの土魔法の出番だな。
スキルポイントを消費して、
土魔法のピットとストーンウォールを覚えた。
・・・
あと、第五階層と第一階層を繋ぐ転送門みたいなのがあるといいよな。
真・セーフエリア同士を繋ぐとか。
オレには見当がつかないけど、転送門のこと、誰か知らないかな。
「あのぅ。転送門については、元々私が担当してたので
私から冒険者ギルドに申請書類を提出しておきましたぁ。
近日中に冒険者ギルドで設置してくれるそうですぅ。」
ありがとう。
リリーナって本当に気が利くよな。
ゲイル、パーティのリーダーである君からもお礼を言うべきだと思うぞ。
「リリーナ、君に感謝だ。本当にありがとう。」
ゲイルはオレの言葉を素直に受け止め、
リリーナにお礼を言った。
リリーナは顔を真っ赤にして、何度も頷いた。
リリーナはゲイルに惚れているが
そのことにゲイルは気がついていないようだ。
・・・
ゲイル、オレ、ガンテツの3人で第六階層に降りてすぐの場所に
迷宮別荘を作る。このあたりは石壁地帯と森林地帯の境界だ。
オレが土魔法のピットとストーンウォールを使って
基礎となる石床と側壁の石壁を作る。
屋根はゲイルが木を伐り出し、ガンテツの木工秘伝で加工して作る。
あっというまに迷宮別荘が完成した。
50平方メートルくらいの平屋建て。
次は内装。
まずは4畳半くらいの風呂場を作った。
女性陣からは風呂場は必須と念入りされたからな。
オレも風呂は大事だと思う。問題ない。
トイレも作った。この世界では平均より上のスライムトイレ。
キッチンは当面作らない。寝室も作らない。
リビングというか広間でなんとかなるだろう。
どうせみんな一緒に布団を並べて寝るだろうしな。
・・・
迷宮別荘作りも一段落したのでゲイル、オレ、ガンテツの3人で
第六階層を見て回ることにした。
第六階層の石壁迷路地帯はジャイアントスパイダーの縄張り。
これまでの階層での戦い方でなんとかなるだろう。
問題は森林地帯の攻略だと思う。
森林地帯でのオオカミとの戦いか…。オオカミはスピード特化なのか?
「スピード特化に近いな。スピード重視でバランスがいい。
何より群れているのが恐ろしい。
一匹では大したことが無くても、群れることで何倍も手強くなる。」
そういうパターンか。
オオカミ一匹一匹が単体で思考しているわけでなく、
群れ全体で思考を共有しているわけだ。
一種のテレパシーだな。
言葉に実感がこもっているので、
ゲイル自身が恐ろしさを体験したんだろう。
オオカミの弱点となる属性は何なんだろう。
「オオカミの弱点は、圧倒的に火じゃよ。」
スピード重視のバランス型モンスターに、ファイアボールが当たるかな?
「普通に戦っては、ファイアボールが当たることはないのう。
ファイアストームでも逃げられるじゃろう。
一網打尽にしたいなら、パニック状態にするか
どうにかして逃げ場がない状態を作り出すしかないのう。」
この森林地帯で逃げ場がない状態ね。
オレのストーンウォールが使えるかな?
うーむ。
ちょっと無理だろう。
「ストーンウォールに頼らず、みんなで考えよう。」
ひとまずオレたちの家に戻ることにした。




