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エビチリ

「唐辛子で目が痛くなり涙が出る。

鼻や口に入るとせき込む。そういう話だったわよね。」

エルザからの指摘。

そうだな。

まあ経験しないとわからないかもしれない。

「俺も経験したことあるし、

マーチも料理の時に経験してる。

たぶん大丈夫だと思うぞ。」

とゲイル。

唐辛子の怖さを経験している者は大丈夫だが、

経験したことがないと心配だよな。

実験しよう。

ただオレたち自身が直接実験台になるのは嫌だ。

ガンテツには目を防御するゴーグルを作ってもらっている。

オレが鼻と口を防御するマスクを縫っている。

それらを使い、モンスターに犠牲になって貰おう。

「そうだったんかい。

準備を進めてくれていたんやな。

実験はどこで、いつやるんや?」

「第三階層の人型モンスター地帯がいいだろう。」

ゲイルが場所を考えてくれた。

ゴーグルとマスクは明日には揃うぞ。

実験は2日後だな。

・・・

ゴーグルはガンテツが良いものを仕上げてくれた。

木の枠に塩化ビニルのような透明な板をはめ込んでいる。

ガラスではなかった。

この透明な板は何の素材だろう?

「虫モンスターの甲殻素材じゃ。」

げっ。

「ガラスだと割れて破片が目に入ったら一大事じゃ。

嫌かもしれんが虫モンスターの素材が一番じゃ。

たとえ割れたとしても小さな破片にはならん。」

そうなんだ。

ガンテツが一番の素材だと言うなら我慢する。

・・・

マスクはオレの縫い仕事。

きれいな布を数枚重ねて折り畳み、プリーツにした。

鼻から顎まで覆うことが出来る。

鼻の部分には針金を仕込んで立体構造とし、

隙間を作らないようにした。

耳にゴムをかけるのは諦めた。

上下2本の紐をマスクの左右に縫いつけ、

後頭部および首の後ろで紐を結ぶようにした。

売り物にするくらいのつもりで丁寧に縫った。

そのおかげだろう。

オレは裁縫スキルをゲットした。

オレは気を良くして

唐辛子を入れる袋も縫うことにした。

裁縫スキルの効果のおかげで、

「当面は袋として使えるが、

強い衝撃を与えるとすぐにバラバラになる中途半端な袋」

という絶妙なバランスの袋を縫うことができた。

・・・

オレたちは第三階層の人型モンスター地帯に来ている。

実験メンバーはステラを除いた全員。

ゴーグルとマスクで完全防備だ。

1体の小型ゴーレムに唐辛子入りの袋が入ったカゴを

背負わせて、ウインドストームを持たせている。

袋はオレが手縫いで作った特製品。

さあ小型ゴーレムよ。

あいつらに向かって歩き出せ!

とっとこ。とっとこ。

小型ゴーレムは人型モンスターに向かっていく。

今回の犠牲者はコボルト15匹だ。

コボルトは小型ゴーレムに切りつけた。

小型ゴーレムは頭部に致命傷を負って倒れこんだ。

袋がやぶれ唐辛子がこぼれる。

ゴーレムは命令通りワンドオブウインドストームを撃った。

唐辛子の粉が舞う。

コボルトは最初は単純にびっくりしていたが、

しばらくすると叫び声をあげた。

目を抑え、せき込む。

地面にうずくまり痙攣する。

オレたちは近づいて観察した。

「完全に無力化できている。すごいわ。」

エルザの評価は高い。

実験成功だ。

リリーナが水魔法で床とコボルト達を濡らして、

エルザとミラが雷魔法で蹂躙した。

・・・

今晩は唐辛子の実験成功の打ち上げパーティをしよう。

街で食材を仕入れよう。

ゲイルとマーチも賛成した。

街を歩いているとゲイルが露天商に目をとめた。

「ウノ。あれはエビじゃないか?」

でかいエビだ。

ブラックタイガーだろう。

新鮮に見える。

「このエビは幾らだい?」

ゲイルが尋ねた。

「これは1尾1ゴールド!と言いたいが売れ残っていてね。

この街では虫の一種だと勘違いされてしまうんだ。

半額でいいよ。」

2匹で1ゴールドか。安い。全部買ってもいいな。

その代わり、もう少し安くしてくれると嬉しい。

「全部買おう。その代わり少し安くしてくれ。」

ゲイルが交渉してくれた。

「全部で55尾ある。20ゴールドで売ろう。」

「よし買った。」

さすがゲイル男前だぜ。

ゲイルはエビを手持ちの袋にざざっと入れ、

アイテムボックスにしまってくれた。

やったぜ!

「おう、やったな!」

オレとゲイルはガシっと腕を組んだ。

「やけに喜んどるけど、それって美味いんか?」

マーチはエビを知らないらしい。

・・・

片栗粉が欲しいな。

芋を擦り下ろそう。ああ、おろし金が無いや。

あとでガンテツの仲間に相談しよう。

取り合えずすり鉢で擦り下ろそう。

見かけた時に買っておいたんだ。

スリスリ。

「カタクリコってなんや?」

マーチから質問。

とろみをつける調味料だよ。

見てろよ。スリスリ。

芋を全部擦り下ろしたぞ。

おろした芋をきれいな布に入れて

ギューッと堅く絞って水分を出す。

すり鉢に溜まった水分は茶色く濁っているように見える。

だがしばらく待つと下のほうに白い粉が溜まるんだ。

これが片栗粉だ。芋のデンプンだよ。

これは様々な料理で使える。

とろみをつける調味料なんだ。

そうだ!

片栗粉は保存可能だし様々な料理で使える!

一気に料理のレパートリーが増えるぞ!

・・・

とりあえず料理に戻ろう。

擦り下ろした芋は、丸めて芋団子にしてくれ。

そうそう。それくらいの大きさでいい。

エビの下ごしらえ。

頭を取って殻を外し、足も取る。尻尾も取ろう。

捨てないで。

お湯で煮れば良い出汁になるから。

エビの身の背中に包丁を入れて背ワタを取る。

これは食べない。

エビの身に塩をまぶしたり片栗粉をまぶして

一旦洗ったりする手順があるんだが、

塩も片栗粉も貴重品だから省略しよう。

卵白を絡ませるのも無理。

エビを素揚げしよう。

芋団子も揚げよう。

揚げているうちに、ソース作りだな。

完熟したトマトを手で握りつぶして

タマネギのみじん切りを加え、塩と酢、

そして唐辛子を投入し味を調える。

味見。

うん。ピリカラだ。悪くない。

これに水溶き片栗粉でとろみをつける。

チリソースの完成だ。

ほらマーチ。

この赤いソースはとろとろだろう?

少し味見してみてくれ。

「ピリカラで美味い。食材によく絡むし、ええな。

いろいろ工夫できそうや。」

素揚げしたエビと揚げた芋ダンゴをチリソースに加えて、

エビチリの完成だ。

・・・

エビチリはみんなに大好評だった。

また露天商がエビを売っていたら、今度は

フリーズドライのエビチリの開発に挑戦してみたい。

それにマーチが、片栗粉レシピをいろいろ

開発してくれるに違いない。

「わいは冒険者や。料理人やないで。」

うん分かってる。

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