パラメーター
「おい、ウノ。起きろ!朝だぞ!」
む?なんだ?
「凄いぞ。今でもスタータスにSTRに+1、AGIに+1と表示されてるんだ。」
起き抜けで、まだ頭が働いていない。
オレはぼーっとした頭で周りを見渡した。
馬小屋だ。
どういうことだろうな?
「パラメーター上昇は一時的なものじゃないってことだろう。」
だんだん頭がはっきりしてきた。
オレは昨日、異世界転生したんだった。
そしてオレ同様に異世界転生者であるゲイルと一緒にダンジョンに入った。
昨晩はダンジョンから出て、宿屋の馬小屋に忍び込んで寝た。
寝る前にゲイルにマッサージしたんだった。
ゲイルが興奮して語っているのはマッサージ術の効果の話だった。
はいはい。
マッサージしたらゲイルのパラメーターが上昇したよね。
それが一時的か、そうじゃないかってことね。
なんにせよ、眠ったらリセットというわけじゃないのは良いことだ。
でもな。
永続的って決まったわけじゃないだろう。
ぬか喜びは良くないぞ。
例えばマッサージしてから24時間だけ持続するってケースもある。
今晩にならないとわからないな。
「そうか…。24時間か。そうかもしれないな。」
とりあえず、今すぐマッサージしてみるか?
「ぜひ頼むっ!」
朝っぱらからゲイルをマッサージすることになった。
もみもみ。
ふぁーあ。
まだ眠いな。
オレは異世界で朝っぱらから男相手に何をやってんだ?
・・・
朝っぱらからゲイルをマッサージして追加で分かったこと。
腕のマッサージで変化なし。
足のマッサージで変化なし。
つまり昨晩と同じ状態。
「残念だな…。」
まあ。
パラメーター上昇の効果は累積しないのかもしれないな。
所詮マッサージ術なのだから、そんなもんだろう。
24時間なのか、もっと長時間なのか、
どのタイミングでパラメーターがリセットされるのか不明だしな。
やっぱり今晩にならないとわからないな。
そしたらまたゲイルをマッサージしてやろう。
言葉は悪いが人体実験だ。
実験を続ければマッサージの効果が判明するだろう。
腹がググーッと鳴った。
ともかく朝食を食おう。
・・・
朝食は屋台で買った塩スープと黒パン。
塩スープは塩っ辛く、黒パンは堅くて酸っぱかった。
率直に言って、両方ともマズかった。
メシがマズいのは異世界モノのテンプレだよな。
パーティに料理自慢の転生者がいて
料理スキルで無双してくれるのがいいな。
ほら。
聖女でポーション作りもできて料理も上手とかさ。
奇跡の料理人と呼ばれるほどの料理スキルとかさ。
元の世界のネットスーパーで買い物できるとかさ。
「はははは。」
ゲイルに笑われた。
きっとオレと同じく異世界転生モノの小説を
読んだことがあるんだろう。
ゲイルとオレは、昼食用に八百屋でリンゴを2個ずつ買った。
1個2ゴールドだった。
オレはリンゴ2個をアイテムボックスに入れた。
それからマッピング用として木板10枚とエンピツ3本、
ナイフ1本、水筒を3本、きれいな布を3束、
毛布1枚を買ってアイテムボックスに入れた。
いずれも冒険者向けのお約束アイテムだろう。
しめて200ゴールド弱の出費。
きれいな井戸水がタダで汲めたので水筒に入れた。
きれいな水がタダというのは助かる。
・・・
今日もダンジョンに入る。
第一目標は、ゴールド稼ぎの方法を確立することだ。
初期資金として2000ゴールドを貰っていたので
今は大丈夫だが、金欠になってからでは遅い。
昨日の戦闘ではドロップアイテムもゴールドも
まったく稼げなかった。
どうすればゴールドを稼げるのか知りたい。
モンスターを解体して魔石集めとかは…血とかエグそう。
できれば避けたいな。
他の冒険者に話を聞くのが一番なのだが
宿屋に泊まっていた冒険者は既に出発してしまっている。
オレたちは、昨晩は馬小屋にこっそり忍び込んで寝たので、
宿屋の主人に質問するのも気がひけた。
街を行き交う人々に質問しまくるのも気がひける。
ちなみに、さっき買い物した屋台、八百屋、道具屋に戻って
聞いてみたが知らないとのことだった。
まあ。
ダンジョンに入れば他の冒険者に会えるだろう。
彼らに聞けばいいと気楽に考えている。
その冒険者のパーティに空きがあれば、
仲間に入れてもらえるかもしれないしな。
・・・
第二目標は、ダンジョン内にセーフエリアがあるかどうかを知りたい。
セーブ出来るか回復できるか、そこで宿泊可能かどうか。
ゲイルもオレもアイテムボックス持ちだから
ベッドを設置できる場所があれば、かなり助かる。
毎晩ダンジョンから出て、宿屋に泊まるというのも馬鹿らしいからな。
もしもセーフエリアがあって快適に宿泊できるようなら
ベッドを買おう。ゴールドも節約できるし時間も節約できる。
いわゆる迷宮別荘というやつですよ。
浪漫あるぜ。
まあ。
ちょっと虫がいい話だよな。
あくまで浪漫だぞ。




