オークの王国
時は遡る。
パーティが第五階層に降りてセーフエリアを発見し、
ウノがセーフエリアの床を拭き掃除していたとき、
ゲイルは隠蔽スキルを全開にして、第五階層を索敵していた。
その結果は、ゲイル自身も信じられないものだった。
「第五階層にはオークの王国があり、
オークキングを頂点に少なくとも1000匹以上のオークが暮らしている。」
オーク1000匹。
とりあえず、冒険者としての先輩であるガンテツとステラだけには報告した。
ガンテツとステラからは、ウノとミラに教えるのはまだ早いということだ。
特にウノは、アンデッド退治と虫モンスター退治で柄にないほど頑張ったばかり。
このまま休みなしではダンジョン攻略が嫌になる可能性があるので、
当面は教える必要は無いとのことだった。
ステラからお願いして、第五階層の真・セーフエリアに風呂を
作らせようと思っているとのことだ。
それはいいとガンテツも賛成した。
オークの王国はウノが英気を養ってから考えればよいと。
・・・
ゲイルは考える。第五階層の真・セーフエリアが整備されれば、
第一階層で真・セーフエリアを拠点にしたときと同様に、
足場を固めてじっくり攻略できそうだ。
だが1000匹のオーク達は、ひとつの部屋で暮らしているのではない。
ゴブリン部屋のときのように一網打尽には出来ないだろう。
ある程度までは小規模戦闘で、少しずつ数を減らすしかない。
どうすればいいのだろうか?
しかしゲイルは、自分ひとりで悩むのをやめた。
自分ひとりで考えるよりも、パーティ全員のアイデアをまとめ、
みんなが納得できるプランを実現するのが大事だと思うようになった。
そうすればひとりで背負い込まないで周りの協力を得られる。
リーダーとしての大きな成長だった。
・・・
第五階層の攻略より、真・セーフエリアの風呂場の整備や
蒸し器の開発が優先されたことで
ウノとミラにはずいぶん気分転換になったようだ。
また冒険者ギルドの窓口のルカが新メンバーとなった。
ルカが近くにいるだけで、ウノは幸せなようだ。
いっぽう、ステラがビジネスで忙しくなっている。
ゲイルは、リーダーとして何かできないか考えた。
更にメンバーを増やすべきだろうか。
ステラよりもルカに相談したほうがいいかもしれない。
・・・
ルカがゲイルの部屋をノックした。
「ゲイル。ちょっといいですか?相談があります。」
「入ってくれ。俺もルカに相談したいことがあるんだ。」
ルカとゲイルの相談は、同じ内容だった。
「ルカの従姉妹のリリーナが、パーティに入ってくれるのか?」
「ステラがいる時は、リリーナは留守番で構わないって
言ってくれてるし。リリーナは回復要員としても役立つと思うの。
水魔法はウォーターヒールという回復魔法があるから。」
「ふむ…。水魔法が使えるというのはすごくいい。
留守番でも構わないという心意気も気に入った。」
「他に水魔法としてはウォーターカッターが使えるわ。
あと、中級のオリジナル魔法でドカンと水の大砲を撃てるわ。」
現在ゲイルには腹案がある。ステラの風の上級魔法より
リリーナの水の中級魔法の方がマッチしているだろう。
「リリーナには俺から勧誘に出向こう。」
「いいの?」
「一応、みんなの了解を得てからにしようか。
ルカの従姉妹ならみんな大歓迎すると思うけど、念の為な。」
・・・
ゲイルがルカの従姉妹のリリーナを勧誘したいと
メンバーに伝えたところ、
ウノ、ミラ、ステラ、ガンテツは、リリーナを大歓迎すると言った。




