結集
今日はバッタ駆除の1日目だ。
オレたちカムナビ温泉に住む神々と温泉合宿所の運営メンバー。
それからプロレス団体カムナビのプロレスラー全員は
カムナビ温泉の玄関近くに集まっている。
創世の女神アイアが迎えに来てくれるまでには、まだ時間がある。
とっととオレは、オレの仕事をしよう。
マッサージ術スキルの付与だ。
・・・
おーい。
セイヤ、オインク、ラビィ、クルマニー、ポピー。
それからプロレスラーの土方、坂本。
合計7人はオレの元に来てくれ。
うん。
ありがとう。
これから7人には、オレからマッサージ術スキルを付与したい。
知っての通り、オレとモモカとユカリ先輩が持っているのと同じく、
マッサージでHPやMPが回復するようになる便利なスキルだ。
毎日マッサージを継続すればパラメーターが毎日少しずつ上昇する。
間隔は20時間~28時間以内だ。
このスキルは非常に便利だが、一長一短がある。
デメリットがあるんだ。
ん?デメリットとはちょっと違うか。
なんというか…。面倒に思う時があるね。
周りからマッサージしてほしいと頼まれる。
それは嬉しいことでもあるんだけどさ。
毎日、毎日。ずっとだぞ。
けっこう大変だ。
それからパラメーターが自分だけ置いてけぼりになる。
自分は弱いままだ。オレはそれで悩んだ時期があった。
だから断ってもいい。
今呼んだ7人はオレなりに適性を見て選んだ。
断っても構わない。
欲しくないスキルを与えられても迷惑だろうから。
それで、どうする?
一時的に保留でもいいぞ。
「俺は欲しい。ウノさんの一番弟子だし興味がある。」
「僕も欲しいです。五番弟子ですし、そのスキルは価値があります。」
「アタイも欲しいな。将来はシロ様のお嫁さんになるし!」
「旅の途中で相方の足が疲れたらマッサージすればいいべ。オラも欲しいべさ。」
「オラも。夢のようなスキルだべ。」
「欲しい。喉から手が出るほどに。」
「選択いたし申候。」
わかった。
順番にスキルを付与する。
それから坂本は申候口調だったっけ?
いつも無言だったからオレ今まで知らなかったよ。
…。
しばらくしてオレは7人にマッサージ術スキルを付与し終えた。
そのタイミングで女神アイアが空間転移して、ここにやってきた。
ナイスタイミング。
ルカが女神アイアに目くばせした。
「それでは、アンチローカストへ転移します。」
オレたち全員が頷くと、空間まるごとくるりと反転した。
直後、オレたち全員は草原にいる。
蝗害対策巨大施設「アンチ・ローカスト」の目の前だ。
空間転移を初体験したプロレスラーたちはどよめいている。
女神アイアは、くすりと笑うと、今度は1柱だけでくるりと反転した。
別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
・・・
ハンターギルド長であり武の神でもあるゲイルと、
鬼族のハンターたちが、女神アイアと共に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
やあ。ゲイル。
リリーナは元気にしているぞ。
腰痛も痛みが減ったってさ。
ささ、施設に入ってくれ。リリーナが待ってる。
・・・
教育の女神エルザと鬼族の魔法学校の生徒たちが、
女神アイアと共に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
やはりまた、別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
やあ。エルザ。
お腹の子は元気か?マーチからは順調って聞いてる。
「ええ。順調よ。」
今回は魔法学校の生徒たちに手伝って貰えて助かるよ。
ありがとう。
「こちらこそ、生徒にとっては魔法を学ぶ良い機会だわ。」
そう言ってもらえると気持ちが軽くなる。
マーチは施設の中だけど、ちょっと待っててくれ。
まだまだ助っ人が来るだろうからさ。
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちはどよめいている。
(ハンターが多いね…。)
(あそこにいるのは天才沖田様よ!)
(プロレスラーの沖田様?)
(はぁとさま~!)
(キャー!関節破壊者土方様もいる!」
(きゅんさま~!きゅんさま~!)
(…あれ?あれってセイヤじゃない?)
(…かなりカッコよくなってる。セイヤカッコイー。)
(セイヤって前からカッコよかったよ?)
(青臭さが抜けたね。)
(前はドン引きするほど青臭かったからなー。)
男子生徒たちはどよめいている。
(ハンターが多いな…。)
(あの恵体ウサちゃん。スゥーパァーダイナマイトゥー!)
(天使だ…。)
(バカヤロウ!天使というのはあの子豚ちゃんだろ!)
(…よく見ろ。アレは男の子だ。)
(たとえそうでも、男の娘になって貰えば解決する!)
(…そうか。アリだな。)
(…え?おまいら本当に?)
(おい見ろ!カムナビグーウール・カイジだ!)
(喰鬼カイジ!)
(DEATHMATCH or DEATH!今日はデスマッチか?)
(カイジぃ!カイジぃぃぃ!)
(うおおおおっ!)
ざわ…。ざわ…。
・・・
豚頭族の少年たちが女神アイアと共に草原に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
やはりまた、別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
やあやあ。みんな元気だったか?
おーい!オインク!
豚頭族のみんなが手伝いに来てくれたぞ!
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちはざわついている。
(子豚さんの群れだー!)
(なにあれー!カワイーイ!)
(ほんと食べちゃいたいくらい可愛いねー!)
(アンタの食べちゃいたいは、いろいろヤバいから勘弁して。)
(ふふふ…。上の口から食べようかな?それとも…?)
(…だから、ヨダレを拭きなさいってば。)
男子生徒たちはブルブルと震えている。
(天使…。ぶるぶるぶるぶる。)
(マジ天使…。ぶるぶるぶるぶる。)
(天使がたくさん…。ぶるぶるぶるぶる。)
(おぉぉぉっ…。天国は存在した!ぶるぶるぶるぶる。)
ぶるぶるぶるぶる…。
・・・
兎耳族の少女たちが女神アイアと共に草原に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
やはりまた、別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
やあやあ。みんな元気だったか?
おーい!ラビィ!
兎耳族のみんなが手伝いに来てくれたぞ!
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちはざわついている。
(なにあの超恵体軍団!)
(みんな、ウエスト細っ!)
(これがボーン!キュッ!ボーン!か…。)
(うらやまっ!)
(恵体で誇る鬼族を超えるなんて、ズルい!ズルい!)
(…。別にズルくはないでしょ…。)
(あんなにドデカいハンマーを持てるなんて、腕力も凄いね。)
男子生徒たちは硬直している。
(が…。)
(う…。)
(お…。)
シーン…。
・・・
エルフの少年少女たちが女神アイアと共に草原に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
やはりまた、別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
今度はエルフか。
おーい!ミラ!イース!
エルフのみんなが手伝いに来てくれたぞ!
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちは感動している。
(…魔法の神ミラ!)
(…魔法の女神イース!)
(…エルフ!)
(気品…!)
(上品…!)
男子生徒たちは感動している。
(…魔法の神ミラ!)
(…魔法の女神イース!)
(…エルフ!)
(高貴…!)
(華麗…!)
ふるふるふるふる…。
・・・
ドワーフの職人たちが女神アイアと共に草原に現れた。
女神アイアは間髪いれずにくるりと反転した。
やはりまた、別の場所にいる神々および人々を迎えにいったのだ。
今度はドワーフの職人か。
鋳造の匠もいるじゃないか。
やあやあ。お久しぶり。
鋳造の匠は無言で頷いた。
おーい!ガンテツ!
ドワーフのみんなが手伝いに来てくれたぞ!
職人の神ガンテツは、力こぶで腕の筋肉を誇る。
ドワーフの職人たちもムッキーッ!と力こぶで応えた。
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちは唸っている。
(あれが…ドワーフ!)
(あれが…職人!)
(あれが…匠!)
男子生徒たちはポカンとしている。
(ドワーフスッゲッ…!)
(ドワーフヤッバッ…!)
(ドワーフシッブッ…!)
(ドワーフカッコッ…!)
ポッカーン…。
・・・
神々が女神アイアと共に草原に現れた。
最後は神だね。
やぁやぁ。ありがとう。氷の神、宝石の神。
鍛冶の神も来てくれたのか。
パートナーの女神たちも一緒に来てくれて嬉しいよ。
土の神、雪の神、雨の神、霧の神。
オレも料理の神マーチと一緒に料理して、
精いっぱいもてなしするからさ。
バッタ駆除を手伝ってほしい。
もちろん、夜はバッタ駆除のことを忘れて、
ゆったりカムナビ温泉に入ってもらうつもりだ。
さあ。施設の中に入ろう。
・・・
鬼族の魔法学校の女子生徒たちは絶句している。
(あれが…神々!)
(さすが…神々!)
(さすが…エルザ先生!マーチ先生!ウノ先生!)
男子生徒たちは沈黙している。
(…神!)
(…女神!)
(…ウノ先生…。…神に…なりたいです…。)
・・・
「アンチ・ローカスト」施設内。
草の神は即席で仮設した壇上に登壇した。
あっ。転びそうになった。
ホッ、大丈夫だ。
転んで転倒したら危険が危ない。
(皆、バッタ駆除に集まってくれてありがとう。今回指揮を取る草の神だ。)
草の神は、何食わぬ顔で話し始めた。
堂々としている。
オレが神界で初めて見かけた時の草の神とは全く違う。
あの時はションボリ…。
やば。ゴホン…。
さーてっと。
仕事、仕事。
今のうちに風呂掃除と料理の下ごしらえを進めよう。
料理はマーチがてんてこまいだしな。手伝わないと。
やってやるぜ!




