廃棄品
マジックチャージというスキルは分かった。
魔法の杖ってのは消耗品。
消耗品ならアイテムボックスに大量に確保しておけば
運用回避できるんじゃないかな。
「俺とウノは異世界転生者だから
アイテムボックスを標準装備してるけど、ミラはどうなんだ?」
ゲイルの質問。
「え?ゲイルとウノは異世界転生者なんですか?
そしてアイテムボックス持ちなんですか?」
そうだよ。
説明してなかったっけ?
ステータスにはアイテムボックスというスキルの表示が
無いからうっかり説明を忘れてたんだな。
失敬、失敬。
ミラは異世界転生者じゃないんだね。
「僕はエルフの里生まれです。
家系的にINT偏重の虚弱体質でHPもMPも少なめなんです。
僕はアイテムボックスを持っていません。
アイテムボックスはすごく羨ましいです。」
そうなんだ。
遺伝とか体質とか人それぞれいろいろあるよな。
人生いろいろだ。
それにな、オレはミラの事を羨ましく思う部分がある。
エルフは一番人気らしく、
せっかくの異世界転生でも、オレは選べなかったんだ。
希望したんだが神様に断られたんだ。
オレはミラが羨ましいぞ。
かたやアイテムボックス持ちを羨ましく思い、
かたやエルフという種族を羨ましく思う。
そういうことが人生いろいろってことかもな。
オレとミラは感慨深く頷きあった。
そこにゲイルの独り言。
「そうか…。魔法の杖は消耗品か…。
よく考えたら俺の場合も剣が折れたら戦えなくなる。
ショートソードを追加で買って
アイテムボックスに入れておこう。
砥石もあった方がいいか…?」
ゲイルは消耗品とアイテムボックスのあたりから
自己分析を深めていたらしい。
次の展開もしっかり考えている。
真面目だな。
魔法の杖そのものにはあまり魅力を感じなかったらしい。
ゲイルは戦士だからな。
仕方ないだろう。
「いいなあ。アイテムボックスは夢が膨らみます。
でもまあ。魔法の杖は高いから何本も買えたりしないんです。
たとえアイテムボックスがあっても、
買えないなら仕方ないですよね。」
そうなのか?
さっきの話からすれば
1発しかマジックチャージ出来ない
廃棄寸前の魔法の杖なら安いんじゃないか?
「どうなんでしょうか?ちなみに今使っている
3発マジックチャージできる魔法の杖は2000ゴールドしました。」
かなりの値段でビックリした。
冒険者が1カ月で稼ぐ2000ゴールドかよ。
でもまあ。
廃棄寸前の魔法の杖の相場を知るためにもさ。
社会勉強がてら武器屋に行ってみようぜ。
・・・
「思いのほか激安ですね。」
1発だけマジックチャージできる魔法の杖は100ゴールドだった。
3発マジックチャージできる魔法の杖が2000ゴールド。
なんとなくだけど、2000ゴールドってのも妥当な値段って気がするな。
あれ?特価品の杖が山積みされている。
ちなみに杖と一口で言っても長杖をスタッフ、短杖をワンドと呼ぶ。
特価品は全部ワンドで驚きの1本10ゴールドだ。
「それは魔法の杖のなれの果てですね。チャージできません。」
使い込まれた結果、スロットがロストし、チャージできないと。
もはや魔法の杖ではないな。
子供向けの玩具、単なる飾り物だから10ゴールド。
わびしいな。
老兵は死なずただ去りゆくのみ。
なぜか、オレはそんな言葉を思い出した。
オレは1本のワンドを手に取る。
結構汚れてるじゃないか。
以前は活躍したのに今は誰も見向きもしない特価品のワンド。
特価品というか廃棄品だな。
おつとめご苦労様。
せめて汚れを拭いてやろう。
きれいな布を取り出して、ナイフで小さい布片にして、
水筒の水で濡らして、ゴシゴシと拭いた。
キュッキュッ。
ふう。
もう汚れはないな。
あれ?
汚れを拭いたら、けっこうマシに見えるじゃないか。
まだまだ元気に戦えます!みたいに見える。
もう老兵じゃ無くなった的な。
気のせいか?




