「華は咲くべくして」
華娘が問い、それに対し誓うことはすべて真実になる。呪いのようなものです。そして私は殿下に問いかけました。愛さぬように誓ってくださいませんかと、殿下は二つ返事で頷き、誓った。
その時点で私を妃にすることは出来なくなったのです。一生愛さぬというのは私に対して好意すら持てぬということ。つまり
彼が私を妃にする未来は完全に閉ざされたのです。
「お父様」
「…なんだい、アイリス」
「私が考えていることがおわかりでしょう?」
「分かりたくはないがね」
諦めたようにため息を吐くお父様にニコリと微笑む。
「仕方ないですわ、私は華娘ですもの。」
「……今日ほど殿下を恨む日はこないだろうね」
お父様は苦虫を噛み殺したかのような表情で疲れ果てた様子の陛下の元へ行くとすぐに声をかけた。
「陛下、アイリスはもう…」
「わかっている…アイリスの歳ではこの国に記憶改ざんする能力を持つ者はいない。それに愚息が誓ってしまったのだ、もう…足掻けぬ」
私はすっと立ち上がり軽やかに礼をする。すると陛下は困ったようにため息をついて「馬車はこちらで用意させてくれるね、アイリス嬢」とお声をかけてくださいました。
私は少し考えてからそれ位はいいのではないかと頷いた。
「はい、陛下」
唖然としたエカリーテと殿下に見送られ、私は早く早くと急かす心のままに部屋を出ました。
次の話で本編は完結です、番外編も書くと思いますが、人によっては蛇足になるかと。
それと本編のみ既に書き上げており、番外編の更新の日時は決まっておりません